ナフサひっ迫懸念の韓国で「ゴミ袋大乱」…市民買い占めで購入枚数制限するコンビニも
現在、韓国では自治体が指定する従量制ゴミ袋が店頭から姿を消す「ゴミ袋大乱」が起きている。
発端は中東情勢の緊張の高まりだ。原油不足が、ゴミ袋をはじめとする石油化学製品の供給不安につながるとの見方が広がり、市民による買いだめが発生した。主な販売先であるコンビニでは、1人当たりの購入枚数を制限する店舗も出ている。
背景には、ナフサに関する特有の事情がある。韓国はナフサ需要の約45%を輸入に依存し、その約77%を中東産が占める。ホルムズ海峡をめぐる緊張が高まると、ナフサの供給に大きな影響が出る。
政府や自治体は「在庫は十分にあり、リサイクル原料も活用しているため、直ちに不足に陥る状況ではない」と説明している。
拡散する不安心理
それにもかかわらず、「価格が高騰する」「今のうちに買わなければ入手できなくなる」といった情報がSNSで拡散し、結果として一部店舗で品切れが発生するなど、需給のひっ迫を招いた。
韓国では、指定されたゴミ袋以外では原則、ゴミ出しができない。日常生活に欠かせない商品であり、比較的価格も安いため、とりあえず買いだめ、という行動を取った人が多かったようだ。
政府は冷静な対応を呼びかける一方、供給不安解消に向け、矢継ぎ早に対策を打ち出している。
まず、ナフサの輸出を一時停止した。産業通商資源省は3月27日から5カ月間、国内生産分を輸出せず、全量を国内向けに振り向ける措置を決定。既存の輸出契約分についても国内供給に回す方針だ。
さらに、ロシアからのナフサ輸入も限定的に開始した。供給源の多様化を図るのが狙いだ。韓国はウクライナ侵攻に対する制裁の一環として2022年以降、ロシア産原油の輸入を停止していた。
流通面での対応も進む。コンビニなどで購入できない市民向けに、区役所や住民センターには無人のゴミ袋自動販売機の設置が始まった。一般用から特大サイズまで取りそろえ、24時間体制で供給する。
また政府は、不足が深刻化した場合の特例として、指定の従量制ゴミ袋に代えて市販のポリ袋の使用を認める方針も示している。
大統領も在庫融通を指示
「ゴミ袋大乱」が連日報道される中、李在明大統領も対応に言及した。通常は国家的課題を中心に発言する大統領が日用品の需給に触れるのは異例であり、それだけ国民の関心が高まっていることを示している。
1日に大統領府で開かれた緊急経済点検会議で、李大統領は一律の購入制限は原則行わず、自治体間で在庫を融通し合うよう閣僚に指示した。
日本でも一部地域で指定ゴミ袋の品薄が報告されている。中東情勢の緊張が長期化すれば、他の石油化学製品にも影響が広がり、日常生活に支障が出る可能性もある。
資源をめぐる不確実性が高まる中、供給確保と流通の柔軟化を迅速に進めた韓国の対応は、一定の示唆を与えてくれそうだ。
文/五味洋治 内外タイムス
ゴミ袋を買い占めないよう訴える政府のポスター(筆者提供)
