NASAの超音速実験機「X-59」が着陸脚を収納した飛行に初成功 独特な機体形状の性能検証へ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年4月15日付で、開発中の超音速実験機「X-59」が、初めて着陸脚を収納した状態での試験飛行を完了したと発表しました。X-59は、これまで騒音問題で制限されてきた陸上での商業超音速飛行の実現を目指す、NASAの「Quesst(Quiet Supersonic Technology)」ミッションの中核を担う機体です。

着陸脚を収納した初のフライトに成功
NASAによると、初の着陸脚収納フライトはアメリカの現地時間2026年4月3日に実施されました。テストパイロットのJim "Clue" Less氏が操縦桿を握ったX-59は、カリフォルニア州のNASAアームストロング飛行研究センターを離陸。90分間にわたる飛行で、最大高度2万フィート(約6100メートル)、最高速度は時速約460マイル(時速約740キロメートル)に到達しました。
通常、実験機は安全上の理由から、初期の試験飛行を着陸脚を下ろした状態で行います。所定の性能基準を満たしたことが確認された後、初めて脚を収納するステップへと移行するため、今回のフライトはX-59のテストにおいて重要なマイルストーンとなります。
独特な機体形状が持つ性能を本格検証へ
NASAによると、X-59の長く尖った機首をはじめとする特異な機体形状は、超音速飛行時に発生する轟音(ソニックブーム)を比較的静かな「ドスン」という音(ソニックサンプ)にまで軽減するための、極めて重要な設計要素です。
着陸脚を収納した本来の姿で飛行するX-59からは、空気力学的なデータを本格的に収集できるようになります。静かな超音速飛行の実現に向けて、X-59の機体形状が持つ性能がいよいよ検証されていくことになります。
【▲ 着陸脚を収納した状態で初めて飛行するNASAの超音速実験機「X-59」(動画)(Credit: NASA)】
Quesstミッションの今後の展望
2026年4月10日の時点で、X-59は合計8回の試験飛行を完了しています。現在は安全に飛行できる範囲(フライトエンベロープ)を拡大していくプロセスが順調に進められており、重要な目標のひとつである超音速の到達に向けて、段階的に飛行速度と高度を上げている段階です。
今後のQuesstミッションは、アメリカ国内の複数の地域の上空を実際に飛行して、住民がどのように音を感じたかを調査する「コミュニティ調査」へと移行することが計画されています。ミッションの最終的なゴールは、これらの調査で得られたデータを国内および国際的な規制機関に提出し、陸上超音速飛行に関する新たな騒音基準を確立することです。
次世代の超音速旅客機の実用化に向けて、X-59は着実に飛行を重ねています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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