画像:PIXTA

写真拡大 (全2枚)

2025年1〜9月期の飲食業界のM&A件数は84件と前年同期から20%増加した。M&A数は集計を始めた2000年以降で最も多かった。このうち、最も買収額が多かったのは串カツ田中ホールディングス(HD)が9月に発表したピソラ(滋賀県草津市)のM&Aで、買収額は88億円にのぼった。飲食業界では競争が激化しており、各社はM&Aを活用した事業拡大や多角化で勝ち組に入ろうとしている。コロナ禍後の景気回復に伴い、買い手である同業他社やファンドの業績が回復したことで潤沢な買収資金を確保できていることも背景にある。

買収額2位は物語コーポレーションの米社買収

M&Aプロパティーズが、全上場企業に義務づけられた適時開示情報などから、飲食業界のM&A取引総額や件数を集計した。同社は飲食業界の定義を店舗型ビジネスに限っている。「串カツ田中」を運営する串カツ田中ホールディングス(HD)は関西地方を中心にファミリーレストランを運営するピソラ(滋賀県草津市)を買収。ピソラは釜で焼き上げるピザなどイタリア料理を提供しており、串カツ田中HDは居酒屋以外に業態を広げて多角化を図っている。

次に買収額が多かったのは「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーション。3月に子会社を通じて米国で鉄板焼きレストランを手掛ける企業グループを買収すると発表した。買収額は約42億円だった。M&Aを足がかりに米国市場に進出し、事業規模を拡大する。

【図表】

飲食業の買い手が6割を占める

1〜9月期の飲食業界のM&Aのうち、買い手が飲食業界だったのは52件と全体の6割を占めた。1〜9月期の飲食業のM&Aは、戦略的買収・売却が大半を占めている。新型コロナウイルスの感染拡大の悪影響が収まるにつれて、同業者が事業規模の拡大や事業ポートフォリオの多様化などに向けてM&Aを活用する動きが強まっている。

飲食業界以外の買い手だったM&Aは32件にとどまったが、投資ファンドなど他業界が飲食業を買収する動きも根強い。1〜9月期の買収額が三番目に多かったのは、投資会社のグロースパートナーズによるヴィア・ホールディングスの優先株式及び新株予約権の引き受けで、買収額は約15億円だった。

1〜9月期の飲食業界のM&Aのうち、「支配権移動あり」は84件なか、67件と大多数を占めた。支配権とは株式会社の株式を一定数所有しており、その会社の意思決定を行える権利・権限のことを指す。1〜9月期は買収側が支配権を得ることを目的の1つとするM&Aが多かったことがわかる。