ともに夏のインターハイは4強で涙を呑んだ。初の栄冠に輝くのは十文字(左)か大商学園(右)か。写真:大森琢磨、西森彰

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 これまで10年間、高校女子サッカー選手権とインターハイの優勝旗は、2007年選手権の鳳凰(鹿児島)と2013年に日ノ本学園と優勝を分け合った村田女子(東京)を除き、藤枝順心(静岡)、日ノ本学園(兵庫)、常盤木学園(宮城)のいずれかが手にしてきた。そして、この3強にとって代わるチームの出現が、毎年のように待望されていた。
 
 ところが今大会、その3強が次々に姿を消してしまう。年越しを待たずに日ノ本学園が敗退すると、正月インターバル明けの準々決勝では藤枝順心、常盤木学園までもが敗れた。この3校がベスト4にいない大会は、15年遡った第10回大会以来のことだ。
 
 敗因はそれぞれにあった。全国大会3連覇を狙った藤枝順心は、シーズンを通してケガ人に悩まされた。中心選手の福田ゆい(3年)と千葉玲海菜(2年)が揃ってスタメンに名を連ねたのは、秋以降では2回戦の作陽戦が初めて。ここ数年のチームに比べてボールが回っていたとは言い難い。「1対1で順心に叶わないならみんなで力を合わせて勝とうと、大商学園(大阪)の竹内周部長、作陽(岡山)の池田浩子監督と誓っていました(笑)」という開志学園JSC・鈴木聡監督。冗談半分にしても、各校が順心対策に力を注いでいたのは事実だ。
 
 日ノ本学園は、関東勢でもポテンシャルの高い2校との連戦。なかなかレギュラーを固定できなかった。手薄な左SBに塚本奈緒(2年)が収まり、ようやくディフェンスラインが揃ったかに見えたが、その塚本が初戦で負傷退場するなど、ツキにも見放された。「タテに速いタイプのチームが関西には少なく、そこに戸惑った」のは事実だが、失点は1、2回戦とも似たようなパターン。関西の出場枠が4(+開催地1)と増加したのに反比例して、地区大会での真剣勝負の場が減った弊害も出ているかもしれない。
 
 3校の中では下馬評が最も低かった常盤木学園が、いちばん力を発揮した。九州1位の柳ヶ浦に大勝し、ニューウェーブ・四国学院香川西にも貫録勝ち。修徳との準々決勝でもビハインドをはね返して、2度追いついた。春当時の得点力不足を払拭し、対戦相手の質を考えれば3試合で12得点は立派の一語。名門復活へ道しるべを立てた。
 
 今大会では不完全燃焼に終わった3校だが、それぞれ1、2年には好素材が多い。来年度のチームが逆襲に転じる可能性は、相当に高い。
 
 3強の名前が消えたために波乱のイメージが強い今大会だが、よく見れば、昨年度ベスト4のうち3校がそのまま名を連ねている。
 
 順番待ちをしていた組の代表が、昨年度のインターハイ準優勝、選手権ベスト4の大商学園(大阪)だ。今大会では、順心、神村学園(鹿児島)と昨年度の優勝、準優勝校を破って、決勝の舞台に進んできた。
 
 関西勢の中では、もともとフィジカル能力に長けており、関東のチームが武器とする、スピードや高さといった「圧倒的な個」への対応力も高い。また、ケガで今季前半を棒に振っていたGK西村清花(3年)が完全復活。これまでノエスタで2連敗中だったが、準決勝のPK戦で中原冴彩(神村学園/3年)との対決を制し、マイナスイメージを拭い去っている。
 
 今大会5得点の久保田晴香(3年)、阪本未周(3年)などを擁し、撃ち合いになっても十分にやれる。常田菜那&麻友(ともに3年)のツインズは、キャプテン久保田の良き相談相手。もう一組の双子、林みのり&かおる(ともに2年)はテクニカルな下級生の代表格だ。
 
 大商、神村、修徳(東京)の中に、分け入ってきたのが十文字。AC長野パルセイロレディース所属の横山久美らを送り出している東京の名門だ。今季はシーズン初めの大規模フェスティバル、めぬまカップで優勝。インターハイでは常盤木学園を破って自信をつけた。