花嫁が目立たなすぎるヒサンな披露宴。新郎両親に主役の座を奪われて…
 両家の両親が何やかやと口を出してくるがために、揉めてしまうことが少なくない結婚式の準備。しかし、澤口怜奈さん(仮名・35歳・不動産)の友人Mさんの場合、揉める余地もないほど新郎両親の仕切りが強引だったとか。

「準備中、『式のすべてのことを勝手に決められてしまう』と嘆いていましたが、実際に出席して納得。いや、まさかあそこまでとは思っていなかったので、友人に心底同情しましたね」という結婚式の内容とは?

◆新郎両親の友達まで勝手に招待!?

「Mの結婚相手の父親は、有名企業の取締役。これまで上司や部下、友人の子どもの結婚式にさんざん出席してきたので、息子が結婚することになり『やっと自分の番が来た!』と大張り切りだったそうです」

 まずMさんの頭を痛めたのが、招待客リストの作成。新郎父がいきなり膨大な招待客リストを渡してきたのです。

「そのリストには新郎父の仕事関係の人間10人をはじめ、趣味のゴルフ仲間、車仲間、新郎母のサークル仲間や習い事仲間まで含まれていたそうで……。『ただでさえ新郎家は親戚が多いのに、そんなに無差別に招待したらとんでもない人数になってしまう』と悩んでいましたね。

 結局、新郎から『仕事関係で1テーブル、趣味仲間で1テーブルで収まるように調整してほしい』と頼んでもらったそうですが、かなり揉めたようです」

 調整してもらったところで新郎側の招待客は多く、Mさんは仕方なく新婦側の招待客をかなり厳選したそう。

「披露宴当日、席次表を見てみると4分の3は新郎側の招待客で、バランスの悪さに驚きました。Mの両親は控えめで大人しい人柄なので何も文句をつけなかったそうですが、M本人はいとこを数人しか呼べなかったことや、仲のいい元同僚を呼べなかったことをずっと残念がっていました」

 そのほか、料理も衣装も余興もすべて新郎両親が主導となって決めてしまい、「抵抗する気力もなくなった」と話していたというMさん。果たして当日の様子は……。

◆新郎父を褒めたたえるスピーチにゲストもドン引き

「予想はしてましたが、主賓の祝辞も乾杯の挨拶も、どちらも新郎父の仕事関係者。さらにもう一人がスピーチ、もう一人がバイオリンの余興まで……。『時間の都合で余興は新郎新婦合同でひとつにするので、彼氏の友だちと一緒にクイズとかゲームとかをやってほしい』と頼まれていたのですが、こういう理由だったのかと。

 新郎ではなく新郎父を褒めたたえるスピーチ、上手いのかヘタなのかもわからないバイオリン演奏はそれぞれ10分近くも続き、招待客はみんな無の表情になっていました」

 お色直しでは、タティングレース編みが趣味だという新郎母手づくりのゴテゴテのヘッドアクセをつけさせられ入場してきたというMさん。

「衣装も髪型もかわいかったのに、そのヘッドアクセだけがとても残念で。それなのに入場の間、司会者はそのヘッドアクセを褒めちぎる話ばかり。新郎両親の差し金でしょうが、みんなの視線がそのイケてないヘッドアクセに集まってしまいかわいそうでした」

 出席者はすでに“新郎両親推し”の披露宴にお腹いっぱいというムードでしたが、この流れは最後まで続きます。

「終盤の新郎父の謝辞の前には、なぜか新郎母がアカペラを披露。うっとりと『アヴェ・マリア』を歌い上げご満悦な新郎母を、Mはもう悟ったような穏やかな表情で眺めていました」

◆締めの挨拶で新郎父がとんでもない発言を

 そしてクライマックスとなる新郎父の謝辞は、新郎新婦友人席がザワつく衝撃的な内容だったそうで……。

「まずは自分の自慢話から始まり、話題は息子夫婦の人生プランへ。それが『〇歳くらいで役職が付くよう仕事をがんばって、〇歳くらいで実家のそばに家を建て、子どもは3人産んでほしい。早く孫の顔が見たいから一人目はすぐにでも』などと具体的&自分本位なもので、友人一同『うわぁ〜』って感じで顔を見合わせてしまいました。

 しかも、『もう孫の名前も決めてある』と言い出し、これには新郎友人たちも苦笑い。さらには、『新婦のMさんはもう仕事はほどほどにしてね、若くもないので早く子作りがんばって』というセクハラ発言まで飛び出して……。気まずそうにうつむくMが不憫でなりませんでした」

 まさに新郎両親オンステージで、「最初から最後まで感動のかの字もなかった」という披露宴。言うまでもなく、友人たちはMさんの今後の生活を案じながら帰路についたそうです。

―“劇的”な結婚エピソード―

<文/鈴木うみこ イラスト/ワタナベチヒロ>