(イラスト:太田裕子)

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長年の習慣から「やるべき」と思いがちな家事。しかし、年々負担は増していき――。どうしたらもっとラクにできるのか、掃除のプロである沖幸子さんに聞きました(構成:村瀬素子)

家事のストレスをグンと減らす《9つのヒント》

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それ、やらなきゃダメ?

年を重ねれば誰しも肉体が衰え、若い頃のようにはテキパキと動けなくなり、掃除や片づけなど日々の家事がしんどくなるもの。自分が無理なくできるやり方に変えていかないと、「ちゃんとやらなきゃ」「でもできない……」という負のループにハマってしまいます。すると身体や心への負担が増し、家事がますます面倒に。

そこでお伝えしたいのは、時間と労力をかけない効率的な方法で、快適な暮らしを維持する《ラク家事》です。

ポイントは3つ。まずは、「手放す」こと。多くの方は、長年の習慣で、「年末は大掃除をするもの」「掃除機は毎日かけないと」「食事は一汁三菜を作るべき」といった思い込みに縛られています。身体や心に負担がかかることはもうしない、と潔く手放しましょう。

その代わりに、「新しいことを取り入れる」。今の自分に合った家事のやり方を導入してみるのです。

そして最後に「楽しむ」こと。自分が興味のあることやできることだけを残していけば、作業がはかどります。新しく取り入れたものが合わないのであれば、また手放せばいい。そうして、心地よい快適な空間を作っていくのです。

この考え方は、家事だけではなく、人間関係や習慣などすべてに通じます。現在70代の私自身も、年齢に応じて生活スタイルを変えてきました。だからこそ、今も気ままに心地よく暮らせています。

今日(取材日)は節分ですので、朝から恵方巻を手作りしました。中に入っている干し椎茸は自家製で、今だと1日の天日干しで完成。私にとって季節を感じながら料理をすることは、気分転換にもなって楽しい時間なのです。

こうして自分のしたいことができるのも、手間のかかる作業を最小限にしているからこそ。先ほどの3つを意識して、心地よい暮らしを手に入れましょう。


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使ったら拭く・掃く 1分掃除で毎日きれい

家事は本来、自分が快適に過ごすためのもの。具体的な方法を文章で説明すると、行うことが多いと感じるかもしれませんが、何かをしたついでにひと手間加えるだけでいいのです。

習慣化してしまえば自然に身体が動いて、無理なくきれいな状態を保てるように。そうすれば、「今日は家じゅう掃除機をかけなきゃ」「そろそろ水回りのカビ取りをしよう」と、重い腰をわざわざ上げる必要もなくなります。

そのためにはまず最初に、家の中を清潔な状態に保つことが不可欠です。カビの発生などを防ぐためにも、雨や嵐の日以外は、朝起きてカーテンを開けるついでに窓やドアも開けて、空気の入れ換えを。

私は一日に何度も窓を開けて、空気の通り道を作るようにしています。そして歯を磨くときは、「ながら」で鏡や蛇口など洗面台を磨いてしまいましょう。

日常生活に取り入れる習慣は、たったの数秒、数分だけです。たとえば今私は、テーブルの上に資料やティーカップなどを置いて取材を受けていますが、終わったら全部片づけて、ぬるま湯で湿らせたタオルで拭けば、わずか1、2分で片づけと掃除が終了。

《使ったら拭く・掃く》習慣を身につけることが、掃除の手間と時間を減らす一番のコツです。

すぐ手にとれる場所に掃除道具を置くのもポイント。わが家では、小さなほうきをドアノブの内側にかけています。ほかには、タオルと軍手雑巾、コンパクトなコードレス掃除機。この4つがあれば、ほとんどの場所はサッと掃除できるように。

あとは、はたき、モップ、ブラシ類を必要に応じて使う程度です。道具はシンプルで軽く、手で扱えるものが、シニア世代には最適でしょう。

また、掃除をするときは「1回15分」と時間を決めておくのがおすすめ。制限がないと、真面目な人ほど、隅々まできれいにしようと頑張ってしまい、しんどくなるのです。完璧を目指さず、「そこそこ」に行うのが習慣化のコツ。

たとえば、窓ガラスは一気に拭こうとせず、「今日は2枚だけ」と区切れば負担になりません。また、常に「ついで」で行えるように、掃除に使用したタオルは、洗って使う場所の近くにかけておく。そうすれば、次もすぐ取りかかれます。

ひどい油汚れや、手が届かない天井などの掃除は、思い切って専門の業者などプロに任せてみましょう。何でも自分で背負い込まず、できないことは人に頼む、という考え方は、年を重ねるほど大切です。

後編では、さらに具体的な方法を紹介します。効率よく家事をする習慣を身につけ、自分の時間も増やし、大いに楽しんでいただきたいものです。


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これだけあれば!掃除用具4点

【1. コンパクトな掃除機】

体力のないシニア世代は、重い掃除機は手放しましょう。

片手でスイスイ動かせて、階段での持ち運びもラクにできる、軽いスティック型のコードレスタイプがおすすめです。

【2. 軍手雑巾】

手は最高の掃除道具。

軍手をはめた指先で、照明器具やカバーについたほこりを撫でるように拭いたり、ドアノブなど細かい箇所もラクにきれいにすることができます。

綿の布なので傷がつく心配もありません

【3. タオル】

自在に形を変えられるので、テーブルや床を「拭く」、ほこりを「はたく」、シンクを「磨く」など万能な道具に。洗って何度でも使いましょう。

薄手の温泉タオルが掃除には最適。

【4. ほうき】

軽量で小回りが利いて溝の掃除もできるので、実は使い勝手が抜群。棕櫚(しゅろ)のほうきは、木の床の艶出し効果もあります。

ポールハンガーや壁、ドアノブなどにつるしておきましょう。

<後編につづく>