Googleの量子コンピューティング研究部門であるGoogle Quantum AI Labは、従来のコンピューターより圧倒的に高速な計算が可能な次世代量子チップ「Willow」を開発しています。そんなWillowへの早期アクセス権を、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンの研究チームが獲得しました。

King's partners with Google Quantum AI and National Quantum Computing Centre to explore quantum fundamentals | King's College London

https://www.kcl.ac.uk/news/kings-partners-with-google-quantum-ai-and-national-quantum-computing-centre-to-explore-quantum-fundamentals

Press-release_NQCC-and-Google-Quantum-AI-award-Kings-College-London_28May2026_Final.pdf

(PDFファイル)https://www.nqcc.ac.uk/wp-content/uploads/2026/05/Press-release_NQCC-and-Google-Quantum-AI-award-Kings-College-London_28May2026_Final.pdf

King’s College London Awarded Access to Google's Willow Processor Through NQCC Initiative

https://thequantuminsider.com/2026/05/28/kings-college-london-awarded-access-to-googles-willow-processor-through-nqcc-initiative/

従来のコンピューターが「0」か「1」の2進法で計算するのに対し、量子コンピューターは「0」と「1」を同時に表現できる量子ビットを用いることで、古典的コンピューターとは比較にならないほどの高速計算が可能となります。しかし、量子ビットは外界からの影響によりエラーが発生しやすいため、エラーを訂正するための量子誤り訂正が重要となります。

Googleの量子コンピューティング研究部門であるGoogle Quantum AI Labは2024年、量子誤り訂正の指数関数的な改善と超高速計算を実現した新たな量子チップ「Willow」を発表しました。Willowは105個の量子ビットを搭載した量子チップであり、2025年には世界最速のスーパーコンピューターと比べて1万3000倍高速な計算ができることを実証しました。

Googleが量子コンピューターでスパコンの1万3000倍高速な計算に成功、量子コンピューターが従来型コンピューターを超越することを実証する初の検証可能な成果 - GIGAZINE



2025年12月、Google Quantum AI Labはイギリスの国家量子コンピューティングセンター(NQCC)と共同で、Willowへの早期アクセス権を提供するプログラムを開始しました。この早期アクセスプログラムでは、さまざまな研究チームからWillow上で実行する実験計画について募り、その内容を審査して早期アクセス権が与えられるかどうかが決定されます。実験計画の提出期限は2026年5月15日となっており、選考結果の通知期限は同年7月1日となっていました。

そして5月26日、キングス・カレッジ・ロンドン物理学科のエレノア・クレーン博士率いるチームが、Willowへの早期アクセス権を獲得したことが発表されました。クレーン氏らのチームはWillowを使い、脳のニューロンの量子類似体をモデル化および研究し、計算神経科学と量子対応モデリングのコラボレーションの新たな道を開くとのこと。将来的にはこの研究が、より優れた太陽電池や効率的な電力網システムの開発、さらに病気の新たな治療薬の発見に向けた基盤になることが期待されています。

クレーン氏は声明で、「私たちはGoogleと再び協力できることをうれしく思います。今回は、量子コンピューターが従来のコンピューターの能力をどこまで上回るのかという限界に挑戦するプロジェクトです。これほど複雑なシミュレーションを実行できるハードウェアは、現在世界にはごくわずかしか存在しません。そのため、NQCCおよびGoogleにこの機会を与えていただいて深く感謝しています」とコメント。

Google Quantum AIのCOOであるチャリナ・チョウ氏は「量子コンピューティングは、古典コンピューティングが根本的な限界に直面するさまざまな分野で科学者が進歩を遂げるための新たなツールとして、計り知れない可能性を秘めていると考えています。キングス・カレッジ・ロンドンはNQCCの貴重な支援を得て、魅力的な研究提案を行っています。私たちの量子コンピューティングのリソースと専門知識を提供し、この研究を加速させたいと考えています」と述べました。