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旧統一教会の元2世信者・小川さゆりさん(仮名、26歳)が10月7日、日本外国特派員協会で会見した。

会見の終盤で、教会側からの中止を求めるメッセージが紹介され、運営側は対応に追われた。両親の署名入りで「娘は精神に異常をきたしている。安倍元首相の銃撃事件以降、症状がひどくなっていて、多くのうそを言っている」などと記されていたという。

小川さんは、少し動揺した様子を見せながらも「大丈夫です」と会見を続け、涙を流しながら「お金を返さず自分たちの主張を続けるのと、私とどちらが悪なのか。これを見てくださる多くの方はわかってくれると信じています。私を正しいと思ってくれるなら、この教団を解散させてください」と訴えた。

●「貧困でいじめ受けた」「韓国での修練会ではセクハラも」

小川さんは、合同結婚式で出会った両親から生まれた「祝福2世」だ。父は教会長、母は政治家の支援でうぐいす嬢を務めるなど要職にある熱心な信者という。

自分の意思に関係なく、恋愛禁止などの教義を教え込まれ、信仰を破ると「地獄に落ちる」と脅される教育を受けてきた。両親は約1000万円を超える多額の献金をしていたため、生活は苦しかった。「見た目の貧しさから、長期にわたっていじめを受けてきました」と幼少期からの窮状を説明した。

それでも両親を信じたいという思いから、韓国での修練会に参加するとセクハラを受けた。「その理由は悪霊がついているからだと言われました」

その後も、働いたバイト代200万円を親に奪われたり、教義の矛盾や家庭崩壊を目にしたりすることは小川さんの精神をむしばんだ。ストレスで精神の安定を保つことが難しくなり、精神疾患で複数回入院したという。

●「現役の信者にも謝罪をしてください」

銃撃事件後、小川さんは自分と同じように苦しむ被害者のために宗教による被害をなくしたいと立ち上がる。彼女のもとには、統一教会だけでなく、エホバの証人などの宗教2世からの悲痛な思いが寄せられているという。

「助けてもらいたいと行政に相談しても、日本では明らかな虐待にあたっても、国や行政が宗教的な理解が乏しいために『宗教』という理由で受け入れてもらえない現状があります」

解散命令に消極的な国に対し、「30年以上放置してきた。被害者を今でも生み出す大きな原因です」と新法や制度改正を求めた。

また、5度にわたって会見を開いている教会側について「自分たちがお金をだましとってきて、指示をしているのに信者が勝手にやったことだとうそをついて逃げている。間違っていないと思うなら、うそをついたり、隠蔽したりする必要はないはずです。被害者だけでなく、現役の信者にも失礼な態度です」と批判。

日韓の教会幹部や韓鶴子総裁に対して「被害者に、現役の信者にも謝罪をしてください」と強調した。世間からの批判が止まらないのは、問題に堂々と向き合っていないからだとし、それが新たな未成年の被害につながっているとした。

●中止求めるメッセージを受けて、涙の訴え

この日の会見は、4年にわたって小川さんを支える夫と共に臨んだ。教会側からのメッセージは「ショッキングな内容なので」と夫が読み上げた。最後に涙ながらに小川さんが以下のように語ると、通訳者も一時、言葉に詰まる場面があった。

「両親が『返すから貸して』と言ったお金は1円も返ってきていません。そういうことが重なって精神を病みました。何度も救急車で運ばれたり入院もしたりして、両親も面会に来ましたが、その時もお金を1円も出してくれませんでした。

夫と出会って4年間、ずっと支えてくれました。きっと普通の人なら、こんな自分と結婚したくないと思います。どんな症状が出たりしても見捨てずに信じてくれました。現在、私は正常です」