広角の「iPhone 11 Pro」vs望遠の「 HUAWEI Mate 30 Pro」 最強スマホカメラをじっくり撮り比べ


待望のトリプルカメラを搭載し、超広角撮影も可能になったiPhone 11 Pro。夜景モードも追加され、撮影画質も高く評価されているようです。

しかし、筆者は知っています。スマートフォンにおいてカメラのトレンドをリードしていたのはiPhoneではなく、Androidだと。そして、その牽引役となっていたのが、世界的な老舗カメラメーカー・ライカと協業するファーウェイです。

そこで、iPhone 11 Proと、ファーウェイの最新フラッグシップのHUAWEI Mate 30 Pro(日本未発売)のメインカメラで、いろいろなものを撮り比べて見ました。

景色がきれいに撮れるのはどっち?

まずは、晴れた日の景色を撮り比べてみました。

■iPhone 11 Proで撮影

■HUAWEI Mate 30 Proで撮影

どちらもメインカメラ(広角)で撮影。HUAWEI Mate30 Proは、カメラが被写体やシーンを認識して、自動で最適な設定になるAIをオンにしました。

樹木や芝生、赤いモニュメントなどは、どちらも見たままに近い色で撮れました。しかし、空は、HUAWEI Mate 30 Proのほうが青く写りました。記憶色に近づくように補正されたようです。iPhone 11 Proは、青空も肉眼で実際に見える色に近いトーンで撮影されました。雲に階調が細かく、立体的に見えるように撮れたことにも驚きました。

夜景がきれいに撮れるのはどっち?

続いて、夜景を撮り比べてみました。どちらもメインカメラ(広角)で撮影。iPhone 11 Proの夜景モードは、夜景を認識すると自動的に起動し、シャッタースピードが遅くなります(手動での調整も可能)。今回の撮影シチュエーションでは「1秒」に設定されました。HUAWEI Mate 30 Proは「夜景モード」に設定して撮りました。撮影に4〜5秒ほどを要し、長時間露光とノイズ低減、手ブレ補正などの組み合わせによって、鮮明な画質で撮れる仕組みです。

■iPhone 11 Proで撮影



■HUAWEI Mate 30 Proで撮影


どちらも、スマホでここまで撮れるとは! と驚くほどキレイな夜景写真が撮れました。画質や色調は、ほとんど差がないように見えますが、HUAWEI Mate 30 Proのほうが、明暗差がはっきりとして、コントラストが強く出る印象です。iPhone 11 Proは、ライトアップによって、温かみのある色調になる駅舎がそのまま写った感じ。微妙な違いなので、好みが分かれるかもしれませんね。

料理が美味しそうに撮れるのはどっち?

料理も撮ってみました。日中の屋内、ある程度の自然光が入るシチュエーション。どちらもメインカメラ(広角)で、HUAWEI Mate 30 ProはAIをオンにして撮影しました。

■iPhone 11 Proで撮影

■HUAWEI Mate 30 Proで撮影

海鮮丼を撮りましたが、iPhone 11 Proは具材全体にピントが合い、後方の小皿はボケました。一方、HUAWEI Mate 30 Proは、料理を認識すると被写体深度が浅く設定されるようで、丼の中心にあるネギにピントが合いました。料理全体をぼかさずに撮るには、AIをオフにする必要がありそうです。色味としては、HUAWEI Mate30 Proのほうがホワイトバランス補正が適正で、料理や食器が本来の色で撮影できました。

人物が見栄えよく撮れるのはどっち?

iPhone 11 Pro、HUAWEI Mate 30 Proのどちらも「ポートレートモード」を備えています。それぞれの機種のメインカメラ(広角)で、「ポートレートモード」に設定して、人物を撮り比べてみました。

iPhone 11 Proは、ポートレートモードに設定すると、ライティング効果を選択できます。デフォルトは「自然光」で、背景がボケて、人物が際立つように撮影できます。HUAWEI Mate 30 Proのポートレートモードは、背景ボケと美肌効果を設定できます。デフォルトでは背景ボケはオフで、美肌効果を有効にすると10段階の5に設定されました。

■iPhone 11 Proで撮影


■HUAWEI Mate 30 Proで撮影

大きな差異が出たのは色調。iPhone 11 Proは、肌がやや黄味がかった色で写りました。要するに、東洋人らしいというか、そのままの色ですよね。全体的に、明るく柔らかい印象のポートレートに仕上がりました。一方、HUAWEI Mate 30 Proは、肌が実際よりも白く補正されました。ややコントラストが強いのが気になりますが、手動での美肌調整ができることはメリットでしょう。

逆光でも撮ってみました

いろいろなシーンで撮り比べて、結構差が出るなぁと感じたのが逆光です。どちらもメインカメラ(広角)で、HUAWEI Mate 30 ProはAIをオンにして撮影しました。

■iPhone 11 Proで撮影

■HUAWEI Mate 30 Proで撮影

iPhone 11 Proは光が反射するフレアが出やすいのに対して、HUAWEI Mate 30 Proは反射せずに、逆光が当たる建物や樹木も本来に近い色で移りました。カメラ部の構造に起因するのか否か、筆者には原因がわかりません。ただし、フレアも効果的に撮ると、かっこいいですよね。

iPhone 11 Proは超広角カメラがすごい!

iPhone 11 Proのカメラのアドバンテージは、なんといっても超広角カメラでしょう。焦点距離が15mm(35mmフィルム換算)の超広角レンズを搭載し、被写体から距離を空けずとも、広い範囲を撮影することができます。ちなみにHUAWEI Mate 30 Proの超広角レンズの焦点距離は18mmです。


▲お台場の実物大ユニコーンガンダムを撮影。5mほどしか離れておらず、見上げるような位置から撮影したが、余裕でフレームに収まった


▲超広角カメラは、遠近感を強調させたいときにも有効。超広角レンズで撮ると必然的に発生するパース(歪み)が気にならないことも利点


▲建物と看板を一緒に撮りたい、といった状況でも重宝する

iPhone 11 Proは広角で撮影した場合にも、超広角で捉えた画像が記録されます。「設定」 「カメラ」で「写真のフレームの外側を含めて撮影」をオンにしておくと、超広角レンズで捉えたフレームの外側の部分を、編集段階で生かせる仕組みです。これは、他メーカーの機種にはない、iPhoneだけの機能です。


▲「写真のフレームの外側を含めて撮影」にして撮影すると、あとで傾きを補正する際に、超広角レンズで捉えた部分を生かせる

HUAWEI Mate 30 Proはズームとスローモーションがすごい!

HUAWEI Mate 30 Proは、光学3倍ズームで撮影でき、5倍までは画質劣化がほとんど気にならないハイブリッドズームで撮影できます。さらに最大30倍のデジタルズームで撮影できます。光学5倍で、最大50倍まで設定できるHUAWEI P30 Proには及びませんが、光学2倍で、最大10倍までしか撮れないiPhone 11 Proを大きく引き離すスペックを実現しています。


▲超広角で撮影。iPhone 11 Proの超広角よりは、画角が若干狭い


▲広角(1倍)で撮影


▲望遠(光学3倍)で撮影。細かい部分も鮮明に写る


▲5倍ズームで撮影。光学+デジタルのハイブリッドだが、光学ズームと比べて遜色がない画質で撮れた


▲30倍ズームで撮影しても、そこそこの画質で撮れる

HUAWEI Mate 30 Proは、7680fps(1秒間に7680フレーム)を記録して、30fpsで再生するスローモーション動画も撮影できます。iPhone 11 Proでもスローモーションを撮影できますが、120fpsまたは240fpsでしか撮影できません。「スーパースローモーション」と謳うGalaxy S10やXperia 1などの機種でも960fpsまでなので、HUAWEI Mate 30 Proが群を抜いています。

▲7680fps(256×)で撮影したスローモーション動画。1920fps(64×)、960fps(32×)、240fps(8×)、120fps(4×)にも設定できる

なめらかな動画が撮れるのはどっち!?

最近のハイエンドスマホは、動画撮影機能も向上しています。iPhoneは、そもそも動画の画質には定評がありましたが、HUAWEI Mate 30 Proも発表会では、動作撮影性能を進化させたことをアピールしていました。

スマホで動画を撮る難しさは、撮影時にスマホが動いて、カクカクとした動画になってしまうことですよね。そこで、筆者が歩きながら動画を撮影して、画質や画面の揺れを比較してみました。

■iPhone 11 Proで撮影

■HUAWEI Mate 30 Proで撮影

どちらも光学式手ブレ補正が効いているのでしょうか、ジンバルを使わずとも、揺れがさほど気にならない画質で撮れました。画質は、ほぼ同等と思えたのですが、いかがでしょうか? 動画を撮ることが多い人は、参考にしていただけると幸いです。