うまく機能していない集団にありがちな問題として、メンバーの実力がきちんと評価されていないということがあります。心理学者の齊藤勇先生によると、メンバーが実力を発揮すれば解決できる問題も、その人が評価されず、適切なポジションについていないから、解決できないのだそうです。その理由や背景をうかがいました。

≪目次≫

能力が軽視されるのは母性原理が働くため

この問題の原因となるのは、母性原理である。母性原理が働いている集団では、メンバー全員が平等に扱われる。

平等なのでよいことのように思えるが、そこではメンバーの能力による序列が重視されないので、実力がある者が上のポジションにつくことがない。また、「出る杭は打たれる」ということわざのように、突出した人の足を引っ張る傾向がある。

日本の社会は母性原理型

一般的に日本の社会は、この母性原理型だといわれている。会社などで年功序列の組織づくりが行われていたのは、母性原理が働いていたからだ。母性原理はメンバーに優しい面もあるが、人材が活用されないといったデメリットもあると知るべきだろう。

メリットとデメリットの両方がある母性原理

母性原理は組織のメンバーの能力による序列を重視しない。年功序列での組織づくりが、その典型例だ。一方、能力での分類を重視するのが父性原理。こちらの組織づくりでは成果主義が取り入れられる。

母性原理のメリット・デメリット

メンバーを平等に扱うので争いが起きず、協調性が育つというメリットがある。一方、「出る杭は打たれる」という傾向も生まれるため、能力が高い人が活躍しづらいというデメリットもある。

教えてくれたのは……

齊藤勇(さいとう・いさむ)

【Profile】
立正大学名誉教授。日本ビジネス心理学会会長。特に人間関係の心理学として対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。心理学番組の監修を務めるなど、心理学ブームの火付け役となった。主な編・著書・監修書に『イラストレート心理学入門』『イラストレート人間関係の心理学』(ともに誠信書房)、『やってはいけない ダークサイド心理学』『これならできる! 世界一やさしい心理操作テクニック図鑑』『人間関係のストレスが消える! 職場の心理術』(いずれも宝島社)など。

(抜粋)



監修/齊藤勇

編集/木村伸司、大野はるか(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇WEB編集/FASHION BOX※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください