北京市では、上海市など長江下流沿岸地域で人への感染が発生したH7N9鳥インフルエンザに対して、警戒を強めている。同市東城区では9日までに伝書鳩の飼育者に、飼っているハトを放すことを禁止して、飼育状態の調査を進めている。中国新聞社が報じた。

 北京市では昔から、鳥の飼育を趣味とする人が多かった。清朝時代に描かれた絵などでも、鳥の飼育をする人々の姿を見ることができる。現在では伝書鳩飼育の人気も高く、市中心部の東城区だけでも伝書鳩会の会員は3000人以上、飼育されている鳩は2万羽以上だ。

 北京市内では今のところH7N9鳥インフルエンザの発生は確認されていないが、上海市では同インフルエンザウイルスに感染して死んだ鳩が確認された。ウイルス感染を防ぐための伝書鳩「飛行禁止令」は、理屈として分かりやすく、自分の鳩を守るためにもなるので、伝書鳩会の会員らも、ほぼ納得しているという。

 会員の間からは、「長期間に渡って飛ばさないと飼育にも影響が出てくるが、伝染病は抑えなきゃならないから」、「(飼育上の問題は)しばらく経ってから、また考えよう」といった声が聞かれる。

 会員によると、当局側から「飼育場所の衛生管理、糞便や落ちた羽を適当に捨てないこと」、「鳩がよくわからない病気になった場合や死んだ場合には、ただちに最寄の衛生部門に知らせること」などの指示があったという。

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◆解説◆ 北京市では2002−03年にSARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)が流行した際には、対策の遅れと情報隠しで感染が確認したとして、孟学農市長が解任された。中国当局の発表については信用性を疑問視する声があるが、地方政府の独断で情報隠しなどをした場合、厳重な処分を受けると考えねばならない。また、それまでに水面下に存在した派閥争いなどで、政敵の攻撃材料になる場合もある。

 北京市は、「SARSの教訓」もあり、鳥インフルエンザ対策にはかなり本腰を入れて臨んでいる。9日には患者が発生した際の病院と行政の対応を確認する「抜き打ち演習」を行ったという。患者の役を演じた人とその家族だけが「実際には患者でないダミー」と知っており、患者役の人は訪れた病院で、症状を訴えた上で「2日前に撮影した」と偽って肺炎患者の胸部のレントゲン写真を見せた。

 病院は“患者”をただち集中治療室に隔離し、行政の関連部門に通報。行政側は感染確認のための作業を開始。“患者”はH7N9鳥インフルエンザの治療拠点に指定されている医療機関に搬送するなど、一連の対応策を円滑に実効できたという。(編集担当:如月隼人)