ももクロ × 本広克行監督 映画「踊る大捜査線」でキャスト、スタッフをも欺いた二枚舌演出とは?

「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」略して“ハピクロ”。ももいろクローバーZが贈る、“教養エンターテインメント・プログラム”です。毎週、様々なジャンルのプロフェッショナルな先生たちが登場して、「○○学」と題した、聴けばつい誰かに話したくなるアカデミーを開講中です。
2016年10月30日(日)の放送では、「ためになるAnniversary学」のハピクロ・アカデミーを開講しました。
「踊る大捜査線」の映画シリーズでも監督をつとめられた本広監督が、キャスト、スタッフをも巻き込んだ驚きの演出方法を語りました。
さらに、2015年ももいろクローバーZが主演をつとめた映画「幕が上がる」の裏話などを、クイズを織り交ぜながら教えていただきました。
(ももいろクローバーZがパーソナリティをつとめるTOKYO FM「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」2016年10月30日放送より)
──”5人の監督が、5つの物語を紡ぐ、映画「アニバーサリー」”
清野:玉井さんも参加されている「アニバーサリー」という映画は、どんな映画なんでしょうか?
本広先生:5人の監督で5つの作品を作る、全部”記念日”がテーマになっているんですよ。
玉井さんは佐々木敦規監督の作品に出ていて。僕は、ポエムみたいな意味の分からない作品なんですよ。普段やらないような事を、各ディレクター達はやろうということで……5つの作品が、最後に繋がっていくんですね。
しおりん:監督は台湾で撮影をしてたんだけど、毎日美味しいものを食べて太っちゃったみたいな(笑)。本当にちゃんと撮影してたのかなって、不安になっちゃって(笑)。
本広先生:4泊5日食べまくりみたいな(笑)。台本も無く行ったので、カメラ持って女優さん1人と何食べていくっていうのを、ひたすらやっていくという……。
しおりん:ドキュメンタリーと映画のすれすれで、”どこまでが本当で、どこまでがフィクションなんだろう”っていうのが分かんないんですよ。
本広先生:観たいでしょ?
かなこ・れに:観たい!

れに:実際に台本はあったんですか?
本広先生:台本は後から作っていくんです。まず、何が撮れるかを撮っていって、素材を撮ってから最終日に”この絵はコメントを撮っておこう”とか、適当に考えて。
それを繋ぎ合わせていって、これはヌーベルバーグと言われる、60年代とかにゴダールというすごい監督さんとか、トリュフォーとか、そういう人たちがやっていた手法なんですね。
かなこ:めっちゃ気になる〜!

──”ももいろクローバーZ主演映画「幕が上がる」の知られざる演出方法!”
清野:本広監督といえば、去年ももいろクローバーZが主演をつとめた映画「幕が上がる」ですよ。
映画の中で、監督がこだわった演出はどこですか?
本広先生:なるべくみんなが自由に、本人なのか、役なのか分からないくらいの所まで探るんですけど。
あまり無理をさせないとか、怒ったりしない、急かさないとか……しましたね。
雨の日の体育館というのは考えに考えて、どうしたら、れにちゃんと夏菜子ちゃんが泣けるかなって、涙が出る言葉を考えて言葉でゆっくりゆっくり誘導していきました。
かなこ:こわ!
本広先生:あれって、ももクロが6人から5人になる会議の時と同じフォーメーションで、そういうところまで演出は考えるんですよ。
あの時の会議シーンと、「幕が上がる」の先生がいなくなる告知のシーンは同じ設定にして。どこか既視感を煽ってる演出をしてる、すっごい高度なことをしているんですよ。
清野:緻密な計算があるわけですね。
本広先生:自由に2人は隣同士にさせているんですけど、あの時の会議と同じように手を握り合ってるんですよ。
最初に喋るのも、どっちもあーりんなんですよ。”やっぱりこういう風になるんだ!”って。
清野:すごいシンクロニシティがあるんですね。
かなこ:怖いわ〜!
本広先生:その演出を考えた俺は天才だな!って(笑)
かなこ:腹たつわ〜〜! 転がされている感じがヤダ!(笑)
れに:まんまと転がってましたよ〜!(笑)
──”スタッフ陣が「紫推し」になる理由は?”
清野:ここで、監督からクイズがあります!
本広先生:撮影現場でスタッフが紫(高城れに)推しになっていくんですよ。
それは、なぜそうなったのでしょうか? 本人は分かってないと思うけど。
れに:分からない! 理由なんてあるの?(笑)
本広先生:俺も見習わないとな〜って思った。
清野:では、百田さんからお願いします。
かなこ:名前を覚える! やっぱり名前を覚えられるって嬉しいじゃないですか。
清野:ちなみに、百田さんは?
かなこ:顔を覚えるのは得意なんですけど、名前を覚えるのが苦手で、どこで会ったとかは覚えてるんですよ(笑)。
”一緒にお仕事させてもらったな……でも、誰だっけ?”みたいな(笑)。この”誰だっけ”が重要で、私は出来ないので、そこの強さはあると思います。
清野:では、高城さんはいかがですか?
れに:自分で言うのもなんですけど……(笑)生まれつき人を惹きつける魅力が(笑)。
かなこ:しかも、さっき”これしか思いつかない!”みたいなこと言ってたよ!(笑)
それは天性のっていうことですよね。
れに:天性のです!
かなこ:なんか清々しいわ!(笑)
清野:では、正解をお願いします!
本広先生:百田さん正解です! 全員の名前を覚えた上に、朝からスキンシップするんですよ。
普段バックステージ側の人達って出てこないんですよ、ところがあの時はすごかった。みんながご飯を食べたりしてるんですよ。
れに:焼き芋とかしてくれたりしましたね〜(笑)。
本広先生:ああいう、バックを支えてくれる人達が手伝ってくれるから食事が美味しくなるんですよ。
現場の人たちも、”この現場はいいね〜”ってなって、食事が楽しみになって朝から頑張れる。いい循環になっていくんですよ。
かなこ:ありがたいですね。
本広先生:優れた監督は、カメアシさんから何から、全員の名前を覚えるんですって。
清野:こんな女優さんは他にいましたか?
本広先生:今まで会ったことはないかな〜。
れに:やっぱ天性なんですよ〜!
──”映画「踊る大捜査線」キャスト、スタッフを巻き込んだ演出方法!”
かなこ:監督といえば「踊る大捜査線」ですよね!
清野:監督の武勇伝も聞きたいですね。
本広先生:「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」で、最後のシーンをどうやって終えるかっていうのを、スタッフもキャストも15年間の想いがあって……すみれさんは、青島刑事と結ばれて終わった方がいい……でも、気恥ずかしくて、そういうものは絵にしたくないと。
青島さんは、盟友として友を抱きしめて「くそー!」みたいな、いいシーンがあるんですけど。2人に全然違う演出をしたんですよ。
本当はすみれさんは死んでいるんです。死んでいる人を抱きしめていて、俯瞰で天使の目線で見るみたいな演出をしているんですよ。
織田さんには真逆の嘘をついて、「これで終わりなので、すみれと青島はこの後結婚するんです。戦友が愛すべき人に変わっていくんです」とい、2人に嘘の演出をして、それが僕の「踊る大捜査線」史上、最高の演出だなと思います。
清野:すごい! 二枚舌演出ですね!
れに:それで上手くまとまったんですか?
本広先生:観てもらうと、両方ともお客さんによって感じ方が違うみたいで。
いろんな風に想像できるように演出して、超エンターテイメント映画をそうやってできたっていうのは、自分の中でかなり”やるな〜!”っていう(笑)。
かなこ:本当にすごいんですけど、自分で言っちゃうから一気に(笑)。
でも、それは一か八かですよね?
本広先生:めちゃめちゃチャレンジなんですよ! 脚本家の許可もいるし、プロデューサーも10人くらいいるので、みんなの許可を得てやるんだけど、全員に適当な嘘を言って、そこに持っていくんですよ。
かなこ:そこにも嘘つくんですか!
れに:それすごいね! ホラッチョだよ! ホラッチョ!
本広先生:そうしないと終わらないのよ! みんなが色んなことを言うからさ。
こうやってまとめたのが、ホラッチョでもなんでも終わればいいんですよ(笑)。
これはブルーレイが売れちゃうな〜(笑)。
清野:計算づくですね(笑)。
かなこ:そう言われると、監督の本当がわからなくなる! 全部転がされてる気になる! 本当にやだ〜(笑)。
清野:今日は監督から、いろいろなお話を伺いましたが、いかがですか?
れに:私たちは監督みたいに頭が良くないから、そこまで色んなことを色んな方向から考えて、人を手の平で転がすっていうことが上手くできないんですけど。
生活していく上で、お仕事に限らず、色んな人を色んな方向から考えるのは大事だなと思いました。
かなこ:すごい人だなっていうのを改めて実感するんですけど。でも、普段は普通のおじさんなので(笑)。
これからも、一緒にいろんなお仕事できたらいいなって思いながらも、監督とは何気ない会話をできる関係でいたいなって思います。
清野:今日は「ためになるAnniversary学」というタイトルでしたけど、そこから外れていってという感じで……現場の雰囲気とかを生かしながら、面白いものが出来れば、どんどん転がしていくっていうところですかね。
本広先生:アニバーサリーと決めつけられて何かをするよりは、もちろん大切ではあるんだけど、わざわざ言わなくても、日々そうしていればいいのかなって。波風立てずに、そういう風にいつも大切にしていればいいかなと思いつつですね。
かなこ:じゃあ、今日という日は監督にとって?
本広先生:毎日がアニバーサリーですよ(笑)。
かなこ・れに:お〜〜〜!
清野:「ためになるAnniversary学」本日の講師は、映画監督の本広克行先生でした!
本広先生:ありがとうございました。
かなこ・れに:先生、今日は本当にありがとうございました!
〈番組概要〉
番組名:「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:毎週日曜 16:00〜16:55
パーソナリティ:ももいろクローバーZ、清野茂樹
番組Webサイト: http://www.tfm.co.jp/clover/
