「カフェ代500円」を浪費する人と、「缶コーヒー130円」を投資に変える人の決定的な差【40代でFIREした元公務員が解説】

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給料はきちんと振り込まれているはずなのに、給料日前になるといつも「今月もギリギリだ」と焦ってしまっていませんか。無意識のうちに「カフェ代500円」を浪費してしまう人がいる一方で、人の信頼や協力を得たい場面での「缶コーヒー130円」には迷わず投資できる人もいます。このお金の使い方の違いが、将来の成果や資産に“決定的な差”を生むと著者は語ります。本記事では、生方 正氏の著書『副業禁止の会社員、公務員でもできるFIRE入門 節約、ポイ活からでも資産1億円を築く方法』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集し、リターンを最大化する「お金の使い所」について解説します。

カフェで「季節限定の新作」をつい注文…無意識の浪費が“将来”を奪う

給料はきちんと振り込まれている。それなのに、給料日前になると「今月もギリギリだな」と感じて、買い置きしてある麵類で数日をしのぐ――そんな経験に心当たりはないでしょうか。

本来、出ていくお金が、入ってくる金額より少なければ、当然、貯蓄は増えます。これは小学生でもわかる単純な話です。自分の判断で動かせるお金が増えれば、「急な病気」「転勤」「家族の事情」といった人生の予期せぬ出来事への耐性が高まります。さらに、「マイカー」「結婚」「自宅購入」といったライフステージの転機に、お金は選択肢を広げ、決断をラクにしてくれる頼もしい存在です。

それでも、お金を残せないのはなぜでしょうか? 

理由はシンプルです。「世の中は、お金を使わせる仕掛けができあがっているから」です。テレビをつければCM、新聞や雑誌を開けば広告、街を歩けば、無数の看板が視界に飛び込んできます。ネットに接続すれば、年齢・性別・趣味嗜好から好みを分析され、「今のあなたに刺さる広告」が、都合よく表示されます。本当は必要ないモノでさえ、「欲しい」「今買わないと損な気がする」――そう錯覚させられているのです。思い当たる節はないでしょうか。

バーゲンで買ったきり、一度も袖を通していない服。向上心を刺激されて衝動買いした健康器具や美容器。資格取得に燃えて購入したものの、途中で閉じたままの参考書。押入れを開ければ、合理的な判断を欠いた結果集まったモノが、いくつも出てくるはずです。

浪費は、耐久財だけではありません。空き時間にカフェチェーンに立ち寄り、季節限定の新作を注文して、何気なくSNSに投稿する。友人が「おいしい」と言っていたお菓子をコンビニで見かけて、ついで買い……。コーヒー1杯500円、お菓子1個100円。1つひとつは、たいした金額ではありません。

しかし「自分へのご褒美だから」と週に2回繰り返せば月4,800円。年に約5万8,000円、10年で約58万円。これらは、本来、投資の元手となっていたお金です。

つまり私たちは、「将来受け取るはずだったリターンを、感情に流されて先食いしている」のです。ここまで読むと、「カフェチェーンが悪い存在」に思えるかもしれませんが、私はそうは考えていません。実際、必要な時は積極的に利用することもあります。問題は「その支出に明確な目的があったのかどうか」という点です。

打ち合せ場所で割高な「ホテルラウンジ」を“あえて”選ぶ理由

「お金」と「時間」をセットで考える私がカフェを使うときは、「仕事の打ち合せ」「情報交換」「出先で手帳や予定を整理するとき」と、あらかじめ決めています。

それ以外で冷たい飲み物が欲しくなったときは、ドラッグストアのペットボトルで十分ですし、見当たらなければ自動販売機で済ませます。そもそも、ルイ・ヴィトンのタンブラーに浄水器の水を入れて持ち歩いているため、外で飲み物を買う機会はほとんどありません。

カフェを利用する際に私が考えていることは、「支払ったコーヒー代に見合う、役立つ情報やアイデアを得る」ことです。もし得られていなければ、コーヒー代だけでなく、自分や相手の時間もムダにしたことになります。そうなると、その場に出向いた移動時間や交通費など、すべてがムダになってしまいます。

このように「お金と時間をセットで考えられる」ようになると、打ち合せ場所は一般的なカフェチェーンより、料金が高くサービスチャージもかかるホテルラウンジを選ぶようになります。ラウンジは静かで、席の間隔が十分保たれています。なにより、落ち着いた空間なので、自然と会話も弾みます。

その結果、話に集中でき、結果的に得られるリターンを高くできるのです。

「仕事で自腹を切るのはおかしい」と考える人が失うもの…130円の缶コーヒーが築いた信頼

「コーヒーやお菓子への何気ない支出が、気づかないうちに未来のリターンを削っている」一方で、「使うべき支出」も存在します。場面によっては、一見「ムダ遣い」に思えるお金が、あとになって何倍もの価値になって返ってくることがあります。

例えば、木枯らし吹きすさぶ真冬の屋外。冷たい風にさらされながら作業を続けると、指先は感覚を失い、集中力も、働く気持ちも削られていきます。そんなとき、先輩が無言で差し出してくれた、1本の温かい缶コーヒー。これを受け取った瞬間、冷たい手や身体が温まるだけでなく、張りつめていた空気までふっと緩む。そんな経験に覚えがある方も多いのではないでしょうか。

先輩が払ったこのコーヒー代は、単なる「消費」や「浪費」ではありません。人の心を動かし、関係を深めるための立派な「投資」なのです。

私は海上自衛隊で28年間勤務してきましたが、早期退職の3年前、幹部任官後に大きな試練に直面しました。長年、下士官として映像関連の業務に携わってきましたが、幹部教育を経て配置されたのは、それまでほとんど触れたことがないネットワークを管理する部署。まさに畑違いの世界でした。前任者は不在。引き継ぎ資料も十分と言えず、次々やってくる業務は滞り、仕事上で使う専門用語すら理解できない状態からの厳しいスタートでした。

そんな中、私が頼りにしたのは、私の部署の隣でネットワーク全体を統括する部隊の下士官たちでした。彼らに電話して手順を1つひとつ確認し、それでも問題を解決できないときは、現場に足を運んでもらいトラブルに対応してもらうこともありました。その際、私は必ず缶コーヒーを用意して、対応してくれた下士官に渡すようにしていました。

たったそれだけのことですが、休憩時間に温かい飲みものを手に会話を交わすことで、お互いの距離は目に見えて縮まっていきました。結果として、私は他の部隊よりも優先的に対応してもらえるようになっただけでなく、電話でも踏み込んだ質問ができる、信頼関係を築くことができました。

缶コーヒー1本130円。しかし、その1本が「本来なら頼みにくいことを頼みやすく」して、「困ったときでも、相手が快く動いてくれる空気」を作ってくれたのです。

数百円を惜しむ者は時間と成果を失う…人との協力を得たい場面では「迷わず支出」

相手に食べ物や飲み物を振る舞う行動は、「あなたの知識と技術を尊重しています」という無言のメッセージであると同時に、「面倒な仕事を押し付けられている」という先方の心理的負担を和らげる効果があります。対応回数を重ねるうちに、彼らは作業の終了後に、「他に困っていることはありませんか」、と「一歩踏み込んだ声掛け」をしてくれるようになりました。

その結果、トラブル対応の期間は短縮され、部隊全体のネットワークは驚くほどスムーズに安定して稼働するようになったのです。もし私が、「仕事のために自腹を切るのはおかしい」「そんな支出はもったいない」と考えたら、これらの問題は解決できなかったか、仮にできたとしても、何倍もの時間と労力を要していたでしょう。

この経験から私は、「お菓子や飲み物への支出は、コミュニケーションの潤滑油であり、数字では測れないリターンを生む投資」と強く認識するようになりました。

節約すべきところは徹底して削る。一方で、人との信頼や協力を得たい場面では、迷わず支出する。この判断ができるようになることが、合理的で、賢いお金の使い方なのです。

結論

◆信頼を生む場面では、迷わず金を使え。

◆人を動かしたいときは、相手を労ねぎらえ。

◆数百円を惜しむ者は、時間と成果を失う。

生方 正

サービス創新研究所研究員/個人投資家