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玄関先に荷物を届ける「置き配」をめぐって賛否の声が広がっています。マンションでは配達員がオートロックで入れず、再配達になってしまうケースも多く、国はオートロックを解錠できる普及に向けた支援を明らかにしました。この動きが議論を呼んでいます。

【写真を見る】「置き配」配達員がオートロック解除可能に 「本物の業者か分からない」「リスク増える」国の方針に賛否の声 再配達削減へ業界は歓迎

再配達は年間4億個以上に

運輸会社「AEトランスポート」で宅配ドライバー歴19年の本田誠さん(48)。大分市内を中心に1日に100個から200個の荷物を配達しています。物流業界で負担となっているのが荷物の再配達。削減に向けて玄関前や宅配ボックスに荷物を届ける「置き配」の普及が進んでいますが、現場に密着すると――

本田さん:
「置き配指定でもオートロックで入れないパターンですね。持ち帰りです。翌日に再配達に行く形になります」

ネット通販の普及に伴い、昨年度の宅配便の個数は50億個を超え、過去最多に。一方で再配達の割合は今年4月時点で8.4%、4億2000万個に上っています。

「便利」「不安」街で分かれる意見

こうした事態を受け、国は宅配便の受け取り方法の基本ルールに「置き配」を加えることを検討。配達員がマンションのオートロックを解錠できるよう、宅配事業者が独自で持つ伝票の仕様などの共通化を支援すると明らかにしました。

街の人からは賛否が分かれました。

街の人:
「全然ありがたいです。住民でも何かする人はいるだろうし、誰かしら疑っていたらキリがないので」「業者側も大変だろうから、そこは致し方ないと思う」「オートロックの意味がないし、娘もいるので心配です。リスクが増えると思うので、宅配ロッカーの設置に補助金を出せばいいと思います」「本物の業者なのか確認できないし、セキュリティ面で自由に入ってくることになると心配です」

ドライバーの本田さんが勤務するAEトランスポートは、物流を維持していく観点から歓迎しています。

AEトランスポート 野田慎太郎社長:
「業界としてはとても良い流れです。住民や管理人、不動産会社の意見をしっかり汲み取って、効率とセキュリティの両輪で話し合わないといけないと思います」

現場「効率と安全の両立を」

ではこのシステムはどんな仕組みなのか。インターホン大手のアイホンが開発した「Pabbit」。配達員が荷物の伝票番号を機器に入力し、『配送中』の状況に限り、オートロックが解除されます。従来のオートロックよりも、『なりすまし』などの犯罪予防効果が高いといいます。

アイホン営業推進部 尾関貴志さん:
「人が判断してオートロックを開けるよりも、伝票番号と配送ステータスを合致させて開く仕組みの方が安全性が高まります」

本田さんはこの日、80個配達したうち1割にあたる8個を持ち帰りました。オートロックの解除が普及すれば効率化が図れる一方、「確実に届けたい」という責任感から複雑な心境です。

本田さん:
「お客さんと対面した方が、『確実に届けた』という安心感があります。確実にお届けするのが私たちの仕事なので、やりがいを持って取り組んでいきたいです」

人手不足などから2030年には、国内の荷物の3割以上が運べなくなるおそれがあると試算される中、現場の努力や技術の進歩だけでなく、利用者が再配達を減らしていく意識を高めていくことも求められています。