『プペル』前作から約73%ダウン 前作が公開された6年前の状況と何が違うのか?
3月最終週の動員ランキングは、『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』が週末3日間で動員22万3000人、興収2億8400万円をあげて5週連続1位。4月第2週に『劇場版「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」』の公開を控えているためか、次週も有力作の公開がないので、これで昨年に続いて『コナン』前の6週連続1位が確実となった。公開から31日間の動員は239万2300人、興収は30億4600万円。気になるのは、昨年公開の前作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の同期間の興収は37億9200万円だったので約20%もダウンしていること。本コラムでは、映画『ドラえもん』の映画興行の定点観測点としての重要性を再三指摘してきたが、それに則るならば、それは今年のファーストクォーターの映画興行の全体的な冷え込みを表していることになる。
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とはいえ、初登場5位『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』の初動成績の前作からの大幅ダウンは、それだけでは説明がつかないレベルだ。オープニング3日間の動員は8万8000人、興収は1億2200万円。この成績は、2020年12月に公開された『映画 えんとつ町のプペル』のオープニング3日間の興収との比較でいうと73%ダウンという数字。付け加えると、絵本を原作とするこのシリーズ本来の中心的ターゲットがファミリー層であるとするなら、2020年12月はまだファミリー向けの作品の動員にコロナ禍の悪影響が続いていた時期でもあった。
『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』の製作総指揮・原作・脚本を務めているのは、前作同様に西野亮廣。公開日の前後には多くのテレビのバラエティ番組に出演して、精力的にプロモーションもしていた。前作との違いは、前作は東宝と吉本興業の共同配給だったが、今作は東宝と西野が創業したCHIMNEY TOWNの共同配給であること(西野と吉本興業のマネージメント契約は2021年1月に終了した)。また、製作委員会方式ではなくなったものの、ローソンや幻冬舎との協力体制は前作から継続していて、前作以上のスクリーン数(337スクリーン)で全国公開された以上、それらが決定的な要因になっているとは考えにくい。
前作『映画 えんとつ町のプペル』は、西野のオンラインサロンのメンバーやステークホルダーが作品宣伝の一翼を自ら担ってきたことでも知られている。今回もネット上などでその痕跡は見られるものの、アルゴリズムが生み出すフィルターバブルのせいで、前作のように作品に無関心な層にも情報が届くような状況になっていないのかもしれない。動員の推移はウィークデイに入ってからも大きな変化がなく、今週末はスクリーン数が大幅に減らされているので、ここからの挽回は状況的にも相当厳しいだろう。 (文=宇野維正)
