『ばけばけ』(写真提供=NHK)

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 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第16週「カワ、ノ、ムコウ。」では、日本滞在記を完成させたヘブン(トミー・バストウ)と武家屋敷に引っ越したトキ(髙石あかり)の生活環境の変化に戸惑う川向こうの人々にもスポットが当たる。

参考:『ばけばけ』第77話、トキ(髙石あかり)が『ヘブン先生日録』の影響に衝撃を受ける

 ずっとトキと仲の良かった幼なじみのサワ(円井わん)までも、生活ぶりが豊かになった松野家の屋敷に踏み入れたとき、はっきりと感じてしまった別世界の暮らし。本人たちに自覚はなくとも、川向こうに住んでいる人たちにとって、松野家はもう遠い存在となってしまっていることは否めない。

 人間模様が静かに揺らめくなか、今後注目したいのが2025年11月に結婚を発表した柄本時生とさとうほなみの共演だ。それぞれ『ばけばけ』においては、松江で唯一の舶来品店である「山橋薬舗」の店主・山橋才路と、天国遊郭で遊女となったなみを演じている。

 ドラマ『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(2024年/テレ東系)の共演がきっかけで交際に発展し、結婚にいたったという2人。偶然にも同じ時期に朝ドラに出演していることもあり、柄本とさとうの共演シーンを楽しみにしている人も多いのではないだろうか。

 柄本が演じる山橋は、第37話でトキがヘブンに頼まれた“beer”を買いに、舶来品店を訪れたときに初登場。どこか浮世離れしてふわふわしている山橋は、洋食料理店のシェフという裏の顔も持っており、第75話ではヘブンに洋食を振る舞う姿が映し出された。日本と異なる食文化にも詳しい山橋は、ヘブンと松野家の“食”をつなぐ役割も担っている。

 一方、さとうが演じるなみは、第3話で縄に繋がれて、川向こうに連れていかれた姿が強く記憶に残っている。借金のかたに遊郭に売られ、遊女として生きることになった彼女は、女中を募集していたヘブンのもとで一度は異人の妾“ラシャメン”になる覚悟を決めたものの、武士の家柄ではなかったことから断られてしまう。天国長屋から脱出するすべを見失い、やけになって昼間から飲んだくれる姿には、やりきれない悲しみが滲んでいた。

 これまで2人が同じ画面に映ることはなかったが、なみの再登場によって、山橋と言葉を交わすシーンが観られる可能性が高まった。トキとヘブンが夫婦として歩み出した直後ということもあって、柄本とさとうがどのような形で関わるのかを予想するのも楽しい。

 本作に関わる夫婦と言えば、主題歌を担当するハンバート ハンバートも、佐野遊穂と佐藤良成の2人からなる夫婦デュオだ。オープニング映像では、ヘブンとトキの心情とリンクするように、ゆっくりとした歩幅に合わせて音楽を届けてくれている。“朝ドラ”という枠自体が夫婦にまつわる歩みが多く描かれることもあって、ハンバート ハンバートのキャスティングは放送前からほっこりと嬉しくなるポイントだった。

 また、過去の朝ドラ作品では共演をきっかけにして結婚にいたった例もある。NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019年度後期)で主人公・喜美子(戸田恵梨香)の幼なじみである照子と信作をそれぞれ演じた大島優子と林遣都も、本作での共演後に交際がスタートしたという。幼少期から喜美子とともに過ごし、大阪から滋賀県信楽に戻ってきた彼女と親しく付き合う2人は、それぞれ異なる役割で喜美子を支える。大島と林は映画『闇金ウシジマくん』(2012年)やドラマ『教場』(フジテレビ系)でも共演を果たしているが、どちらかと言えば両作ともストーリーにはピリピリとした空気が漂っている。2人のかわいらしくコミカルな芝居を観られる点で、『スカーレット』は特別な作品と言えるだろう。

 また、柄本時生の実兄である柄本佑も、2012年に結婚を発表した安藤サクラが主演ヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年度後期)に珍しい形で出演している。実業家の夫である萬平(長谷川博己)が脱税の容疑で拘置所に収監されるなか、安藤が演じる福子は長女の幸を出産。弁護士の東(菅田将暉)は居ても立っても居られずに、面会した萬平に2人の似顔絵を描いてみせる。後日、安藤はその際に使用された似顔絵の元となったイラストを、理由は告げずに夫の柄本佑に描いてもらったことを明かす。微笑ましい経緯も含めて、2人の仲の良さが伝わるエピソードには多くの反響が寄せられた。

 『まんぷく』での特別出演のように、『ばけばけ』でも何らかの形で夫婦の共演が観られるのだろうか。ヘブンとトキが夫婦として歩みだすなか、柄本時生とさとうがそれぞれ演じる山橋となみの邂逅も注目したいポイントだ。(文=ばやし)