もし、わが子が0歳から10歳まで「こどもNISA」で月5万円貯めれば…60年後の70歳時に手にする驚きのウン億円
※本稿は、パトリック・ハーラン『パックンの森のお金塾 こども投資クイズ』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

■大人より時間のある子どもこそ投資
今、日本中で投資熱が高まっているのを肌で感じています。たまたま乗ったタクシーの運転手さんにも「どの株買えばいい?」などと聞かれますし、周りのパパやママにも、子どもの投資教育について相談されます。そんな勢いを後押しするのが、2027年1月からスタートする予定の「こどもNISA」。親子で投資を始めるにはいいタイミングだと思います。子ども時代から投資を始めるのをおすすめする理由を3つに分けてお話ししたいと思います。
1つ目は「時間」。投資において重要な「長期投資」の考え方は、リスクを減らして、複利の恩恵を受けるための考え方です。複利効果は時間がたてばたつほど発揮されるため、早く始めたほうが圧倒的に有利。10歳から始めた場合と30歳から始めた場合だと、同じ金額でも最終的な差は何倍にも広がります。
例えば、30代から投資を始めて、老後資金2000万円をつくるには、200万円以上の元手が必要ですが、10歳から始めた場合、30万円で同等の老後資金が用意できます(※過去のインデックス投資の実績利率8%で計算)。
利率は、そのときどきで変動しますが、年月は誰にでも平等に与えられているもの。子どもが10歳までに30万円を投資して、複利効果を最大限に活用すれば、それだけでも老後資金2000万円が目指せるわけです。
うちの子は二人とも高校生ですが、小学生のころから始めた投資資金がしっかり育っています。証券口座のお金は、通帳には出てこないので、たまに子どもたちとチェックすると、その増え方に「おおっ」となります。これで大学の学費は払えるね、なんて話しています。これは親もうれしいし、子どももうれしい。子ども名義の口座の、子どものお金です。すでに自立の切符を持っているようなものですから、いつ親と喧嘩してもいいし、縁を切ってもいい(笑)。
■社会のオブザーバーからプレイヤーへ
子どもが投資するメリットの2つ目は「社会との関わり方」が変わることです。子どもは、投資を経験することで、社会に対する姿勢が「オブザーバー(傍観者)」ではなく「プレイヤー(当事者)」に変わります。
自分の投資している会社の株価がどうなっているのか、日本の株価が上がっているのか下がっているのか、海外旅行先の国の経済状況が気になる……など。また、経済は政治の動きとも連動していますから、世界情勢の動きにもおのずと関心を持つようになるでしょう。
子どもでありながら、社会を自分ごととしてとらえられるようになり、早い時期から社会に参加している意識が芽生える。これは大きなことだと思います。

3つ目は「お金の正しい使い方」が身につくこと。本書では投資は、使わず貯めておけるお金(=余剰金)で行うことをすすめていますが、余剰金を増やす方法には「出費を減らす」「収入を増やす」の2通りがあります。
子どもが投資を始めると、この2つの視点を持てるようになり、お金の使い方が変わるでしょう。例えば、おこづかいやお年玉を全部使わずにとっておく、無駄づかいを減らして節約する。あるいは、アルバイトをして収入を増やしたいという気持ちも出てくるでしょう。
しかし、実は、わが家も子どもに対しては甘やかし気味。それでも子どもたちは、洋服はセコハン(セカンドハンド=中古品)で買ったり、出かけるときは飲み物を持参したりする習慣がついていて、それは親として、うれしいですね。また毎月のおこづかいは、家事をすることを前提に渡していますが、それ以上にお金をほしがったら、家の仕事をジョブ型で与えてアルバイト代を払っています。
■「こどもNISA」で60年後は3億円以上
2027年1月から、「こどもNISA」がスタートする予定です。これまで18歳以上しか開設できなかったNISA口座を0〜17歳の未成年者も持てるようになります。年間投資枠は60万円。非課税保有限度額は600万円です。
年間60万円を最短で満タンにするには月額5万円。子育て世代にとって、なかなか簡単な金額ではないと思います。しかし、「こどもNISA」の口座を開設したら、年数をかけても、ぜひ満額にしてほしいと思います。
例えば、10歳の時点で満額の600万円を入れておくと、年利7.2%の複利なら、倍々ゲームで60年後の70歳のときには、なんと3億8400万円になる! これはすごいですよ。利益は3億8400万円−600万円(元金)=3億7800万円。すごくないですか? しかもNISAなら利益に約20%かかる税金が非課税になるので、3億7800万円×20%=7560万円もオトクです。
■18歳までにお金のコントロール力を
子ども名義の口座とはいえ、お金をコントロールできるまでは、親のチェックが必要になるでしょう。例えば子どもが、持っている投資商品を売って、新しいゲーム機を買いたいと言ったときに、親がストップをかけてもいい。「これはゲーム機を買うためのお金ではなくて、あなたの将来のために育てるお金です」と、はっきり伝える。
基本的には子どもの年齢が上がるとともに親の関与は減らしてOKですが、子どもに浪費癖があるなら、親は慎重に進めるべきです。そして、18歳になるころには基本的に子どもに任せてよいというところまで成長できるよう、親子の対話を重ね、お金のコントロール力を育てていってほしいと思います。

■子どもの「やりたい」のための準備
子どもが20代、30代になると、好きな仕事に就きたい、家を買いたい、起業したいなど、やりたいことがいろいろと出てくるでしょう。そこで「お金がない」とあきらめるのは残念すぎます。親は、死ぬときに子どもにお金を残そうと思っているかもしれませんが、そのときに親が80代なら子どもは50代前後。その時もらうよりは、20代、30代でもらったほうが、ずっと価値が高いのではないでしょうか。親は後にお金を残すのではなく、今から増やしておく。「こどもNISA」を活用するべき理由は、ここにもあるのです。
■稼ぐ力はAIに代替されない力
子どもが将来お金に困らないためには、「投資」の前に「稼ぐ力」をつけることが不可欠です。先ほどもお伝えしたように、うちの子たちは家事+αで家の仕事をして稼いでいますが、社会で稼ぐことが、どれほど大変なことかは、まだまだわかっていません。
セコハンで、Tシャツ2枚とGパン1枚で、合計3000円。それもなかなかいい買い物ですが、実際3000円稼ぐとなると大変です。一日8時間働いても、給料から税金や社会保険料など2〜3割が引かれて、手取りはこれだけ? 何コレ? となる。自立して、その辛さを体で覚えるまでは、お金の実態はわからないでしょうね。でも一度稼ぐ辛さを覚えたら、節約したくなるはずです。
では、子どもが「稼ぐ力」をつけるには、どうしたらよいのでしょうか。AIによって世の中が大きく変わり始めている今、親子で考えなければいけないのが、AIに代替されない職種は何か、ということ。
例えば、対面式のサービス、劇場に出る芸人、手先の器用な職人など、20年後、30年後もロボットができないようなこと。これからは、その人ならではの感覚やセンスが生きる仕事が求められます。
そのためには自らの感性を磨くことが大事になるでしょう。またAIをうまく使いこなせる人になるのもポイントです。僕のような古い人間は、AIをうまく使いこなせません。ですから僕は、いずれAIをうまく使いこなせる人に仕事を頼むことになります。そういう需要が、これから増えてくることが予想されます。そう考えると、AIを使いこなすスキルを、今のうちから身につけておくと、将来稼げるようになるかもしれません。
■体を使った体験で自分らしさ磨く
これから求められるスキルは、学習はもちろん、スポーツや部活もする、人間同士のコミュニケーションもする、そういった、自らの体を使って経験する対面の場数によって養われるものです。決してガリ勉ではない。重要になってくるのは「その子らしさ=オリジナリティ」です。だから子ども時代は、決めたことをやらせるよりも、どんどん感性に従い熱中する体験をいっぱいさせるのがよいと思います。
また、本書でも「枯葉は森では0円だけど、街に持っていけば売れる」というクイズを紹介しましたが、人も全く同じです。自分が今いる場所でいい仕事が見つからないなら、自分のスキルが求められる場所や業界にシフトする。あるいは自分と同じスキルを持っている人間がいっぱいいる環境なら、あまりいない環境に変える。そういった柔軟性が求められる時代がやってきます。自分なりにスキルを磨いておけば、就職や転職も柔軟にできるし、起業もできます。「AIの力」と「人間の力」、両方を生かすことで、選択肢は広がっていくでしょう。
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パトリック・ハーラン(ぱとりっく・はーらん)
お笑い芸人
1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。投資歴30年以上。日本人の妻との間に2人の子どもを持つパパ。10歳の誕生日の翌日から新聞配達をして家計を助け、93年ハーバード大学比較宗教学部を卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。現在は情報番組、報道番組にも多数出演。著書に、5万部を突破した『パックンの森のお金塾 こども投資』(主婦の友社)、『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)、『ハーバード流「聞く」技術』(角川新書)、『パックンの「伝え方・話し方」の教科書 世界に通じる子を育てる』(大和書房)などがある。
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(お笑い芸人 パトリック・ハーラン)
