柳楽優弥さんが『A-Studio+』に出演。撮影前のルーティンを語る「釣りにハマって一級船舶免許を取得。残るは空だけ。何事も挑戦せずにはいられない」
2026年4月17日放送の『A-Studio+』に柳楽優弥さんが登場。撮影前のあるルーティンや、家族について語ります。そこで今回は柳楽さんが俳優への思いを語った『婦人公論』2021年8月10日号の記事を再配信します。*****14歳で鮮烈なスクリーンデビューを果たし、以降さまざまな作品で印象的な役を演じてきた柳楽優弥さん。経験を積んでもなお、満足することはないと言います(撮影=宅間國博 構成=上田恵子)
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稽古事にハマっています
昔から、稽古事や習い事をするのが好きで、興味をひくものに出合うと挑戦せずにはいられません。なかでも長く続けているのは護身術。10年ほど前、一時俳優業から離れてアルバイトをしていた時期に、「かっこいい男になるには武道だろう!」という発想で通い始めました。昇段して帯の色が変わっていくのが楽しいですし、今も道場へ行くと、初心に戻れる気がして身が引き締まります。
同じように、「品のある人間になりたい」という思いから茶道も習っていますし、食への関心が高まって味噌を手作りしてみたり……。入り口は単純な興味ですが、いつか何かの形で仕事に役立てばいいなという思いもあります。
コロナ下ではアウトドアで過ごすことが増え、釣りにハマったことを機に一級船舶免許を取得しました。現時点でゾウ、馬、バイク、車、船に乗れるので、陸海空のうち残るは空だけ。実は、ヘリコプターの操縦免許についてはネットで調べ済みです。(笑)
今年の4月からピアノも始めました。実は高校生の時に一度挑戦したものの全然ハマらなかったんですが、再度やってみたら楽しくて。ベストなタイミングって、若い時に限らず、人生のあちこちにちりばめられているのかもしれませんね。
今は坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」の初心者バージョンを練習中で、結構弾けるようになりました。僕は、毎朝必ずお風呂に入るのですが、給湯ボタンを押してからお湯が張り終わるまでの間、ピアノを弾きながら待つのが日課です。
また2019年には、ニューヨークに語学留学しました。知り合いのパンケーキ屋さんで手伝いをしながら語学学校に通ったのですが、その異文化体験がすごく楽しかった。
その店では週末になると、スタンダップコメディ(即興話芸)が上演されるんです。最初は聞き取れなかった英語が、徐々にわかってくるのが嬉しかった。3ヵ月という短い期間ながら、充実した時間を過ごせました。
僕はゼロから勝ち上がって成功をつかんだ人の人生に対するあこがれがあって、矢沢永吉さんの著書『成りあがり』が大好きなんです。音楽でも反骨精神あふれるヒップホップやブラックミュージックを好んで聴くのですが、ニューヨークでジャズを聴いた時に「すべてのルーツはここにある!」と感じて。
ピアノに惹かれたのも、もしかしたらそれが理由かもしれません。もっとうまくなったら、セッションをしてみたいです。
共演者たちに支えられて
この夏、主演した『映画 太陽の子』が公開されます。この作品は、太平洋戦争末期に実在した「F研究」という日本の原子核爆弾の研究・開発を題材にしています。僕が演じるのは、京都帝国大学・物理学研究室の石村修。アメリカより先に原子核爆弾を開発すべく、研究に全力で取り組んでいる科学者です。

若き科学者・石村修は、研究に魅せられ、危険も冒して取り組む (C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
僕はこの事実を知らなかったので、「戦時中こういうことがあったのか」と確認しながら台本を読み進め、衝撃的な作品だと感じました。その威力に恐怖を感じながらも、科学者として原子核爆弾の研究に魅了されていく――。これも、戦争の恐ろしさの一面なのだと感じました。

「家族をはじめ、女の人に支えられている自覚もあり、女性ってかっこいいと思っています。」
映画では、幼なじみの世津を有村架純さんが、僕の弟・裕之を三浦春馬くんが演じています。2人とは何度か共演させてもらっているので、すごく心強かったですね。特に春馬くんは、10代の頃からともにこの世界で過ごしてきた同世代の役者の一人。やっぱり最高だなとあらためて思いました。ライバルのような部分もありながら「一緒にここまで来たよね、俺たち」と感じ合える人はあまりいないですから。
そして架純さんは、ものすごくしっかりしているんですよ。架純さん演じる世津は、戦時下でも冷静に未来を見据えている女性。芯の強い彼女と重なる部分がある役柄だと思いました。
修の母親役は田中裕子さん。12年の舞台『海辺のカフカ』以降、何度かご一緒している大好きな方です。現場では緊張もしますが、同時に「裕子さんがいてくれるから大丈夫」と安心して臨めます。今回も、作品を通して静かな眼差しで息子たちを見守る、深い母の愛を感じました。

有村架純さん演じる世津(左)と、田中裕子さん演じる修の母・フミ(中央) (C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
僕は、これをやろうと決めたら一所懸命取り組むのですが、どこまでも行っちゃうみたいなところがあって(笑)。家族をはじめ、女の人に支えられている自覚もあり、女性ってかっこいいと思っています。
映画のテーマは重いものの、研究を離れれば修は普通の若者で、僕たちと同じような悩みを抱えています。それに、目の前のことに夢中になって没入していくところは僕にもある。
青春を楽しんだり家族と過ごしたりと、温かな時間もちゃんとあって、戦時下といえども、人としてのあり方は現在と変わらないことを知りました。なかでも修と世津と裕之が京丹後の海で過ごすシーンがとても美しいので、ぜひご覧ください。
僕らしい場所を見つけたい
僕は14歳の時に、映画『誰も知らない』に出演し、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことで突然注目される立場になりました。演技ということがあまりわかっていない状態でしたので、賞に見合うようにならなければと、たくさん失敗しながら今日まで歩んできました。
演技については、場数を踏んだぶん成長していると信じたいですが、満足はしていないです。一所懸命演じても、必ずしも良い評価をもらえるとは限らない。でもその悔しさをモチベーションにして、もっとうまくなりたい、もっと頑張ろうと自分を奮い立たせてきたつもりです。
自身が出演した作品を振り返って観ることは少ないですね。5年、10年と月日がたてば、昔の日記を読むような感覚で観返せるかもしれないけれど、たとえば今、14歳の頃の演技を観たら、「えっ、できてないじゃん?」と感じると思います。
最近になって、レオナルド・ディカプリオが環境問題をテーマにした映像を何本も製作していることを知りました。しかも彼は、32歳くらいでそれを撮っているんです。現在31歳の僕からしたら、驚きでしたし、素晴らしいことだな、と。もちろん同じことがしたいわけではないけれど、模索しながら僕らしい場所を見つけたいと思っています。
今は、世界同時動画配信が可能なNetflixのような新しいサービスが出てきたおかげで、海外との距離が縮まり、演じる側の可能性も広がってきました。海外作品に出演しなくても、あらゆる国の人に観ていただける可能性があり、大きく状況が変わってきているなと思います。僕も今後、より多くの国の人に観ていただける俳優を目指したいです。
その一方で、原節子さんの生き方に憧れてもいて、40歳くらいで突然引退! なんてこともあるかもしれないけれど(笑)。今は、30代でもう一花咲かせたいと思っています。花を咲かせまくって満開にしたいです。
