あなたは「日本に傘が何本あるか」を即答できるか…外資系コンサル会社の入社試験で実際に出た超難問の攻略法

■なぜ一流企業の入社試験で「フェルミ推定」が出されるのか
「フェルミ推定」について、具体的な入社試験問題を例にしつつ解説していきます。フェルミ推定とは、実際に調査や計測をすることが難しいデータに対して、前提条件や調査できる範囲の情報をもとに、論理的に大まかな推定値を導くことです。
フェルミ推定はビジネスの現場でも大いに活用されていますが、就職活動の際に実施されるフェルミ推定では、解く人の論理的思考力が評価されます。
「御社で働きたい」と、どれだけすばらしい志望動機があっても、論理的思考力がないと実際の仕事ができませんよね。そのため、企業は入社試験でフェルミ推定の問題を通じて思考力を問うのです。
「フェルミ推定って苦手なんだよな」という人にこそ、ぜひ本章の問題を通じて、たくさんの経験を積んでもらいたいです。フェルミ推定は問題を繰り返し解くことで、力をメキメキと伸ばすことができるからです。
ちなみに、実際に入社試験で出題された問題には、次のようなものがあります。
2020年度のアルコール除菌関連の売上高を推定せよ(EYストラテジー・アンド・コンサルティング、外資系総合コンサル企業)
ある居酒屋の一日の売上を推定せよ(ベイン・アンド・カンパニー、戦略系コンサル企業)
現在のEV普及率を推定せよ(アクセンチュア、IT企業)
■「覚えておきたい数字」一覧
これらの問題を解くにはズバリ、フェルミ推定に慣れておく必要があります。数をこなすことで、
?さまざまなアプローチを使いこなせるようになる
?問題の前提を客観的に設定でき、解答の精度が上がる
など、フェルミ推定の要点が自然に身につくようになるのです。それでは実際に問題を一緒に解きながら、フェルミ推定を解くためのアプローチ方法を学んでいきましょう!
その前に、フェルミ推定でよく使う「覚えておきたい数字」の一覧をまとめておきましたので、これらのデータを頭に入れた上で問題に臨んでください。
フェルミ推定で覚えておきたい数字一覧
〈日本〉
人口:1.2億人(2050年:1億人、2060年:9000万人)
平均寿命:84歳
世帯:5000万戸
平均世帯人数:2.5人
国土面積:38万平方キロメートル(山地:70%、平地:30%)
企業の数:340万社(大企業:1.4万社、中企業:50万社、小企業:290万社)
生産年齢人口:7000万人
〈世界〉
人口:80億人(2050年:95億人、2100年:110億人)
地球の直径:12000km
地球の円周:40000km
地球の表面積:5億キロ平方メートル(海:70%、陸:30%)
※いずれも概数
■実際に外資系コンサルで出された問題
日本に傘は何本あるか? 難易度:★★★☆☆
日本は傘の所有本数、ビニール傘の消費量が世界一です。それには日本の降雨日数が多いことが影響しているとも言われています。
さて、日本全国に傘はどれくらい存在するのでしょうか。

考え方
日本に存在する傘は、個人が所有しているものと店頭で販売されているものの2種類があります。個人が所有する傘と店頭で販売される傘の2つに場合分けし、それぞれの数について考えていきましょう。
紛失物としての傘も存在しますが、一度購入してから紛失していることを考慮し、今回は個人の所有物として計算します。
はじめに、個人が所有している傘の本数からみていきましょう。傘の所有本数=日本の人口×傘の所有率×1人あたりの平均所有本数で求められます。日本の人口はおおよそ1.2億人です。
ここで、傘の所有率と平均所有本数がわかれば傘の本数が求められるわけですが、より精確な数値を推定するため、傘の種類を分類して考えましょう。
■まずは分類から
傘を用途ごとに分類すると、
?折り畳み傘
?日傘
の3種類に分けられます。
それぞれについて検討していきましょう。
まず、?雨傘はほとんどの人が持っていると考えます。具体的な数値設定は解く人によって変わってきますが、ここでは仮に所有率を95%、平均所有本数を3本とします。
1.2億人×95%×3本=3.42億本
次に、?折り畳み傘は雨傘よりは所有率はやや低いと考え、所有率を80%、平均所有本数を1本とします。
1.2億人×80%×1本=9600万本
最後に、?日傘は性別で所有率が異なるため、男女に分けて考えます。
男:6000万人×5%×1本=300万本
女:6000万人×70%×1本=4200万本
よって、個人が所有している傘の本数は?+?+?=約4.8億本と推定できます。
今度は、店頭で販売されている傘の本数を考えましょう。ここからのアプローチでは、各店舗にある傘の本数を計算するのではなく、傘を購入する人の需要から計算していきます。
傘の店頭販売本数=日本の人口×需要率×1人あたりの平均購入回数
ここでも場合分けを行い、?急な天候変動によってすぐに使う傘を購入する場合と、?普段使いの傘を購入する場合に分けて考えましょう。
■さらに細かく分けていく
〈?急な天候変動によってすぐに使う傘を購入する場合〉
雨が突然降ったり、日差しが強かったりしたときに傘を持ち合わせていない人が、その場で使う傘を急いで購入するケースです。なので傘の種類は分けずに、「日本の人口×需要率×平均購入回数」で求めてみましょう。いつも傘を持ち歩いている人と、雨予報の日に傘を持ち歩いている人を合わせて日本の人口の60%と仮定し、残りの40%が需要率、つまり天候によって急に傘が必要になる人とします。すると、
1.2億人×40%×2本=9600万本
となります。
〈?普段使いの傘を購入する場合〉
傘が壊れたときに買い足したり、スタイルや性能の良い傘を新しく買ったりするケースです。この場合、需要率は傘の個人所有率と同様だと考えられます。われわれの経験に照らし合わせて、傘の耐用年数を3年、平均購入回数は年1回として計算しましょう。
まず雨傘は、
1.2億人×95%×1本÷3年=3800万本
折り畳み傘は、
1.2億人×80%×1本÷3年=3200万本
日傘は、
男:6000万人×5%×1本÷3年=100万本
女:6000万人×70%×1本÷3年=1400万本
これらを合計して、店頭で販売されている傘の本数は、年間で1.8億本と推定できます。以上から、個人所有と店頭販売を合わせて、日本に存在する傘は推定6.6億本であると結論できます。
■実際の数との相違は…
おわりに
この問題は、傘を用途に応じて3種類に分類し、さらに個人所有と店頭販売という観点に分けて本数を求める問題でした。世界的に有名なボストン・コンサルティング・グループの入社試験で出題された問題です。

実際の調査に基づくと、日本人の傘の平均所有数は約4.2本といわれています。また年間傘消費量は1.2億本以上だそうで、1年間に1人1本は傘を購入していることになります。
今回のフェルミ推定において、個人が所有している傘の本数に関しては実際の数と推定値でとても近い値を求めることができました(個人所有の傘の本数4.83億本÷日本の人口1.2億人=1人あたり4.0本)。
一方、店頭で販売されている傘の本数に関しては、実際の数値1.2億本以上に対し、推定値が年1.8億本と、大きく値がかけ離れているわけではないものの、平均所有本数ほどの精確さではありません。その原因は、「傘の耐用年数である約3年に1回、定期的に傘を買い替える」という人が仮定よりも少なかったためと考えられます。
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東大カルペ・ディエム東大生集団
2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。
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(東大生集団 東大カルペ・ディエム)
