夫の良かれと思っての行動が妻の不満につながることも ※画像はイメージです(FineGraphics/photoAC)

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40代の会社員Aさんは、寝室のドアの前で立ち尽くしていました。妻に夜の誘いを断られ続けて、はや3年。今では寝室も別々になり、会話といえば最低限の事務連絡だけです。

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Aさんは、自分なりに「良い夫」であると自負していました。浮気もせず、仕事に励み、生活費もきちんと入れている。しかし、妻の心境は正反対に「食事中にスマホばかり見て、私の話は聞き流す」「自分がしたい時だけベタベタ触ってくる。私はあなたの都合の良い道具じゃない」と、怒り心頭です。

Aさんが良かれと思って過ごしてきた日々の裏側で、妻の心には「拒絶のスイッチ」が蓄積されていました。Aさんたち夫妻はなぜこのような状況になってしまうのでしょうか。そしてこの状態から夫婦関係を修復することはできるのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。

「日中の雑な扱い」が夜を台無しにする

ーなぜ、日中のコミュニケーションが夜の関係に影響するのでしょうか?

女性にとって、日中の関わりと夜の営みはつながっています。女性はずっと「大事にされたい」と願っていることが多く、「私のことを一人の人間として考えてくれているか」という安心感を求める傾向にあります。

日中にスマホを見ながら適当な相づちを打つ、体調の変化に気づかないといった「雑な対応」は、妻からすれば「私は優先順位の低い存在なんだ」というメッセージとして受け取られます。心が満たされていない状態で、夜だけ「女」として求められても、拒絶反応が出るのは当然のことなのです。

ー夫側はなぜ雑な扱いをしてしまうのでしょうか?

妻にこのような気持ちを抱かせる男性の特徴として、「仕事で疲れているから家ではゆっくりしたい」と、周りに気配りをするというスイッチを切ってしまう傾向があります。また、「家族のために働いているのだから、これくらい分かってくれるだろう」という自分都合の解釈をしている場合も少なくありません。

しかし、妻からすれば、夫が帰宅してようやくコミュニケーションが取れると期待していたのに、無視されたり雑に扱われたりするのは、本性を現されたように感じます。日中の雑な対応と、自分の性欲に基づいた夜の誘い。この「態度の一致感」のなさが、妻の信用を著しく損なわせるのです。

ー関係修復は可能でしょうか。妻の心のシャッターを再び開ける方法はありますか?

まず理解すべきは、即効性のある「魔法の言葉」や「マニュアル」は存在しないということです。関係改善を急いでケーキや花束を買って帰るのは、逆効果になることが少なくありません。妻からすれば「結局、夜の目的のために機嫌を取ろうとしているだけ」と見抜かれてしまうからです。

まずは「原因は100%自分にある」と認め、妻の声に耳を傾けてください。反論や逆切れは厳禁です。次に、当たり前だと思っていた家事や育児に対して、心からの感謝を言葉にすること。そして最も重要なのは、時間軸の考え方です。3年かけて冷え切った関係を戻すには、同じく3年かける覚悟が必要です。

ひとりで抱え込むのがつらくなった場合は、第三者である専門家に相談するのも良いでしょう。長期的なスパンで妻の心をほぐしていくことが、再構築の王道だと理解してください。

◆木下雅子(きのした・まさこ) 行政書士、心理カウンセラー
大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)