「1ミリも言うこと聞かないじゃないですか!」自民党部会で起きた“稲田の乱”…マスコミ退出直前に飛び出した異例の抗議、背景にある「抗告禁止」巡る対立を慶応大教授が解説

今週、自民党の部会で稲田朋美衆院議員が声を荒げる異例の事態が起き、話題となっている。
ニュース番組『わたしとニュース』では、稲田氏の発言の裏側や刑事裁判の再審を巡る議論について、慶應義塾大学の中室牧子教授とともに深掘りした。
■マスコミ退出前に響いた「1ミリも言うこと聞かない」
6日、自民党の法務合同会議が開かれた。裁判所が確定した刑事裁判をやり直す「再審」を決定した場合に、検察官が不服を申し立てる「抗告」を認める政府の案が議論されていた。
マスコミが退出する時間帯、司会が報道陣に退出を促すと、稲田氏が口火を切った。
「マスコミが退出するまでに一言言わせてもらいたいんですよ!」
司会が慌ててマスコミに再度退出を促すも、稲田氏は強い口調で言葉を続けた。
「なぜならマスコミが出た後に議論した時に、何も1ミリも私たちが言うこと聞かないじゃないですか!(発言した議員の)ほとんどすべてが抗告禁止じゃないですか!」
■争点は「再審」への「抗告」…冤罪被害者の負担と法的安定性の対立
中室氏は、自民党の部会における通常の手順を説明した上で、今回の事態の背景を解説した。
「自民党の部会は、まず部会長の挨拶があって、その間にマスコミが入って来ている。挨拶が終わると、『マスコミは退出してください』と言われて退出をして。その後、例えば有識者が意見を言う機会があったり、自民党の議員の先生たちで議論があったりするのが普通。そのマスコミが退出する前に、稲田氏が話したことが今回随分ニュースになっている」(中室氏、以下同)
「この背景に何があるかというと、再審の抗告を禁止するかどうかが議論されている。例えば、袴田事件とかもそうだし、厚生労働省の次官であった村木厚子さんの事件もそうだが、要は冤罪の問題があって、その冤罪の人たちが再審と言って裁判のやり直しを求めることがあった時に、それを検察の方が抗告することをさせないということをどうするかを議論しているわけだ。
袴田事件は、再審請求をしてから実際に再審が始まるまでの間に7年かかっている。これは冤罪被害者にとってみれば非常に大きな負担になるので、これを禁止した方がいいというのが、稲田氏や柴山昌彦氏や鈴木宗男氏などの議員たち。
ただし、法制審議会といって法務省の方の大きな審議会は、それについては非常に玉虫色の結論になっていて、1回決まった結論をそう簡単に覆してはいけない、予見可能性が低くなると国民に混乱をもたらすので、法的安定性が重要だと主張する。その法務省の法制審議会の結論とこの自民党の部会の結論が必ずしも一致していないということで議論になっているということなのだと思う」
■紛糾は「異例のケース」…今後の議論の行方は
閣議決定までのプロセスにおいて、このように稲田氏が強く言うことは異例なことなのだろうか。
「部会の場合は、こんなに議論が紛糾することは珍しいと自民党の先生方もみんな言っているので、結構異例のケースなのだと思う」
「もう少し議論を細分化して、証拠開示の話だったり、再審の抗告だったり、いろいろ議論を分解して、もうちょっと冷静に議論が進むようにしましょうかという話も中で行われていると聞いている」
(『わたしとニュース』より)
