よく見かけるけどあまりよく知らない? “スズメ”の生態
岩波科学ライブラリーから出版されている『スズメ』(三上修/著、岩波書店/刊)では、スズメとは何者か、どこからやってきたのか、知っていそうで知らないスズメの正体に迫っていく。
クジャクのように鳥の中には一目見て、雄と雌を区別できるものは多い。しかし、スズメは雄と雌で同じ体色をしていて、ビデオで撮影しても、捕まえてじっくり見ても、違いはわからない。いくつかの部位は平均的には雄の方が大きいが、雄雌で重なりが大きいため、はっきりと区別する情報にはならない。
では、研究者たちはどうやって見分けているかというと、血を採って調べているそうだ。血液に含まれるDNAのある領域を調べると、雄雌で違いがあるのだ。それほど、スズメの雄雌を見分けるのは難しい。
例えば、森に生息する鳥であれば、どんな木がどれくらいの高さで生えているのか、餌となる生き物がどれくらいいるのかといった情報を使っている。なので、スズメが人という生き物を認識して、人の有無を自分が繁殖するための指標として使っていても、不思議ではないはず。本書によれば、今のところ、タカやヘビ、イタチなどの天敵を避けるため、人のそばを好むと考えられている。
しかし、人のそばを好むといっても「人が好き」というわけではない。まず、スズメは人に対して一定の距離を保とうとする。さらに、人に巣を見られることを極端に嫌う。こういった人に対する警戒心は、ある程度、遺伝的にプログラミングされているのかもしれないというのだ。
なぜなら、人はかなり長い間スズメを捕り続けてきた。少なくとも昭和に入ってからは、日本人は毎年、食用・駆除のために数百万羽のスズメを捕まえてきたそうだ。その前の大正時代の文献には、スズメの繁殖に失敗した原因として、ヘビ、ネズミ、カラスによる捕食と並んで「児童ノ卵雛採取」とある。子どもがいたずらで、卵やヒナをとっていたのだ。このことから、人を警戒する性質を生まれながらにもつスズメが多数占めるようになっていてもおかしくはないと考えることもできる。
街で何気なく見かけるスズメだが、その生態を知ると、ついスズメに目がいってしまうはず。通勤、通学の歩き慣れた道を歩くのも、ちょっとした楽しみになるのではないだろうか。
(新刊JP編集部)
