もうすぐ買えなくなる『最後の純血アルピナ』(2)B4 GTグランクーペ編【スーパーカー超王が斬る】
アルピナの名を持つコンパクトなモデル
『D3 S』とともに、アルピナのラストモデルとしてレポートするのは『B4 GTグランクーペ』。
【画像】もうすぐ買えなくなる最後の純血アルピナ!『BMW アルピナB4 GTグランクーペ』 全25枚
D3 Sの項でも報告しているとおり、アルピナ・ブランドの譲渡に伴ってBMWはグループ内に『BMWアルピナ』を新たに組織するに至っているが、そのブランドコンセプトは、メルセデス・マイバッハを意識した超高級車戦略にあることは容易に想像できる。

続いてレポートするのは、『BMW アルピナB4 GTグランクーペ』。 佐藤亮太
つまりアルピナの名を持つコンパクトなモデルが、今後は誕生する可能性は低いと見るのならば、このB4 GTグランクーペが持つバリューは限りなく高いといえるだろう。
B4 GTグランクーペのステアリングを握るのは今回が初めてのことではないが、改めてこのモデルをドライブするチャンスが得られたことは本当に幸せだった。ベースとなっているのはもちろんBMWの4シリーズ・グランクーペ。その流麗なアッパーラインはもちろんのこと、一瞬そのスタイルを見ただけでは、アルピナの手がエクステリアのどこに施されているのかを識別するのは難しいほどだ。
そこでじっくりディテールを観察すると、コンパクトなカナードやスプリッターが組み合わされるフロントスポイラー、トランクリッド上のリアスポイラーなどはアルピナのオリジナルであることなどがわかる。
前後の20インチ径ホイールももちろんアルピナのオリジナルとなり、その『オロ・テクニコ』と呼ばれるカラーは、アルピナ・グリーンのボディとも巧みにマッチしている。
一瞬でも早くスタートボタンを押したい
快適な座り心地とともに抜群なホールド性を感じさせるドライバーズシートに身を委ねると、一瞬でも早くセンターコンソール上のエンジンスタートボタンを押したくなる衝動に駆られた。
参考までにフロントに搭載されるガソリンエンジンは、2992ccの直列6気筒DOHCツインターボ。最高出力と最大トルクは、それぞれ529ps、730Nmという数字だ。後者は2500〜4500rpmのレンジでフラットに発揮されるセッティングとなる。

B4 GTグランクーペのインテリア。取材車は左ハンドルだった。 佐藤亮太
ミッションはアルピナ・スイッチトロニック付き8速AT。駆動方式は前後輪の伝達トルクが最適に可変される4WDだが、アルピナはベース車に対してやや後輪へのトルク配分を重視する方向にセッティングを改めている。またリアには電子制御LSDも備えられる。
レバー型がそのまま継承されたシフトセレクターでDレンジを選びアクセルペダルを軽く踏み込むと、B4 GTグランクーペはあくまでもジェントルにスピードを高めていく。
アルピナのコーポレートカラーともいえるブルーを基調色としたフルデジタルのメーターパネルの視認性も良く、そのグラフィックを見ているだけでも走りへの期待感は大きく増していく。ただ、D字シェイプの太いリムを持つステアリングホイール裏にフィットされるマニュアルシフトを行うためのパドルは、ややそのサイズが小さく操作がしにくい印象だった。
一生忘れることのできない経験
もちろんワイドなトルクバンドの恩恵で、ドライバーはさらに俊敏な加速を望めば、アクセルペダルを強く踏み込むだけで最適なギアが瞬時に選択される。コーナーに進入する時のブレーキングに対してのシフトダウンもまた同様で、B4 GTグランクーペの8速ATは実に優秀だ。
フロントにアルピナ独自のスタビライザーを装備し、同時に可変スポーツステアリングとアクティブダイナミックダンピングコントロールのセットアップも大幅に改良したというシャシーが生み出すフィーリングは、このモデルが持つ最大の魅力。

純血種アルピナ、そのラストモデルたち。日本でも在庫限りの状況となっている。 佐藤亮太
サスペンションの動きは常にスムーズで、かつその乗り心地はどのドライブモードを選んでもラグジュアリーな印象を崩すことはない。
ステアリングの正確さも、ドライバーに大きな安心感を与える大きな理由。
今回は高速道路での走りを試すことはできなかったが、アルピナの生まれ故郷であるドイツでは305km/hとされる最高巡航速度の領域でも、圧倒的なスタビリティによってリラックスした、そして疲れを感じさせないドライブを楽しむことができるのだ。
アルピナが自社ブランド車の生産を中止した今、そのラストモデルとしてデリバリーされたモデルをドライブできたことは、自分自身にとって一生忘れることのできない経験となるだろう。この幸運に感謝したい。
