200万アイテムを扱う通販から“オフィスまるごと”サポートまで!「大塚商会」:読んで分かる「カンブリア宮殿」

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2月12日(木)に放送した「カンブリア宮殿」のテーマは、「通販からホテルまで運営”大塚商会”」。

【動画】通販からホテルまで運営 売り上げ1兆円企業の戦略



200万アイテムを扱う通販〜業績好調の裏側を探る



「たのめーる」といえばユニークなCMで知られるオフィス用品の通販サイト。それを運営しているのが大塚商会だ。

東京・豊島区の「ヒロクリニック池袋駅前院」は「たのめーる」を利用している。

このクリニックでは診察の予約や問診票の記入などでペンや付箋を大量に使うため、頻繁に注文するという。さらにゴム手袋やビニール製のエプロンなど医療現場で使うものも。「たのめーる」は200円以上の購入で法人だと送料は無料。個人でも利用できる。

「お店では1個ずつ、1箱ずつでしか売ってない医療品もまとめて買え、種類も豊富で選択肢が広がる。頼めばすぐに来るので利用しやすいと感じます」(看護師・小林理沙さん)

横浜市にある「たのめーる横浜物流センター」の広さはサッカーコート約8面分もある。オフィスで使うのりやテープ、使い捨てのコーヒーカップ……中でもペンの種類は1万を超える。災害に備えて「尾西の長期保存食セット 3日分」(5940円)を注文する企業も増えているという。


「震災が多く帰宅困難者が出ていますが、『会社に残って安全を確保してください』と政府から出ていますので、会社に残った時に保存食が生かされる」(物流推進部・樋渡和宏)

さらに最近出荷が増えているのが1万780円と高額の傘。一見普通の傘だが、いざという時に役立ちそうな防刃傘だ。

「破けにくい素材なので、例えばナイフで切りつけられた時に傘で防御できます」(樋渡)

オフィス用品や日用品からゲームまで、扱う商品は200万アイテムを超える。

2026年2月4日、東京・港区では大塚商会が自社で扱う商品の展示会「実践ソリューションフェア2026 東京」が開催されていた。

入り口近くで「会場案内図になります……」と出迎えてくれたのは「バーチャルAIヒューマン」。モニターの女性の動きや音声はAIが作った。


最先端の配膳ロボには揺れを受け流す免震機能が付いており、これまでロボットでは難しいとされてきた飲み物のスムーズな運搬ができるようになっていた。

仕入れ先のメーカーや顧客でにぎわう展示会。「うちのお客様はある意味文化祭のように楽しみにされている。全部の商品が一堂に見られるのはここしかないです」と、取引先をもてなしていたのは社長・大塚裕司(71)だ。

「今でも8割は中小企業のお客様になります。安い値段、お客様が使いやすい値段でサービスを提供していく。それが私どもの使命だと思っています」(大塚)

大塚が社長に就任した2001年以降、売り上げは加速。1兆3000億円を突破した(2025年12月期)。

大塚商会の名を広めた「たのめーる」だが、その売り上げは全体の2割ほど。1兆円超え企業の、ビジネスの屋台骨とは何か。

大塚商会売り上げ1兆円超えの秘密1〜困りごとをワンストップで解決



「実際のオフィスにはコピーもあればコンピューター、サプライもあり、アイテムを数えていくと10種類、20種類とある。通常だとコピー関係、ネットワーク関係と、それぞれの専門の会社にお願いしますが、“オフィスまるごと”、単品ではなくて全体を含めて提案できるようにしたい」(大塚)

企業コンサルティングを手掛ける東京・中央区の「リンク アンド モチベーション」に営業本部・常藤創也とエンジニア・富田輝がやってきた。同社は大塚商会の「オフィスまるごと」を導入している。

「ネットワーク機器、LANケーブル、無線LANの中継……オフィス全体のWi-Fi的な観点、無線は全て大塚商会さんにセッティングしていただきました」(「リンク アンド モチベーション」野間和子さん)

通常、企業はパソコンや複合機、ネットワーク関連などを導入する際、それぞれ専門の会社に依頼するが、「オフィスまるごとサポート」はそれを大塚商会がワンストップで提供するサービスだ。

「何かのシステムを導入する時に弊社の要望を的確に汲み取ってくださる。大塚商会さんの提案力はすごいなと思います」(「リンク アンド モチベーション」伊藤明人さん)

顧客がどんな会社なのか、どんなシステムが必要なのか、業種や規模、予算に合わせて最適な製品を選んで納入。企業が何かを導入しようと思ったら、一手に引き受けてくれる。

大塚商会の従業員は約1万人、本社は東京・飯田橋にある。それとは別のオフィスに、顧客企業が自社のサービスを導入した後の重要な役割を担う約700人の専門部隊がいる。

「売ったら、売りっぱなしじゃなくて、売った機械をお客様が有効活用してもらえるようにサポートするのに、対応するメンバーがここにそろっています」(たよれーるコンタクトセンター部長・永井久盛)

パソコンが動かない、インターネットがつながらないといったトラブルを解決するサービスが「たよれーる」だ。

「お客様の仕事の手が止まっている場合もあるので、1分でも1秒でも早く(サポートしたい)という気持ちは常に持っています」(たよれーるワンストップサポート課・竹内右羽馬)

電話では解決できないトラブルにはエンジニアが出向いて対応する。

大塚商会の社員構成は営業職約3割に対して技術職が約4割と最も多い。手厚いサポート体制で業績を伸ばしているのだ。

大塚商会売り上げ1兆円超えの秘密2〜最新のテック製品を提供



最新式の水循環型手洗いスタンド「WOSH」にはスマホの除菌機能がついている。スマホの表面についた菌を99.9%除菌し、洗った後の手を清潔に保ってくれるという。


AI付きの監視カメラは不審者かどうかをAIが検知しアラートを鳴らす。学校などで導入が始まっている。

新たな製品を売り込むと営業本部・川口広視に同行した。訪れたのはインターネット関連の企業「ユーザベース」。外国人の社員も在籍しており、上席執行役員の王佳一さんも中国出身だ。

川口が持参したのはスマートグラスの「ドリームゲートグラス」(月額レンタル1万3750円/条件あり)。見たところ普通のメガネだが、AIがさまざまな言語を翻訳してくれるメガネだ。中国語に設定してみると、メガネをかけた人にはレンズ部分に、相手が話す日本語が中国語に翻訳されて表示される。さらに耳元にはスピーカーがついていて音声翻訳機能もある。


「弊社はいろいろなイベントも開催しているので、利用シーンもこれから検討できればと思います」(王さん)

売り上げ1兆円超え企業トップの仕事術〜目標の99.9%ではダメ



大塚は2003年から毎年、浅草サンバカーニバルに参加している。もともと音楽好きだったが、中学の頃からブラジル音楽に興味を持ち、パーカッションを演奏するように。その経験からチームに参加した。

「浅草の本番で、道路のど真ん中で一度味わうとなかなか止められません」(大塚)

大塚商会の創業は高度経済成長真っただ中の1961年。コピー機の販売から始まった。創業者は大塚の父・実。運転資金わずか30万円の小さなビジネスだったという。

「秋葉原で創業しましたけども、最初は母と私が小学生の頃の夏休みには留守番をしていた。でもかかってくるのは間違い電話しかないようなところからスタートしました。当然車もないですから、タクシーにコピー機を載せてお客さんと約束のところに持って行って、説明して納品してお金をいただいて、タクシー代を払っていた」(大塚)

当時のコピー用紙はメーカーに注文するのが一般的。客の元に届くのに3日ほどかかったという。もっと早く届ければ商機はあると思った実は、電話帳に『電話1本で、感光紙を1冊からでもお届けします』という広告を載せた。

注文すればすぐ届く。これが現在の「たのめーる」につながっているのだ。

大塚は立教大学卒業後、銀行勤めなどを経て大塚商会に入社。2001年、社長に就任した。

その社長室には趣味で作ったジオラマやビンテージのスピーカーが並んでいた。


多くの趣味を持っている大塚だが、特に音楽とプラモデルには目がないという。

大塚が重要視するのは数字だ。毎月、各部署から上がってくる大量の業績関連資料を徹底的に読み込む。

「数字だけで良いか悪いか判断していきます。最初の職場が銀行でしたから、数字でどういう会社なのか、どういう状況なのか、ある程度判断する訓練をした気がします」(大塚)

数字からビジネスの変調を読み取り、レポートを通じて、自らの考えを伝える。毎月3日をかけて作るレポートは細かい文字でびっしり書かれている。

「社長はこれだけいろいろなものを見ているんだなという印象を毎回受けています。『これが社長の言葉なんだよ』と言った時に、営業にまで伝わっている」(営業本部部長代理・小竹伸明)

「声を大にして指示するというより、胸にあるものをみんなにしっかり浸透させていくような経営者なのかなと現場は思っている。それを具現化していきたいと思います」(営業本部・川口)

社長からの言葉は、例えばトップの成績を出したチームへは「横綱相撲を頼む」、別のチームには「完全試合を期待」。一方で気になったのは目標達成率「99.98%要改善!!」。


「惜しかったという部署があっても、100かそうでないかで完全に割り切って、100でなければ達成じゃないということは徹底しています」(大塚)

たとえ0.01%でも足りなければ未達成。妥協を許さない厳しい一面もあるのだ。

豪華料理&絶景露天風呂〜ホテル運営の狙いとは



大塚商会は観光地・熱海をはじめ国内4カ所でホテルの運営もしている。

熱海の「ホテルニューさがみや」に家族で宿泊していたのは大塚商会の三井雄太。「福利厚生があるので年に何回か自分のスケジュールに合わせて泊まれます。通常の価格より半額以下です」と言う。

実はここは大塚商会の保養所。一般客も泊まれるし、社員なら割引価格で利用できる。全室オーシャンビューで、貸し切り露天風呂からは絶景が拝める。食事は伊豆近海の海の幸などを使った懐石コースだ。


社員に愛されているホテルに社長の大塚も満足している。

「ゴールデンウィークなどにうちのホテルに寄り、家族連れで来てみんなうれしそうにしている姿を見ると、『これはなくせないな』と。社員のご両親を呼んで喜んでいるという話もあります」(大塚)

大塚商会のホテルは千葉・九十九里浜にもある。その「一宮シーサイドオーツカ」のある部屋に集まっていたのは大塚商会の社員たちだ。

「お客様に価値を提供するプレゼンテーションをする。そのような研修を提供しています」(上席執行役員・山口大樹)

ホテルは福利厚生以外に社内研修の場としても利用している。ここは約300人を収容できる会議室も備えている。

「大きな研修設備を含めて大規模なものをつくって、保養所みたいなかたちで使うと稼働率が悪いから、逆にホテルとしてきちっとサービスを普通のお客さんに向けて出しながら、結果として稼働率を上げていこうと意識してホテルにしました」(大塚)

※価格は放送時の金額です。

〜村上龍の編集後記〜
大手とは「どぶ板」の踏み方が違う、というのは大塚さんの言葉だ。「どぶ板を踏む」という表現は、最近あまり目にしないが、1軒1軒の取引先を回る細やかで地味な努力として使われる。それが、大手とは違うとはどういう意味だろうか。言うのは簡単だが、販売とサポートを一体化したシステムなのだ。手間を必要とする中堅・中小企業向けに、業務を効率化する仕組みを考え続けてきた。それが、裾野が広い顧客との取引を積み上げていく、超ロングテール型のビジネスとなり、約1兆円という売上高を生んだ。信じられない企業だ。

<出演者略歴>
大塚裕司(おおつか・ゆうじ)1954年、東京都生まれ。1976年、立教大学卒業後、横浜銀行入行。1981年、大塚商会入社。1990年、大塚商会退社。1992年、大塚商会に復帰。2001年、社長就任。

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