入社2年目でまさかの「通勤ルート変更」命令!? JR運賃改定で“安さ優先”の私鉄へ変えなきゃダメ? 会社に黙って「自腹で以前のルート」を使うと規程違反になる恐れも。損しないための「通勤手当」のルールを確認

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2026年3月のJR運賃改定により、きっぷや定期券などの料金が値上げされました。これに伴い、会社からより交通費の安いルートを通勤経路として指定されるケースも考えられます。   しかし、会社の指示に従わず勝手に通勤経路を変更すると、就業規則に反する可能性があるため注意が必要です。本記事では改定後の運賃状況や、会社からより安い通勤経路を指定された際の対応について解説します。

3月の運賃改定で「JR山手線内」は大幅な運賃増に

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は2026年3月14日に運賃改定を行い、約40年ぶりの値上げを実施しました。
例えば、日暮里~代々木間の通勤定期券を購入する場合、1ヶ月あたりの料金は以下の通りです。
 

改定前:6290円
改定後:7840円
差額:+1550円(24.6パーセント増)

山手線内の通勤定期券全体の改定率は22.9パーセントとなっており、他の区分よりも特に高い改定率となっています。このため、より値上げ率の低い他のJR路線や私鉄での通勤を指示する企業もあるかもしれません。

雇用契約や就業規則の内容によっては経路変更を命じられる可能性も

雇用契約や就業規則の内容によっては、運賃改定に伴って通勤経路の変更を求められる可能性もあります。
従業員への通勤手当の支給を企業に対して義務付ける法律はないため、通勤手当はそれぞれの会社の就業規則や賃金規程、雇用契約によって扱いが異なるというのが実情です。また、通勤方法や経路が最も経済的かつ合理的な経路および方法に該当する場合に限り、通勤手当は一定の限度額まで非課税で支給されます。
そのため、山手線以外の経路が最も経済的かつ合理的な経路および方法として認められる場合は、通勤経路の変更を命じられる可能性があります。しかし、最終的な判断は企業側にゆだねられる部分もあるため、交渉の余地はあるでしょう。

自発的に「逆回り」「別ルート」で通勤するのは規程違反の恐れも

通勤経路の変更を命じられた際に、会社の意に反して認められていない経路で通勤すると、規程違反に該当する可能性があります。
例えば、前記の日暮里~代々木間においては、JR山手線の内回りが最短ルートにはなりますが、山手線に外回りで乗車し、秋葉原でJR総武線に乗り換える経路でも通勤自体は可能です。しかし以下に挙げるような行為は社内規程に違反する恐れがあります。
 

・内回りで申請しているにもかかわらず外回りの定期券を購入する
・会社に申告せず、自腹を切って別ルートの定期券を購入して実際の通勤経路を変える

実際に八王子市では、通勤手当の不正受給が発覚し、大規模な返納・懲戒処分が行われた事例があります。
また、通勤中に何らかのけがをした際は労働者災害補償保険(労災保険)の対象になりますが、認められていない経路での通勤は「逸脱」や「中断」と見なされ、補償の対象として扱われない恐れがあります。
この場合の逸脱は通勤中に就業や通勤と関係のない目的で合理的な経路をそれること、中断は通勤の経路上で通勤とは関係ない行為を行うことです。しかし、以下の行為は逸脱・中断の例外として認められます。
 

・日用品の購入
職業訓練の受講
・選挙権の行使
・病院や診療所での治療
・親族の介護

これらに当てはまらない逸脱・中断行為の最中に、万が一事故などに遭った際は、原則として補償の対象になりません。そのため、別ルートで通勤する行為は、規程と労災保険の両面で問題を起こさないためにも慎むべきでしょう。

まとめ

3月のJR運賃改定により通勤定期券の料金が大幅に値上げされたため、会社からより値上げ率の低い経路での通勤を指定される可能性も考えられます。
認められた経路または合理的な経路・方法以外での通勤は規程違反に該当する可能性や、労災保険の対象外になる恐れもあるため、指定通りの経路で通勤することが重要です。ただし、経路の指定は会社側の裁量による部分もあるため、交渉の余地はあるでしょう。
 

出典

東日本旅客鉄道株式会社
東日本旅客鉄道株式会社 運賃改定のお知らせ 運賃改定の主なポイント
東日本旅客鉄道株式会社 改定前後運賃検索サイト
国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
厚生労働省 労災保険給付の概要(5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー