別に、結婚だけが女の幸せではない。

自ら望んで独身を貫くのなら、何も問題はない。

しかし実際には「結婚したいのに、結婚できない」と嘆く女たちが数多く存在し、彼女たちは今日も、東京の熾烈な婚活市場で戦っているのである。

これまで、自分にも相手にも厳しい“ストイックな36歳独身女”や、アイドルに恋する女、3人の男をキープする女、場末感漂う35歳、家が好きすぎる女、独身貴族の女社長、胸キュン希望の38歳、ペットを飼う女、不倫で7年無駄にした女、エリート外国人を狙う女などを紹介した。

さて、今週は…?




【今週の結婚できない女】

名前:まどか
年齢:38歳
職業:ファッション誌エディター
住居:代々木上原

名前:知恵
年齢:38歳
職業:広告代理店
住居:赤坂


スピリチュアルにハマる女


「もう次に会うのは、年明けの恒例行事か〜」

大学時代からの親友・知恵とともに、忘年会と称して集まった『麻布 川上庵』。

この1年がどれだけ早く過ぎ去ったかをしみじみと語り尽くした後で、まどかは独り言のように呟いた。

“恒例行事”というのは、伊勢神宮参拝のことである。

ふたりはここ3年ほど毎年、年明けに伊勢神宮を訪れ良縁祈願しているのだ。

縁結びの神社やパワースポットは、はるばる伊勢まで訪れなくても東京に色々ある。

しかし敢えて“お伊勢参り”を選び、さらには『アマネム』に泊まって豪遊するというのが、お金と自由を併せ持つOver35歳独身女の余裕である。

「そうね。私たち、来年こそ絶対に運命の相手に出会える。だってお伊勢さんに加えて、GWにはついにあのパワースポットに足を踏み入れるのよ…!」

常日頃から“言霊”の力を重視している知恵は力強くそう言うと、「絶対」と再び繰り返した。

年明けの伊勢神宮に加え“来年こそ”と意気込む二人がGWに訪れる、誰もがよく知る世界的なパワースポット。それはもちろん…そう、セドナである。


スピリチュアルに傾倒していくOver35歳の独身女。そのきっかけとは?


スピリチュアルにハマったきっかけは…


まどかと知恵が“目に見えない力”を信じるようになったのには、きっかけがあった。

それには、もう一人の仲間・沙也加(さやか)が大きく関わっている。沙也加は、まどかと知恵の親友で、大学時代はいつもこの3人で一緒にいたほど仲が良かった。

3人は大学卒業後もそれぞれ出版社、広告代理店、外資系ラグジュアリーブランドと、全員がバリキャリの道を選択。

気が合うのはもちろんライフスタイルも似ていた3人は20代の頃はお食事会を楽しみ、30代になってからは美食と旅を追い求めているうち、気づけば皆35歳となっていた。

誰か一人でも20代でサクッと結婚していたら、また違っていたと思う。

しかし全員が結婚より恋愛を楽しみたいタイプで、男関連のゴシップにも事欠かない人たちだったから、「私たち、行き遅れ組だね〜(笑)」などと自虐的に話したりはしても、本心では特段焦ってもいなかったのだ。

だが、そんな3人のバランスを崩す事件が起きた。

3年前、沙也加が突如「結婚する」と言い出したのである。相手はWEB業界では注目の若手起業家、しかもイケメン。文句なしのハイスペ婚だ。

沙也加がそういう男性とデートを重ねていることは知っていた。

しかしそれまでの女子会で聞いた話によると、彼に結婚願望はなく、そもそも沙也加が本命なのかどうかすら怪しい…という話だった。

それゆえまどかと知恵は沙也加に対し「深みにはまらないように」と忠告までしたはずだったのに。

それが、いったいぜんたい何が起きたのか、ハイスペ男の方からプロポーズしてきたというのだ。




「ねえ…沙也加、何したの?どうやってプロポーズさせたの!?」
「だって彼、結婚願望なし男だったんだよね…?」

まどかと知恵は、すぐさま沙也加を質問責めにした。

もちろん親友のおめでたい報告を喜んではいる。しかしほんの少し会っていなかった間に、まさかそんな展開が起こり得るなんて。

「結婚したい」と常日頃口にしながら、いっこうに相手が見つからないまどか&知恵にしてみれば、沙也加の電撃婚は奇跡としか思えないのだった。

「それが自然とそうなったっていうか…あ、でも」

何かを思い出したように、沙也加は大きな瞳を瞬かせ、控えめにふたりを見上げた。

「ほら私…ぜんぜん結婚を考えてくれない彼に悩んでたでしょ?で、ヒーラーっていうのかな?色々アドバイスをくれる人。そういう人のところに相談に行ったのよ」
「なにそれ詳しく!」

興味深い話を始めた沙也加に、間髪入れず突っ込む知恵は、姿勢までかなり前のめりになっている。

「それがね、私は何も言ってないのに家族構成とか、生い立ちとか小さい頃の出来事とかピタリと当てられたりして、本当に驚いた。

で、その人が言ってくれたの。今の彼が運命の人だから焦らなくていいって。そう言われたら肩の力が抜けて…彼に対しても自然体で居られるようになったっていうか。もしかしたら、それが良かったのかも…」

…この沙也加の話を聞いたまどか&知恵が、すぐにそのヒーラーの元へ駆け込んだのは言うまでもない。

沙也加が言っていた通り、過去の恋愛傾向などをぴたりと言い当てられた二人はヒーラーの信奉者となり、勧められるままにパワーストーンブレスまで購入したりした。

しかしかたや沙也加は幸せを掴み、まどか&知恵は今も変わらぬ生活を送っている。

それはなぜか…?


両者の間にあった、決定的な差とは?沙也加が語る“二人に言えなかったこと”


沙也加:ふたりに言えなかったこと


まどかと知恵には言えなかったけど、実はあの時、ヒーラーにこうも言われたんです。

…彼と結婚したいなら、一緒にいる友人を選んだ方がいいって。

どれだけ気の合う良い友達でも、一緒になって頻繁に高級レストランを巡ったり、暇さえあれば旅行に行って豪遊したり…そういう生活をしている限り、結婚は遠のく一方ですよって。

まあ…それはヒーラーに言われなくても、薄々わかっていたことでしたが。

ただはっきり言葉にされたことで、「やっぱりそうだよな。改めよう」と思うに至ったというか。

彼を運命の相手だと断言してくれたことで自信を持ったこともあり、しばらくまどか&知恵から距離を置いてみることにしたんです。

彼は仕事が忙しい人だし経営者だから、週末とはいえ必ず会えるわけじゃない。長い休みだって取れない。

これまでは「それなら私は私で楽しもう〜」という感じでまどか&知恵といたわけですが、彼と会えなくても家で一人過ごす時間を設けたり、仕事が忙しそうな日は彼の家で食事を作ってあげたり。そういう過ごし方に変えてみたんです。

落ち着いた生活をしているか、派手に遊びまわっているか。不思議なことに私生活ってしぐさや表情のあちこちに表れるみたいで。

しばらくして、彼からも「変わった」と言われました。

それからです。彼の方も、私に対する接し方が変わってきたのは。

…まどか&知恵にも、遠回しにでもいいから伝えるべきだったかもしれませんね。

けれどあの二人は常日頃から、「自分を変えてまで愛されても、意味なくない?」とかって話しているから。

そういう考えも、間違いではないと思うんですよ。実際、私も彼と婚約するまではそう思っていましたし。

…ただ今になって思うのは、結婚、つまり他人と生活を共にする以上、自分を変えないままでうまくいくわけがない。男女がお互いに譲り合い、歩み寄ってはじめて結婚は成立するものだから。

それを犠牲ととるか、思いやりととるか。

もしかするとその違いが、愛情の有無なのかもしれません。

まどか&知恵もいつか…自分を変えてでも一緒にいたいと思える相手に出会えると良いのですが。

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