Image: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA

さそり座にある惑星状星雲「NGC 6302」は、その姿から「バタフライ星雲(Butterfly Nebula)」とも呼ばれています。

南米チリにあるジェミニ南望遠鏡は、惑星状星雲と呼ばれる巨大な恒星がその生涯の終わりに消滅していく姿を捉えました。この天体現象は円形または球形であることが多いのですが、NGC 6302は蝶のような形をしています。

惑星状星雲とは

惑星状星雲とは、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星が、進化の最終段階でガスを放出し形成された天体を指します。アマチュア天文学者でもある米GizmodoのGeorge Dvorsky記者にとっても、惑星状星雲はお気に入りの観測対象の1つだそう。

名前に“惑星”と付いていますが、小型望遠鏡で見ると土星や木星のような遠方の巨大ガス惑星に似ていることから、昔の天文学者たちがそう名付けただけで、惑星とはまったく関係ありません。Dvorsky氏が撮影したリング星雲「M57」は正にその好例で、赤や青のガス雲が層になって輝いています。

Image: George Dvorsky

また惑星状星雲は、砂時計型やダンベル型になることもあります。これらの天体に見られる鮮やかな色彩は、進化の最終段階で外層が宇宙空間に放出される際に、強烈な紫外線を受けて輝くさまざまなガスによるもので、酸素は青緑色、水素は赤色、窒素は深紅や紫色に輝きます。

死にゆく星の美しい断末魔

ハッブル宇宙望遠鏡が2020年に撮影したバタフライ星雲
Image: NASA, ESA, Joel Kastner (RIT)

今回新たに公開されたバタフライ星雲は、その名の通り蝶のような形をしています。ハッブル宇宙望遠鏡の天文学者たちも2020年にこの天体を撮影していますが、チリのジェミニ南望遠鏡が撮影した新たな画像は、まったく異なる視点を示しています。

太陽のような大きな恒星は、晩年になると赤色巨星へと膨張し、外層から周囲へとガスや塵を放出するようになります。さらにガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと崩壊する前に、放出されたガスが星から放射された紫外線によって輝き、惑星状星雲として観測されるようになります。蝶の羽のように見える部分は、この帯に対して垂直に噴出するガスが流れ込んだものだそうです。

その後より高速の恒星風が初期のガス流出を突き破り、時速300万kmに達する速度で衝突しました。このプロセスによって、バタフライ星雲に見られるまばゆいばかりの尾根と柱が形成されました。中心の白色矮星から放出される強烈な放射線は、周囲の水素、窒素、酸素を2万度以上に加熱し、鮮やかな色を生み出しています。

なお冒頭の画像は、国際ジェミニ天文台の望遠鏡の開設25周年を記念して、チリの学生たちがジェミニ初観測記念画像コンテストで選出したものです。アメリカ国立科学財団の国立光学・赤外天文学研究所(NSF NOIRLab)のリリースより確認できます。

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