この記事をまとめると

■タイヤから空気が抜けるメカニズムを考察

■タイヤとホイールは100%密閉されていないのが原因とされる

■酸素より安定した性質を持つ窒素を入れると空気圧の低下が緩やかになる傾向にある

タイヤの空気はそもそもなぜ抜けるのか

 タイヤの空気圧に関して、どの程度気にしているだろうか? 定期的にチェックしている人は、失礼ながらそんなには多くないような気もする。自分自身も含めてだが、なんとなくステアリングの手応えがおかしい、乗り心地が変だ、と思ってチェックしてみたら、空気圧が低下していたと気付くケースが往々にしてある。

 では、なぜ空気圧が下がるのか、考えてみたことがあるだろうか。開き直った言い方ではないが、下がるものは下がる、減ったら補充すればいい、空気圧が下がったのは自然に漏れているからだろう、と漠然と捕らえ、深く考えることはないように思う。

 そこで今回は、なぜタイヤの空気圧が減るのかを考えてみることにした。まず、通常タイヤ内に封入されているのは空気だが、空気の構成成分は、多い順に窒素が約78%、酸素が約21%、アルゴンが約0.93%、二酸化炭素が約0.03%の内訳になっている。大ざっぱに言えば、タイヤ内の封入気体は、窒素と酸素が8対2の比率で、このいずれか、あるいは両方が漏れ出すことで、タイヤの空気圧は低下すると考えてよいのだろう。

 で、あればどこから漏れ出すのか。タイヤ内の空気が、タイヤ以外の他の部位と接触しているのは、ホイールとの接触面となるビード部と、空気の注入に使うエアバルブ部ということになる。このいずれかから漏れ出しているのだろうか? 調べてみたが、正常なビード部とホイールリム部であれば、空気漏れは皆無に近い。ただし、タイヤを組み替えた直後の空気圧低下であれば、作業によるビード部の損傷、リム部の変形、損傷(ほんのわずかなレベルだと考えられるが)が原因となる場合がある。

 エアバルブは、長期間の使用中にホイールと接する取り付け部やバルブ(ムシ)の部分が劣化し、それによって徐々にタイヤの空気圧が低下することも考えられるが、厳密に言えば、新品といえどもビード部やエアバルブでの空気密閉度は100%でなく、0.00何パーセントかの割合いで空気が漏れ出ていることも十分考えられる。

窒素ガスを入れるとメンテナンスが少し楽になる可能性あり

 では、これだけの原因で空気圧は低下するのだろうか。大事な要素をひとつ見落としていた。タイヤ内部の封入気体が、タイヤゴムの分子間をすり抜けていってしまう例だ。パンパンにふくらませた風船が、しばらく経って気がついたら、空気が抜けてしぼんでいたという経験はないだろうか。中に入れた空気が抜け出ないよう、風船のふくらませ口を縛っているが、そこでの密閉状態が完全ではなく、そこから漏れ出ていったとだけ考えてよいものなのだろうか?

 空気を構成する窒素分子や酸素分子が、タイヤのゴム分子間をすり抜けて漏れ出てしまっている、という見方もできるのだ。その際、酸素より窒素のほうが分子が大きいので、酸素のほうが漏れ出やすい、と考えることができる。

 ちなみに、タイヤの封入気体を空気ではなく窒素を使う例もあるが、窒素は常温、常圧下ではきわめて不活性な物質であり、かつ他の不活性ガスと比べると安価なため、タイヤの使用条件を安定させたい(温度変化による体積変化など)航空機やレーシングカーなどで好んで使われている。空気漏れに関しては、酸素よりは漏れにくいというレベルで、タイヤ内圧が低下しないということではない。

 ちなみにタイヤの空気圧管理は、乗っても乗らなくても、1カ月に1度の定期チェックで十分対応できると考えてよいだろう。ちなみに、窒素ガスの充填は、ネットで調べてみたところ、1本あたり500〜600円程度でタイヤプロショップが行っているようだ。気になる方は、1度試してみるとよいかもしれない。