【特集】あなたも選ばれるかも……裁判員制度 「休暇制度あっても休みをとりにくい」経験者の声《新潟》
今回の特集は「裁判員制度」についてお伝えします。
■新潟地裁で1000人以上が選任 「裁判員制度」とは?
<記者>
裁判員制度とは一般の国民のなかから選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度です。2009年から始まりました。こちらは裁判員裁判の法廷を表したイラストです。
まず中央に座る3人は国家公務員である「裁判官」です。その両脇に座るのが一般の国民である「裁判員」です。裁判員は一つの事件に6人が選ばれます。
裁判官とともに被告が有罪か無罪か判断し有罪の場合は刑の重さをどうするのか刑の内容を決めます。
一般の国民ということは私たちも、ご覧になっている皆さんも、裁判員に選ばれる日がくるかもしれないということですね。
<記者>
こちらの数字をご覧ください。1264人となっていますがこの数字……新潟地裁で裁判員などに選ばれた人数なんです。
<キャスター>
制度の導入から17年が経ちましたが1000人を超えているんですね。
<記者>
はい。この裁判員制度を、より身近に感じてもらおうと、今月、裁判員を経験した人たちと裁判官などによる意見交換会がおこなわれました。
■より身近に…… 裁判員経験者と意見交換会
<記者>
例えば、このような裁判の経験者が参加しました。当時55歳の女の裁判です。
女はおととし、三条市の自宅で母親の足を踏みつけるなど暴行を加え、その後死亡させた罪に問われました。
事件当時、女は認知症を患う母親の介護を長期間一人で行っていました。
検察側は懲役5年を求刑しましたが懲役3年、保護観察付の執行猶予5年の判決が言い渡されました。
裁判員として参加した61歳の男性は意見交換会で次のように話しています。
「家族含め全員に対する刑だった感じがする。被告と母親を2人きりにしてしまったということをしっかり考えてほしいという思いが我々にはあった」
<キャスター>
被告だけでなくその家族も含めてどのような判決が必要なのか裁判員も慎重に考えているんですね。
<記者>
そうなんです。参加された皆さんは日常の感覚や価値観が求められているということを考えながら意見していたと話していました。
さらに、別の事件で裁判員を経験した男性にも今回取材をすることができました。
■裁判員に選ばれた小学校の先生 仕事休めず
裁判員の意見交換会で出会った本間陽平さん46歳です。
<本間さん>
「全然違うよ7の段になってるよ」
普段は小学校の教員をしていますが、休みの日には新潟市西蒲区の子ども食堂で、学習支援や食事の提供をしています。
本間さんはおととし、教員の仕事をしながら裁判員を務めました。
家族を殺害した罪などに問われている男の裁判で無期懲役の判決が下されるまで1か月間にわたり審理などが行われたといいます。
<本間さん>
「世の中でいろいろ事件が起きているなってことを肌でかんじましたし、あそこで刑を言い渡して反省させる機会をつくるというのは、改めて大事だなとは思いました」
裁判員を経験してよかったと話す本間さん。
しかし、クラスの担任を務めていて休むことができず、朝の会と放課後の事務作業を本間さんが行いながら、授業は別の教員に任せていたといいます。
裁判員に選ばれた場合必要な休みを取ることは法律で認められていますが……
<本間さん>
「誰かを補充するような、そこまで考えないと、いくら制度がありますといっても、なかなか休みにくいという職業もあるかなと思います。私としては学校に申し訳ないなという気持ちです」
■従事日数は増加傾向 バランスが課題に
刑事裁判をより身近で分かりやすいものにしようと、2009年に始まった裁判員制度。
15年以上が経過する中、裁判員が従事する日数は増加傾向に……
2009年度は、平均で3.5日でしたが、2024年度は8.3日と、倍以上になっています。
教員の本間さんは、1か月の間で従事日数は15日でした。
なぜ増えているのか……
裁判員制度を検証する市民団体「裁判員ネット」の代表を務める大城聡弁護士は。
<大城弁護士>
「比較的しっかりとした審理をすることの方にやや重きを置いているので、日数が増えているのではないかと思う」
大城弁護士は、裁判員の「しっかり審理をしたい」という意見が反映されていると話します。
一方で日数が多くなることで裁判員を辞退する人が増える可能性も……
新潟地裁によると辞退率は年々増加していて現在は、7割以上が辞退しているといいます。
<大城弁護士>
「裁判員制度は、いろんな人が裁判員として刑事裁判に関わるその多様性が刑事裁判の1番の鍵なのですが、どうしても参加をする人が限られてしまう、偏ってしまうとなると、制度本来の良さがだんだん失われていくのではないかということを懸念している」
<記者>
裁判員の従事日数について、新潟地裁の小林謙介裁判官は今月の意見交換会で、「短い日数で審理が終えられるようにしたい。非常に難しいバランスが裁判所の課題としてずっとあるのではないか」と話していました。
■「経験を広めていきたい」職場や家族の協力を
意見交換会に参加した裁判員経験者からはこんな意見も出ました。
「社会の見方が変わる経験になる良い社会になっていくための社会参加になる」
「60歳を過ぎてもいい勉強になった。いい制度なんだということが広められないことに、もどかしさを感じる」
取材した教員の本間さんも「職場や家族の協力が必要なので、身近なところから経験を広めていきたい」と話していました。
<キャスター>
制度が始まって15年以上経ちましたが、改めて制度について考えてみることも大切ですね。
<記者>
はい。裁判員制度が今後も適切な機能を果たしていくためには、さらに社会の理解が広がる必要がありそうです。
