真核生物が誕生していなかった25億年前というはるか昔に形成された鉱物から、生命の痕跡が発見されました。ルビーから生命の痕跡が発見されたのは初めてのことであり、調査により、発見された痕跡は藻類(シアノバクテリア)のものであったことが分かっています。

The corundum conundrum: Constraining the compositions of fluids involved in ruby formation in metamorphic melanges of ultramafic and aluminous rocks - ScienceDirect

https://doi.org/10.1016/j.chemgeo.2021.120180



For The First Time Ever, Evidence of Ancient Life Was Discovered Inside a Ruby

https://www.sciencealert.com/evidence-of-ancient-life-has-been-found-trapped-inside-a-ruby

Some of the world’s oldest rubies linked to early life | Waterloo News | University of Waterloo

https://uwaterloo.ca/news/media/some-worlds-oldest-rubies-linked-early-life

カナダ・マギル大学の地質学者であるヴィンセント・ヒンスベルク氏らの研究チームは、もともと世界で最も古い鉱物の形成プロセスについて研究を行っていました。その際、25億年前に形成されたルビーから、炭素から成る鉱物であるグラファイトの残留物を発見しました。



ルビーは形成の過程で不純物を取り込むことがあるため、ルビーから見つかったグラファイトは古代から保存され続けた何らかの生命の痕跡であることが期待されました。しかし、グラファイトは有機物が変化して生まれる可能性がある一方、鉱物などの無機物から生まれる可能性もあったため、研究チームは炭素同位対比を決定することでその起源の特定を試みました。

その結果、ルビーから見つかったグラファイトは有機物由来であることが研究チームにより確認され、鉱物の年代からその有機物がシアノバクテリアであると結論付けられました。また、グラファイトが存在するという事実は、鉱石の形成を阻害する二酸化ケイ素を取り除く流体が存在した可能性を示唆しており、グラファイトの発見は鉱物の形成プロセスについて特定する手がかりにもつながったとのこと。



by Dave Thomas

研究に参加したクリス・ヤキムチュク氏は「ルビーを含む鉱物で生命の痕跡を発見したのはこれが初めてです。グラファイトはルビーと生命を結び付けただけでなく、ルビーの形成についてのヒントも与えてくれました」と述べました。