画像:横浜流星Instagramより
 6月1日、俳優の横浜流星さんが第35回日本映画批評家大賞にて映画『国宝』での演技が評価され、助演男優賞を受賞しました。

 昨年には大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)の主演を果たし、トップ俳優の仲間入りをしたばかり。今や日本映像界の至宝となった横浜さんですが、その華々しい活躍の裏には、半年間仕事が途絶え、オーディションに落ち続けた空白の季節がありました。

◆特撮で脚光を浴びるも、仕事は全くなかった

 2009年に芸能界入りした横浜さんは、2014年の『烈車戦隊トッキュウジャー』(テレビ朝日系)ヒカリ役で最初に脚光を浴びました。ですが、そこから思わぬ苦戦を強いられます。横浜さんは2019年に出演したNHK『あさイチ』(NHK総合)で当時を振り返り、同作後、オーディションに落ち続けた過去を回顧。「(仕事が)半年間くらい全く無くて」と明かしたのです。

 その原因は、子供向けを意識したいわゆる“戦隊芝居”で、あらゆることを大げさにやってしまったためだと分析。そこから芝居のワークショップに参加し、基礎から学び直し徐々に演技を磨いたと言います。

『トッキュウジャー』から5年後、懸命な努力を続けた横浜さんは2019年のドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)にて、ピンク髪の不良高校生・由利匡平役で一大ムーブメントを巻き起こします。

 30代女性講師との禁断の恋に踏み込み、柔らかく甘い囁きが印象的な愛称“ゆりゆり”は大人気に。横浜さんのInstagramのフォロワーも、14万人ほどから一気に50万人以上増加しました。

 横浜さんはこのブレイクに浮かれることなく、仕事が無かった時代を糧に常に危機感を持ち、報われない時間を知るからこその“静かな強さ”とも言うべき芯を宿していきます。

◆「ゲスい野郎」を怪演、フォロワー3万人が減るリアリティ

 ドラマ『あなたの番です -反撃編-』(日本テレビ系)では無愛想な理系男子役から一変、恋に揺れ、人間味を帯びる青年を演じ高視聴率に貢献した横浜さん。

 その後も、執着心を持ち危険な香りを纏う名家跡取りを演じた『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)、心に傷を抱えながらも茶目っ気も見せる料理人を演じた『着飾る恋には理由があって』(TBS系)など、立て続けに話題のドラマに出演。

 さらなる転換期となったのが、2022年の映画『流浪の月』です。広瀬すずさん演じる女性への想いが歪み、暴力を振るう恋人役でその狂気を最大限に表現。壊れた優しさを一切の誇張なく、自然に滲ませたためリアリティがありすぎて、Xでは「本気で嫌悪感が湧く最悪の粘着DV男」「くっそゲスい野郎を怪演する横浜流星」と驚きの声があがりました。

 当時277万人いた横浜さんのInstagramフォロワーは3万人減ったそうですが、本人は「役者冥利に尽きる」と手応えを感じたそう。徹底した悪役への入り込みが評価され、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞するなど、アイドル的俳優から本格派俳優への道を切り拓いていきます。

◆最優秀主演男優賞から、ついに大河ドラマ主演へ

 さらに役への没入度を極限まで高めたのは、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など、数々の映画賞を受賞した2024年の映画『正体』。死刑囚・鏑木慶一として、5つの顔を使い分け逃亡劇を繰り広げました。

 見た目だけでなく、姿勢、歩き方、声のトーンといった細部まで演じ分け、1人で全く別の人物に次々となり切っていきます。その中でも、触れ合う人々に「信じたい」と思わせる心根の優しさを持つ鏑木。

「死に物狂い」だったというアクションもさることながら、彼の必死の訴えは、生きようとする執念が激しくほとばしり、観る者を圧倒しました。