“高市包囲網”ができつつある(時事通信フォト)

写真拡大

 自民党を総選挙で圧勝に導き、高い支持率を保っている高市早苗・首相。自民党で「一強体制」を築いたように見えたが、ここにきて異変が起きている。党執行部や側近との対立が深まり、看板政策をめぐる反発も表面化している。そうしたなか、解体されたはずの「派閥」までもが息を吹き返し、もともと無派閥の高市首相への包囲網となりつつある。"獅子身中の虫"だらけとなった党内では、誰が、何を狙っているのか――。【全3回の第2回】

【図解】「高市おろし」を狙う“獅子身中の虫”289人相関図

自民党内で急速に進む派閥復活

 一強と思われている高市首相の「威令」が党内に及ばないのは、皮肉にも選挙の大勝で党内基盤の弱さが露呈したことも関係している。議席を大幅に増やした自民党では今、派閥復活、再編の動きが急速に進んでいる。

 先頭を切ったのは反高市勢力の1人、武田良太・元総務相だ。旧二階派を継承する形で4月2日に事実上の武田派「総合安全保障研究会」を旗揚げ。22人が参加した。

 武田勉強会に参加した平沢勝栄・元復興大臣が語る。

「今回の総選挙で自民党には66人の新人議員が入ってきた。これだけ人数が増えると、党組織だけでは教育や対応が間に合わず、『何をすればいいのか?』と道に迷ってしまう。そういう状況では先輩議員が指導する仕組みが必要だから、従来の派閥とは違ってカネが関わらない議員同士が助け合う勉強会や会合がそれぞれ立ち上がっている。今の時点でポスト高市を考えているわけではない」

 ただ、旧二階派でも総裁候補の小林鷹之・政調会長は勉強会に合流せず独自のグループ結成に動いている。

 これに慌てているのが小泉進次郎・防衛相だ。前回総裁選では旧二階派、菅グループ、石破茂・前首相支持派らを核に勢力を集めたが、後ろ盾だった菅義偉・元首相も二階俊博氏もすでに引退した。

「これまで無派閥を通してきた小泉氏だが、派閥再編の動きが出ているので次の総裁選では自前で推薦人を集める必要がある。前回応援した"チーム進次郎"の中堅・若手や旧菅グループ議員らを中心に勉強会結成を考えている」(小泉支持派議員)

 旧岸田派も2つに割れつつある。派閥の後継者と見られているのは林芳正・総務相だが、総裁選で林氏ではなく小泉支持に回った木原誠二・元官房副長官が旧岸田派議員との会合を定期的に開いており、林氏との跡目争いの真っ最中なのだ。

 かつての最大派閥・旧安倍派で5人衆と呼ばれた萩生田氏、西村康稔・党選対委員長、松野博一・党組織運動本部長が派閥再結集に動いているが、会合への参加者は20〜30人にとどまっており、かつての勢いはない。

影響力を強める最大派閥となった麻生派

 代わって最大派閥となったのが麻生派だ。新人議員の積極的な勧誘で拡大路線を取り、副総裁、幹事長、衆院議長などのポストを独占。「潜在的反高市勢力」として党内での影響力を強めている。

 政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。

「先の衆院選で、落選していた裏金議員らが復帰した。彼らは『禊は済んだ』と派閥の再編に動き、派閥政治が復活しつつある。党内にコアな支持勢力がない高市首相が高い支持率をバックに強権を振るおうとすれば求心力は下がり、党内は言うことを聞かなくなる」

 来年9月には党総裁選がある。本来、総選挙でこれだけ勝った総理・総裁が再選を目指すと言えば無投票再選の流れだ。

「しかし、自民党議員たちには今の首相が"裸の王様"に見えている。持病のリウマチの存在や体調不良による外交日程の取りやめがあったことなどから高市首相の"健康不安説"が報じられていることも、反高市の勢力を勢いづかせる。総裁選が派閥の合従連衡で決まるとなれば、引きずり下ろそうという動きが出てくる」(同前)

(第3回に続く)

週刊ポスト2026年5月1日号