「妻を、女として見れなくなった」。子供が誕生し、レスに陥った夫婦が選んだ苦渋の決断
夫婦とは、不思議なものである。赤の他人同士が一緒になり、そして家族となって家庭を築いていく。
しかし、厚生労働省が発表している人口動態統計調査によると、2017年度で21万2,000組の夫婦が離婚している。
-永遠の愛を誓いますか?
そう誓ったはずなのに、どうして離婚を選んだのか。踏み留まった方が良かったのか、それとも離婚して正解だったのか…。当人たちにしかわからぬ事情。
この連載では、離婚まで至った背景とその原因について探ってみた。

名前:信弘
年齢:38歳
職業:メガバンク勤務
年収:1,300万
結婚歴:8年
前妻の年齢と職業:37歳・元秘書
これまでに数名の離婚事情を聞いてきたが、全員子供がいない方々だった。
しかし今回話を聞かせてくれた信弘には、現在7歳になる息子がいる。
「長男が誕生した時、それはそれは嬉しくて。世の中に、こんなにも愛おしいと思える存在があるのかと。生まれて初めて知った感情でした」
先ほどまで硬い表情だった信弘。しかし子供の話をした途端に、ふっと目を細め、その表情が緩んだ。
「子供のためにも、離婚はしたくなかったのですが…かなりタフな決断でしたね」
前妻の紗理奈とは、昨年離婚した信弘。
子供がいながらも離婚を決意した背景には、夫婦ならば避けては通れない“夜の営み問題”が隠されていた。
子供に夢中になり過ぎた妻。夫婦に起こった、決定的な出来事が明らかに…。
1年半の交際期間を経て、信弘が29歳の時に前妻の紗理奈と結婚した。
読者モデルとして活動し、そこそこ名の通っていた紗理奈に信弘が一目惚れし、猛アピールをしたそうだ。
「最初は同期が主催した食事会で知り合ったのですが、会った瞬間から惚れ込んで(笑)ストレートに気持ちをぶつけ、交際にこぎつけました」
それから順調に交際を続け、ゴールイン。結婚2年目までは変わらず仲の良い関係が続いており、妊娠が発覚した時は二人揃って大喜びだったそうだ。
「あの瞬間を、忘れません。本当に嬉しかったから。でも、まさかこんなことになるなんて...皮肉ですよね」
そう言いながら、ふっと笑う信弘。
「長男が誕生して以降、気がつけばレスになっていたんです」

紗理奈の妊娠、出産とイベント続きで盛り上がっていた二人。妊娠中も出産直後も、それどころではないことは重々承知していた。
むしろ子供の誕生によってより一層家族としての絆は深まったと感じていた、そんな矢先のことだった。
「今から考えると“箱根の夜”が、僕たち夫婦の離婚の予兆だったのかもしれません」
“箱根の夜”とは、一体なんなのだろうか。
「長男が1歳になった頃、家族で箱根へ泊まりに行ったんです。託児所があったので、久しぶりに夫婦水入らずの時間になった時でした」
久しぶりの旅行、子供がいない時間、そして泊まり・・・全ての条件は揃っていた。
「でも、いざそういう雰囲気になった時に、妻から言われたんです」
『ごめん触らないで。そういう気分になれないから』と。
息子が誕生し、妻の彼氏は息子になりました。それと同時に、僕のことは生理的に受け付けられなくなったそうです...」
さすがにショックを受けた信弘。でも疲れているし、忙しいからそんな気分ではないのだろう、と思っていた。
しかしそれ以降、何度誘ってみても妻は拒否。そこから“どうせまた断られる”と思い始め、信弘の方から誘う回数もどんどん減っていく。
典型的な、レスの始まりだった。
「妻の、息子に対する溺愛は異常でした。母親として素晴らしいことなのかもしれないけれど、息子にかける愛情に比例して、僕に対する態度は冷たくなっていく一方で...」
信弘が何か話しかけても適当にあしらわれ、息子への愛情が増すごとに信弘への愛情が薄まっていくのが目に見えてわかった。
そして妻に触れることも、妻が信弘の胸に飛び込んでくることも一切なく、ただの同居人と化していく。
寝室は、いつの間にか別になった。
「進行すればするほど、巻き戻せなくなっていく。それが、レスなんです」
息子が恋人♡と言い始めた妻の暴走。止まらないレス
レスの解消は浮気しかないのか?不甲斐ない思い
そんな生活にも最初は耐えていた信弘。愛する子供のため、一生懸命、仲良し夫婦を演じていたのだ。
「嫌いになった訳でもないし、何より息子を一生懸命育ててくれる。根本的には母親として尊敬していましたから」
しかし、レスの期間と比例して愛情は消えていく。
またそんな時に優しくされ、おだててくれた26歳の後輩・愛梨と一夜を共にしてしまう。
「男として、久しぶりに認められた瞬間でした。恥ずかしい話ですが、失いかけていた僕の自尊心を、彼女が取り戻してくれたんです。
気がつけばレス3年目に入る頃には、僕の方が紗理奈を生理的に受け付けられなくなっていました」
紗理奈への罪悪感から、愛梨と交際に発展することはなかったが、そんな矢先のことだった。
何かを察したかのように、妻から突然“二人目が欲しい”と言われたのは。

だが、気が付いた時にはもう遅い。空白の期間が長すぎた。今更、子作りのために急にレスが解消されるわけもなかった。
お互いに、触れ合う行為自体も受け入れられないほど悪化していたのだ。
紗理奈は「大丈夫」と言っていたが、表情や雰囲気から、彼女が子供を作るために無理をしてそう言っているのが、信弘はにはよく分かっていた。
それが余計に、信弘を複雑な気持ちにさせたと言う。
「どうしても、できなかったんです。いざトライしようとしても、機能しない。もう妻を、女として見ることも、抱くこともできなかった」
紗理奈も信弘も、お互いを嫌いになったわけでもない。誰のせいでもない。けれど、もう修復不可能だったのだ。
-自分はもう誰からも、女として一生見てもらえないのかな...
ある時紗理奈が言った言葉が、未だに信弘の耳に残っている。
人間は何歳になっても、“誰かに男として、女として見られたい”という欲は消えない。
長すぎたレスの期間は関係を冷却させるだけではなく、自尊心をも残酷に蝕んでいく。
「たかがレス、されどレス…。どちらの意見も理解できます。しかも僕たちの家庭には子供もいましたし。ただ、お互いに満たされない思いを抱え続けることが限界だったんだと思います。もう一度、まだ若くて別の人とやり直せるうちにお互いのために離婚しよう。そう決めました」
結局長男の小学校受験を待ち、無事入学が決まってから離婚した二人。
「レスの先にあるものは、何なのでしょうか。浮気か離婚か、諦めか...その三択しかない気がします」
-もしあの箱根の夜に肌を重ねていれば…。もしその後、1年以内に一度でも解消できていれば…
毎月支払う養育費を見ながら、信弘は未だに自問自答し続けている。
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