記事のポイント
セフォラがKビューティー戦略をヘアケアに拡大、2026年4つの韓国ヘアケアブランドを導入予定している。
先陣を切るアノブとドクターグルートは、スキンケア発想の韓国式ヘアケアで米国市場を開拓している。
オリーブヤングとの提携でKビューティーのカテゴリー拡大を加速、単なるトレンドにとどまらない。


大手ビューティーリテーラーのセフォラ(Sephora)が、Kビューティーの次なる成長領域としてヘアケアに本格参入している。

約1年前、セフォラはGlossy Popの取材に対し、2025年に韓国スキンケアのポートフォリオを倍増させると明かしていた

現在、ポートフォリオには17ブランドが名を連ねる。最近の追加には、アモーレパシフィック(Amorepacific)傘下の老舗ブランドであるエストラ(Aestura)、シートマスクで話題を集めたバイオダンス(Biodance)、人気のSPF製品で知られるビューティーオブジョソン(Beauty of Joseon)などがある。

2026年に入ってからは、同じくアモーレパシフィック傘下のアイオペ(Iope)、アレンシア(Arencia)、PDRN配合で注目のリジュラン(Rejuran)、初のヘアケアブランドとなるアノブ(Unove)を導入した。

4月1日には、2つ目の韓国ヘアケアブランドとして、LG傘下のドクターグルート(Dr. Groot)がオンラインで発売される。5月15日からは店頭展開もはじまる予定だ。

2026年、セフォラはKビューティーへの投資ペースを落とす考えはない。

オリーブヤングとの提携でKビューティー拡大を加速



セフォラでヘアケアマーチャンダイジング担当シニアバイスプレジデントを務めるジェニファー・ルケーゼ氏は、「韓国ビューティーのなかで新たなカテゴリーに進出できることをうれしく思っている。とくに、韓国の大手ビューティー&ヘルスリテーラーであるオリーブヤング(Olive Young)との提携を最近発表したばかりだ」と語った。

提携は今秋にスタートし、セフォラの店内にオリーブヤングが厳選した韓国ビューティートレンドのプロダクトを集めたセクションが設置される。

ドクターグルートは、セフォラが2026年導入する韓国ヘアケアブランド4つのうちの2番目だとルケーゼ氏は述べ、各ブランドが「手の届きやすい価格帯で、革新的かつ結果重視のヘアケアを提供する」と付け加えた。

韓国ヘアケアの先駆け、アノブの「ガラスヘア」戦略



1月中旬に導入されたアノブは、13ドル(約2000円)から28ドル(約4200円)の価格帯で、7つのSKUをもってセフォラにデビューした。

アノブのブランドディレクターを務めるセレナ・ムーン氏は「韓国では、ヘアケアはスタイリングだけのものではない」と語る。

「スキンケアにずっと近い考え方だ。韓国のスキンケアに使われているのと同じ高機能な有効成分を、ヘアケアにも応用している」。

インスタグラムでは、アノブのグローバルアカウントのフォロワーが5200人、韓国アカウントが5万2000人。TikTokのグローバルアカウントは9000人以上のフォロワーを抱える。

アノブには2つの主力コレクションがある。ひとつはフリッズ(うねり)を抑え「ガラスヘア」をめざすライン、もうひとつはダメージ補修に特化したヒーローラインだ。

シャンプーやコンディショナーのほか、ヘアマスク、洗い流さないコンディショナー、ヘアオイル、テイミングワンドもラインアップに含まれる。

アノブは米国市場への参入にあたり、セレブリティヘアスタイリストのジェニー・チョー氏を起用して米国のオーディエンスへの認知拡大と信頼性の構築を図ったと、ブランドの米国マーケティングマネージャーであるタラ・キム氏は語った。

ブランドの主力成分は高濃度ケラチンで、髪をなめらかに整え、強化する効果があるとされる。

スカルプケアで差別化するドクターグルート



セフォラに新たに加わるドクターグルートの差別化ポイントは、スカルプ(頭皮)ケアへの注力にある。

LG生活健康(LG H&H)USAのセールスディレクターであるタイラー・リー氏はそう語った。

LGは2017年にドクターグルートを立ち上げ、2023年にまずAmazonを通じて米国市場に参入した。インスタグラムでのフォロワーは3万人、TikTokでは6万9000人を擁する。

公式パートナーではないものの、セレブリティヘアスタイリストのマーク・タウンゼンド氏はドクターグルートを一貫してサポートしてきた。

メディアイベントを主催してプレスに紹介し、ソーシャルコンテンツも投稿している。タウンゼンドと制作したコンテンツは、コネクテッドテレビ広告やペイドメディアにも活用された。

LG生活健康USAのPR責任者であるスーザン・スモール氏は、タウンゼンドの支持がブランドの米国でのトラクション獲得に大きく貢献したと語った。

「韓国ヘアケアのことなど誰も知らなかった。ビューティーエディターたちが試すきっかけを作ったのは彼だ。一度試せば、みんな虜になった。プロダクト自体が良質で、きちんと効果がある。だが、人々の興味を引いたのは間違いなく彼の力だ」。

2025年のKビューティー復活以降、セフォラはトレンドの次の展開に注目してきた。新たなスキンケアの導入に加え、2月には韓国のカラーコスメブランドであるラカ(Laka)も導入された。

「セフォラはスキンケアを軸にKビューティーの第二次ブームを推進していた。ヘアケアの『スキニフィケーション(スキンケア化)』トレンドを見据え、Kビューティーの次の大きな波はヘアケアではないかと感じはじめていたのだろう」とリー氏は語った。

「ちょうどそのタイミングで、ドクターグルートは米国で大きく伸びていた。ブランド自体はかなり前から存在していたが、クリエイターたちとのすばらしいパートナーシップが注目されはじめていた」。

リー氏によると、リテールパートナーシップは需要に基づき、2025年初頭から交渉が進められていた。

データが証明するドクターグルートの急成長



セフォラの判断が正しかったことは、データが裏づけている。

ドクターグルートは、インフルエンサーマーケティングプラットフォームのトラッカー(Traackr)が発表した2025年の注目ヘアケアブランドランキングで2位を獲得した。ランキングは、VIT(ビジビリティ=リーチ、インパクト=エンゲージメント、トラスト=ブランド言及の質を分析する独自指標)の成長率に基づいている。

また、インフルエンサー分析企業トライブダイナミクス(Tribe Dynamics)のポートフォリオのなかでもっとも急速に拡大しているクリエイターエコシステムでもあり、クリエイターコミュニティは2400人以上に達し、2024年から2025年にかけて前年比750%増を記録した。

アーンドメディアバリューは1810万ドル(約27億円)に上昇(前年比403.4%増)、Amazon、D2C、TikTok Shopを含む米国デジタル純売上は前年比1027%増となった。

「薄毛やスカルプヘルスは多くの顧客にとって大きな関心事であり、ドクターグルートはこの分野の最前線にいる。先進的で臨床的に裏づけされたソリューションを提供し、韓国で薄毛対策ヘアケアブランドNo.1の高い信頼性を持っている」とルケーゼ氏は、ドクターグルートがセフォラにとって魅力的な理由を語った。

Kビューティーは「トレンド」ではなく真剣に向き合うべき「カテゴリー」



韓国ヘアケアは「韓国スキンケアと同様に、レジメン(段階的ケア)を基本哲学とし、長期的なスカルプヘルスをサポートするやさしく軽やかなトリートメントに重きを置いている」とルケーゼ氏は述べた。

「それによって健やかな髪を実現する。話題の『ガラスヘア』もひとつだ」。

「マーチャンダイジングチームは、導入する各ブランドが空白地帯を埋め、顧客それぞれのニーズや関心に応えるよう細心の注意を払っている」とルケーゼ氏は続ける。

「効果のあるプロダクトを優先しつつ、プロダクト教育をさらに深め、韓国から米国へ重要なトレンドを紹介することに注力している。オーディエンスに伝えたいのは、Kビューティーは単なるトレンドではなく、真剣に受け止めるべきカテゴリーであり、今後も成長し拡大し続けるに値するのだ」。

セフォラと同様に、大手ビューティーリテーラーのアルタ(Ulta)も2025年にKビューティーへの投資を強化し、7月にスキンケアとカラーコスメで13の新ブランドを導入した。

アルタのWebサイトでは、クンダル(Kundal)やテンギモリ(Daeng Gi Meo Ri)などの韓国ヘアケアブランドも扱っているが、各ブランドが自社で注文対応を行っている。

[原文:Sephora doubles down on K-Beauty hair care]

Sara Spruch-Feiner(翻訳、編集:藏西隆介)