弁当を取りに身代わりになった戦友…少年飛行兵だった男性が残した”戦争の記憶”が絵本に
太平洋戦争中、菊池飛行場であった空襲の記憶を後世に残そうと、一冊の絵本が完成しました。タイトルは「身代わりになった戦友」。絵本は、空襲で親友を亡くした男性の証言がもとになっています。
1月、菊池市の江頭市長のもとへ一冊の絵本が贈られました。タイトルは「身代わりになった戦友」。戦時中、菊池市にあった陸軍菊池飛行場への空襲について元少年飛行兵だった男性の記憶を基に描かれています。
■前田祐助さん(当時94歳)
「防空壕に一緒に入っていた私の戦友で宮内という戦友がおりまして、それと二人で食事を取りに行くのを『俺が行く、俺が行く』ということを言い合いながらとうとう宮内の強引さに負けてじゃあ頼むわと言って(宮内が)昼食をとりに行った」
(絵本読み上げ)
「『敵機来襲、敵機来襲』その声に空を見上げると、東の鞍岳の方向にカラスのようなたくさんの飛行機が見えました」「『あっアメリカ軍だっ!』」
■前田祐助さん
「ものすごい音をたててだだだだだだだだだだと撃ってきます。人間を求めて撃ってきます。亡くなった人を(泥の中から)引きあげてその下に泥をかぶった人たちをどんどんどんどん掘って一番下に私の飯ごうと自分の飯ごうを手にかけて、目と耳をふさいだ戦友の宮内が体が硬直した宮内が出てきました」
警察の公文書によると、菊池飛行場への空襲による死者は、69人とされています。
「戦争だけはどうしてもしちゃいかん」と訴えながら、前田さんは3年前に96歳で亡くなりましたが、前田さんの証言は、菊池市の泗水中学校の生徒の手で紙芝居としても残されています。
そして、戦後80年の去年「菊池飛行場を未来につたえる会」では、戦争の悲惨さや虚しさを広く知ってもらおうと絵本の制作に取り組みました。絵本の絵を担当したのは、会の最年少メンバー坂本眞菜さん。坂本さんの心には、今も前田さんの言葉が残っています。
■坂本眞菜さん
「戦争自体が殺し合い以外の何ものでもないと、前田さんもよく涙を流しておっしゃってたので、その気持ちは常に胸に置いて生きていきたいと思ってます」
そして絵本「身代わりになった戦友」は去年12月に完成しました。
■江頭実 菊池市長
「心に突き刺さりしみ込んでくる 話なので、ぜひ子どもにも伝えていきたいし、子どもに伝えるためには、やはり親もしっかり学習しておかなくてはいけないと思います」
■前田祐一さん(前田祐助さんの息子)
「制作途中でもアイデア段階でも父も見ていますし、きっと天国で喜んでいるだろうと思います。残酷なシーンもあるけど、そこも含めて戦争なんだよ、実際にあったんだと知ってもらいたいと思います」
■坂本眞菜さん(絵本の絵を担当)
「その時代の人たちの声というか、その時の臨場感とか彼らの叫びというか、その時のそのままの情景を想像しながら、伝わってほしいなと思っています」
絵本「身代わりになった戦友」は、菊池市泗水町にある菊池飛行場ミュージアムや県内の一部のTSUTAYAで販売されます。菊池市内のすべての小中学校と高校に配布されたほか、熊本市の市立図書館やこども本の森にも贈られるということです。
