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J2で2年連続16位という苦境に喘ぐ大分トリニータ。その再建の鍵を握るのが去年、強化の最高責任者に就任した吉岡宗重スポーツダイレクター(SD)です。かつてスタッフとしてクラブを支え、その後、常勝軍団・鹿島アントラーズで14年のキャリアを積んだ男が、古巣再生のために掲げたのは「湧き上がるフットボール」。シーズン開幕を前に、吉岡SDが描くトリニータの未来図と覚悟に迫ります。

【写真を見る】トリニータ再建へ 「強いチームは足並みを揃える」名門・鹿島の流儀を知る男、強化責任者が明かすロードマップ

「何でも屋」から始まったキャリア

大分市出身の吉岡宗重SD。日本文理大学で指導者を務めていた際、当時の強化担当だった片野坂知宏氏に誘われ、スタッフとしてキャリアをスタートさせました。

吉岡SD:
「このJリーグで働くきっかけをくれたのは、片野坂さんなんです。その間にシャムスカ監督の通訳もしましたし、もう『何でも屋』でした」

ナビスコカップ優勝やクラブの財政危機を経験したあと、J1の強豪・鹿島アントラーズへ移り、14年にわたり強化に携わりました。

吉岡SD:
「どれだけ勝利に対する空気感を作っていけるのか。J1で戦ったり、アジアで戦ったりしているクラブの空気感に近づけるような努力をしていく必要があると痛感しています」

クラブの哲学を定義

吉岡SDは去年、クラブに20年以上携わった西山哲平GMから強化責任者のバトンを引き継ぎ、低迷が続く要因を徹底的に分析しました。

吉岡SD:
「構えて守備をするサッカーになってしまって、攻撃の起点となる場所がしっかりと明確になっていない。攻撃にかけるパワーがなかなか見えづらいシーズンだったんじゃないかな」

その根底には、戦術や方向性が現場任せになり、あいまいになっていた部分があったといいます。そこで吉岡SDを中心に、クラブの哲学や目指すサッカーを明確に打ち出しました。

吉岡SD:
「これからの大分を作っていくといった思いを込め、三位一体をピッチで表現する『湧き上がるフットボール』をやっていきたいと思っています」

「昇格請負人」の招聘

プレーで3人目が連携する意味も込めた三位一体。攻守で次々と選手が出て、応援する人もわき上がる。プレーの指針やクラブの在り方、すべてを一つの言葉に集約しました。

吉岡SD:
「三位一体=トリニティは、前身のチーム名でありますし、エンブレムには情熱とパワーという意味が込められているんです。その形として『湧き上がるフットボール』というものを表現してほしいと選手たちに説明しています」

「私が来たから新しいものを作るということではなくて、これまで培ってきたものをしっかりと土台として活かしながら、これからのフットボールというのを作っていきたいと思っています」

今シーズンからは、「昇格請負人」と呼ばれる四方田修平監督を指揮官に招きました。

吉岡SD:
「交渉前、最初はざっくばらんに食事に行くところから始まり、そこでのフィーリングはすごく良かったです。早い段階でフットボールのディスカッションをしっかりし、合致するものが多かったので、これはもう間違いないなと思ってオファーをさせてもらいました」

秋春制へ移行…思い切ったチャレンジを

また、将来を見据えて大卒5人や、J3で活躍する若手選手を新たに獲得しました。

吉岡SD:
「大卒の選手はエネルギーもありますし、これからアグレッシブなフットボールをやっていく上で、その若い力が必要です。育成型クラブとして、プロ選手の第一歩をしっかりとサポートできると思っているので、そういった人材を入れていくことをまず第一に考えました」

Jリーグは今年からヨーロッパのシーズンにあわせ、猛暑の時期を避けるために「秋春制」へ移行。2月からは、昇格・降格のない約5か月間の特別リーグを戦います。

吉岡SD:
「思い切ったチャレンジができると考えています。チーム作りの上で、自分たちが狙いとしている戦い方を試し、リスクを負ってでも『湧き上がる守備』をしていく。そういうことをやっていかなければ、新しいものは構築できないと思いますし、その中で当然、勝利も追求していきます」

クラブ創設32年目。J1昇格を掲げながらJ2で停滞している現状を変えるため、これからのトリニータを作り上げていきます。

吉岡SD:
「強いチームというのは、クラブ全体で足並みを揃えています。今回はクラブ、現場、監督の方向性について、しっかりと打ち出せているので、成長して最後に皆さんと喜べるようなチームになっていければと思っています」