スコットランドのオフロード車専門メーカー『マンロー』 新体制で事業拡大 ニッチ市場に見出したチャンス
経営陣刷新、年間数千台規模へ
スコットランドのEVスタートアップ企業『マンロー(Munro)』は、産業用途のオフロード・ユーティリティ・ビークルの世界的サプライヤーとなることを目指し、大幅な事業拡大と新型車の投入を計画している。
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同社は2023年に最初のモデル『シリーズM』の受注を開始し、従業員20〜30名を擁するイースト・キルブライドの拠点で小規模ながら順調に生産を進めている。

マンローは鉱業や林業など産業用途に特化したEVを生産している。
しかし、新CEOのアヴィナッシュ・ルグーバー氏とCFOのティム・ホルブロー氏は、生産拠点とグローバル展開の拡大を目指している。来年中に新工場を開設し、最終的には生産台数を年間数千台規模にまで増やす計画だ。
AUTOCARの単独インタビューに応じたこの2人(英国のEVスタートアップ企業アライバルで出会った)は、月1〜2台の手作業による生産から「桁違いの規模」へとスケールアップする計画を明らかにした。
元エンジニアであり、ゼネラルモーターズ(GM)の自動運転事業クルーズで戦略責任者を務めた経験もあるルグーバー氏は、アライバルを退社した後、マンローへ移籍した。
「マンローこそが、わたしをベンチから引きずり出し、スタメンに戻らせた唯一の企業でした。彼らが小さなチームとして、真に情熱を注いだ製品を作り上げている姿に感銘を受けたんです」とルグーバー氏は語る。
競合少ないニッチ市場に特化
ルグーバー氏は特に、従来の一般消費者ではなく法人顧客を明確にターゲットにしているというニッチなビジネスモデルに惹かれたという。
「それは、誰も聞いたことのないような企業でしたが、マンローは顧客層の中でも魅力的な領域、つまりこれまでほとんど手付かずだった商用車市場に特化して車両を開発していました」

マンローの新CEO、アヴィナッシュ・ルグーバー氏
ルグーバー氏の指揮の下、マンローはその独自のポジショニングとシリーズMのモジュール性を活かし、法人向けの電動オフローダーが不足する中で顧客の要件にきめ細かく応えていく方針だ。
「最初に狙うのは、鉱業、林業、捜索救助などの分野です。現在、自動車業界では優れた車両が生産されていますが、それらは一般消費者向けに作られています。マンローが手掛ける四輪駆動EVのように、これらの産業向けに真に専用設計されたものは存在しません」
すでに顧客をある程度確保したマンローにとって、次の優先事項は英国に新工場を設立することだ。これにより、顧客が求めるカスタマイズのクオリティを維持しつつ、生産量を拡大できる。その目的は、大手メーカー並みの生産量を達成することではなく、「狙っている顧客基盤の規模に合わせて拡大すること」にある。
CFOのホルブロー氏は、「生産台数は数百台規模で、将来的には数千台まで拡大できると考えています。数十万台規模ではありませんが、設備投資は極めて低く抑えられ、生産技術も非常に柔軟だ」と説明した。
英国国外での生産も視野
ホルブロー氏によると、これまでのように英国からの輸出を続けるか、あるいはセントラル工場で車体とシャシーを組み立てた上で海外で完成させるかについて、現在も協議が続いているという。
最終的な目標は、「車両を展開する地域の近くで生産すること」だとホルブロー氏は述べた。

マンローの新CEO、ティム・ホルブロー氏
同氏はまた、顧客によっては1つの拠点で最大50台のマンロー車を保有する可能性もあり、それにより一定レベルの現地生産を実現できるかもしれないと述べた。
現地に工場を設立することで、損傷した部品の修理や交換を迅速化でき、顧客のダウンタイムを最小限に抑えられる。
ルグーバー氏は、「ある顧客は、7年ごとに1年分のダウンタイムが発生していると言っています。そこにどれほどのビジネスチャンスがあるか考えてみてください」と述べた。
しかし、短期的には、「英国国内での工場の設置場所の選定、サプライチェーンの構築、およびその拡大」に焦点を当てるという。具体的な候補地は明かされなかったが、今後1年以内に新拠点を稼働させる計画だ。
複数のバリエーション展開
航続距離320km、最大130kWでの充電能力、ロック式ディファレンシャル、そして圧倒的なオフロード性能を誇るシリーズMの基本仕様は今のところ変更しない。
ホルブロー氏は、「今後、当然ながら改良は加えていきますが、この製品はすでに賞を受賞しており、ユーザーからも非常に高い評価を得ています。既存の車両より優れている点もいくつかあります」と述べた。

マンローMk1 ユーティリティ(2023年)
その代わり、さまざまな産業ニーズに応える新たなボディスタイルや派生モデルを導入することで、シリーズMの魅力を最大限に引き出す方針だ。
ルグーバー氏は、モジュラー構造のため車両形態に「実質的な制限はない」と述べ、「既存のシリーズMをベースにトップハット(ボディ)を変更したり、ホイールベースを拡大・短縮したりすることが可能で、これらすべてが潜在的なビジネスチャンスとなります」と付け加えた。
製品戦略は元CEOが担当
これらの新バリエーションの開発は、新たに設けられた最高製品責任者(CPO)の役職に就いた、元マンローCEOのラッセル・ピーターソン氏が担当する。同氏は、次のように述べている。
「マンローは、世界で最も過酷な環境において、内燃機関車に勝る性能を発揮できる電動オフローダーの創造を目指し、成し遂げました」
「当初は既存車両の電動化も考えていましたが、顧客のニーズを満たす唯一の方法は、シリーズMという独自の車両を一から構築することだと気づきました」
「それが完了した今、CPOの役職に就くことで、自分が情熱を注ぐことに集中できます。一方でアヴィナッシュ(・ルグーバー)とティム(・ホルブロー)が、事業を次のレベルへと引き上げるための推進力をもたらしてくれます。これ以上ない最高のチームです」
