「この部屋の角はウェブサイトの表示がスムーズ」「ソファの右の肘置きにノートPCを置くと画像のアップロードが超速い」など、部屋の中でWi-Fiがつながりやすい場所を感覚的に探している人は多いはず。この問題を物理学を駆使して解決しよう、ということで、ヘルムホルツ方程式を用いてWi-Fiのつながりやすい場所・つながりにくい場所を特定する人が登場しました。

Helmhurts | Almost looks like work

http://jasmcole.com/2014/08/25/helmhurts/

One apartment’s Wi-Fi dead zones, mapped with a physics equation | Ars Technica

http://arstechnica.com/gadgets/2014/08/mapping-wi-fi-dead-zones-with-physics-and-gifs/

The physics of where to put a WI-FI ROUTER: Scientist proves that the centre of your home is best for signal strength | Mail Online

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2735856/The-physics-WIFI-ROUTER-Scientist-proves-centre-home-best-signal-strength.html

シミュレーションを行ったのはインペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程学生であるジェイソン・コールさん。コールさんはヘルムホルツ方程式で電波の動きをモデル化しており、疎行列を使って「Wi-Fiルーターから発せられる電波がどのような道筋を辿り、障害にぶつかるのか」というコンピューターの計算を最小限に抑えました。



コールさんの部屋の間取りはこんな感じ。この部屋の通信環境を改善するわけです。



まずは部屋の隅っこにルーターを置いた時の通信環境を可視化した図がこれ。赤い丸がルーターのある場所で、明るくなっている箇所がWi-Fi電波の飛んでいる所です。コールさんは始め、ルーター周囲の電波が強く、離れていくにつれ弱まっていくのだと思っていましたが、予想に反して電波は部屋の隅にまではびこっています。ルーターの置き場所が電波の強さにそこまで影響しない一方で、隣あわせの場所でも全く電波のないブラックスポットも存在する様子。



ルーターの位置を変えてみます。下の間取りの右上にルーターを置いてみたところ、右側の部屋の通信環境は上記に比べて向上しているのですが、左側にある2つのベッドルームの通信環境は悪化。



最も効果的なのは部屋の真ん中にルーターを設置することですが、これは現実的に実行が困難と言えます。



部屋の壁は非常に高い屈折率を持っているのですが、このシミュレーションで分かったことには、壁だけではなくドアや部屋の角にまで電波が妨害されてしまうということです。これは電波がモノにぶつかることで弱まってしまうため。

また、コンクリートの壁が吸収力のある架空の素材でできていたと仮定すると、どの部屋でも電波がかなり届くことが判明。以下がシミュレーションで、ルーターの位置に関わらず、奥の部屋まで電波が届くようになっていました。



そして、以下のムービーがコールさんの予想に「時間」の概念を加えたもの。

Wifi - YouTube

間取りの右下にルーターを配置。ルーターの周囲がオレンジ色になっており、ルーターから離れるにつれ色が青に変化していきます。



どんどん電波の届く範囲が広がり……



隣の部屋にまで進出。オレンジ色の部分は屈折率の高い壁に阻まれている部分があります。



赤っぽい波が扉から上の方のベッドルームに入っていきます。



最終的に電波の届きにくいところは存在するものの、左下のベッドルーム以外は電波の届きやすい環境になったわけです。



通信環境に関する現実の実験はまだ行われていませんが、コールさんのブログのコメント欄には「自動の掃除機にルーターをつけてみたら?」というユニークな提案もなされています。

なお、コールさんによって自分の部屋の間取りを使って通信環境をシミュレートするAndroidアプリも開発されており、Google Playから99円でダウンロードすることも可能です。

WiFi Solver FDTD - Google Play の Android アプリ

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.jasmcole.wifisolver