こちらは、アメリカ・アリゾナ州のキットピーク国立天文台(KPNO)にある口径4mのメイヨール望遠鏡で観測した惑星状星雲「EGB 6」。 しし座の方向、約2450光年先にあります。


真っ暗な宇宙空間を背景に、ガスが球状に広がるその姿は、まるで宇宙に浮かぶ巨大なシャボン玉のよう。無数の星々や銀河が散りばめられた背景のなかで、静かに漂うように輝く姿が印象的です。


【▲ メイヨール望遠鏡で撮影した惑星状星雲「EGB 6」(Credit: KPNO/NOIRLab/NSF/AURA; Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab) & D. de Martin (NSF NOIRLab))】

この美しい天体は、太陽のような恒星がその生涯を終えるときに作り出す「惑星状星雲」です。名前に「惑星」とついていますが、実は惑星とはまったく関係がありません。昔の望遠鏡ではその様子が惑星のように見えたことから、当時の天文学者たちによって惑星状星雲と呼ばれるようになったのです。


恒星の生涯におけるほんの一瞬の輝き

質量が太陽の1倍〜8倍程度の中質量の恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。


やがて、中心の星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになるのです。


恒星の寿命は誕生した時の質量に左右され、重いほど短く、軽いほど長くなります。中質量星の場合は3000万年から100億年という長さです。しかし、惑星状星雲としての期間はとても短く、画像を公開したNOIRLab(アメリカ国立光学・赤外天文学研究所)によれば、わずか2万年ほどしか続きません。


恒星の長い生涯に比べれば、惑星状星雲はほんの一瞬だけ姿を見せる儚い存在です。EGB 6が織りなす美しいベールのような姿も、宇宙の悠久の歴史のなかでは束の間の輝きと言えるでしょう。


冒頭の画像はNOIRLabから2022年4月13日付で公開されました。


本記事は2022年4月15日公開の記事を再構成したものです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


関連記事ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた“露出した頭蓋骨星雲”こと惑星状星雲「PMR 1」死にゆく星の光が織りなす絶景 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した「卵星雲」の新画像じっと見つめる目のような惑星状星雲 ハッブル宇宙望遠鏡が観測した「ESO 456-67」参考文献・出典NOIRLab - A Dead Star’s Shroud