若者に蔓延する薬物“ゾンビたばこ”=エトミデートの実態 少年院で語られた後悔「気づいたときには手遅れ」逮捕者多い沖縄で取材「失恋してつらくなったら吸う」密売人に話を聞くと…【連載・ゾンビたばこ(2)】
“ゾンビたばこ” 特に逮捕者が多いのは沖縄 SNS上で販売を持ちかけも
最近よく耳にする危険ドラッグ、“ゾンビたばこ”。今月、広島東洋カープに所属していた元プロ野球選手の羽月隆太郎被告に有罪判決が言い渡されるなど、摘発が相次いでいる。
【写真で見る】「違法やけど、誰かから買ったりしてパフパフ」ニコパフについて話す大阪・ミナミの若者たち
広がりをうかがわせるゾンビたばこ。中でも、とりわけ逮捕者が多いとされるのが沖縄県だ。
SNS上では…
密売人とみられるアカウントが、ゾンビの絵文字とともに「沖縄手押し」という文言で販売を持ちかけている様子が散見された。
ちなみに「手押し」とは手渡しでの販売を意味する。
取材班は実態を探るため沖縄へ向かった。
【前編:大阪の若者たちに流行する“ニコパフ”「ミナミでは2人に1人吸っているレベル」 より危険な“ゾンビたばこ”の入り口に?】
「失恋してつらくなったらゾンビたばこを吸う」「友達が捕まった」
午前3時過ぎ、若者たちは…
―――“ゾンビたばこ”知っていますか?
「ゾンビたばこやってます。失恋してつらくなったら、ゾンビたばこを吸うとか」
「13歳とかでもやっている人いるよね。中学生からやっている人いますよ」
「はやっていますよ。いっぱいやっていますよ、自分の友達は」
「友達が捕まった。最近、半年前とか」
このグループ、ゾンビたばこの使用で逮捕歴のある仲間がいるという。その「仲間の少年」が、電話での取材に応じた。
なぜゾンビたばこに手を染めた?16歳少年に聞いた
(ゾンビたばこ使用で過去に逮捕 16歳少年)
「きっかけは…興味ですね」
―――誰かに誘われたりとか?
「いや、気づいたらって感じでした」
興味本位で手を出し、「現在はやっていない」というが。
(16歳少年)
「(使用すると)気持ちいいですね、効果が切れた頃には前歯がなくなっていたりします」
少年はSNSでゾンビたばこを購入していたと話した。
密売人とみられる人物 「テレグラム」通じて記者が接触
密売人のものとみられるXのアカウントを見ると、より秘匿性の高いメッセージアプリ「テレグラム」でのやりとりを促している。
記者がこの「テレグラム」を通じてメッセージを送ると。
(密売人とみられる人物からの返信)
「お疲れ様です」
「笑気麻酔ありますよ」
値段は、2万5000円だという。さらに詳しく話が聞きたいと持ちかけるとアプリの通話機能を使って電話がかかってきた。
「手渡しで販売、どこで?」密売人とみられる人物と通話
(密売人とみられる人物)
「もしもし。お疲れさまです!」
―――エトミデートを販売していますか?
「はい」
―――手渡しで販売しているということですが、どこで?
「場所、決めてもらって大丈夫ですよ」
こちらが記者であることを明かすと。
―――実は大阪の毎日放送で記者をしている者なのですが。
「えっ…切っていいですか」
すぐに通話を切られメッセ―ジの履歴もすべて消された。
“ゾンビたばこ”の名で知られる「エトミデート」強い多幸感が得られる一方…
去年5月に規制の対象になった指定薬物「エトミデート」。使用者が見せる異様な様子から、“ゾンビたばこ”の名で知られている。
笑気麻酔とも呼ばれ、短時間で強い多幸感が得られる一方、幻覚作用もあり数分から数十分で激しいめまいや体の硬直をもたらす。
ニコパフと同様に電子たばこの器具を使い液体を加熱して吸引するケースが多いという。
沖縄少年院では…薬物事犯でやって来る若者が多数 「低年齢化」も
ひそかに、それでいて確かに、まん延しているゾンビたばこ。軽率に手を出したことへの後悔を語る若者もいる。
沖縄少年院。約40人が農業やものづくりの体験を通して、更生支援を受けている。
近年は薬物事犯でやってくる少年が特に多く、「低年齢化」も顕著だという。
(沖縄少年院 北川義人統括専門官)
「やっぱり手に入れやすさがあるのかなというのは感じていますね」
「正直捕まった時は安心感もあった」10代少年が語った後悔
かつてゾンビたばこを使用したことがあるという少年に、話を聞くことができた。
(薬物事犯で入院した10代少年)
「一番はまっていたなと思うのは、『エトミデート』という種類の薬物ですね。他の薬物とはまたちょっと違う感じの感覚が得られる。正直捕まった時は安心感もありましたね。薬物にはまって、気づいたときには周り、いろんなものを失っていて、手遅れになっているということが一番怖いかなって」
横行する違法薬物の取り引きをこのままにしていいのか。手遅れになる前の対策が問われている。
(2026年5月19日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
【前編:大阪の若者たちに流行する“ニコパフ”「ミナミでは2人に1人吸っているレベル」 より危険な“ゾンビたばこ”の入り口に?】
