議会答弁作成支援や「闇バイト」投稿選別の機能も

 【ブリュッセル=秋山洋成】日本政府は、行政機関で生成AI(人工知能)を安全に利用するための独自システムを海外政府に売り込む方針を固めた。

 東南アジアなどの新興国や途上国を中心に、日本が推進する「安心安全なAI」の利活用を広げていく。日本企業が、現地の言語や価値観に対応したシステムの開発を担うことも支援する。

 松本デジタル相は5日、ベルギー・ブリュッセルで開かれる「日EU(欧州連合)デジタルパートナーシップ閣僚級会合」に出席後、方針を表明する予定だ。

 デジタル庁は、行政職員が業務で生成AIを安全に利用するための独自システム「ガバメントAI・源内」を開発。AIアプリと連携し、大規模データから集約した情報をもとに、議会答弁の作成を支援するなどの機能を持つ。警察庁と連携して「闇バイト」の募集と疑われる投稿を選別する機能も開発した。

 独自システムは、汎用(はんよう)的なAIアプリなどとも連携できるのが特徴だが、機密性のある行政データはAIには学習させずに参照するだけにとどめ、情報漏えいを防ぐ高度なセキュリティー対策も備える。今月から全府省庁の職員約18万人を対象にした実証実験を始める。

 海外展開にあたっては、導入国の言語や価値観を尊重した自国製AIを利用してもらうことを想定している。東南アジアでは、急速に普及する中国製AIが世論工作などに使われるとの懸念が高まっており、自国製AI開発が急がれている。日本政府も開発を支援する方針で、日本語AIを開発してきた日本企業の強みを活用したい考えだ。

 生成AIを巡っては、2023年の先進7か国首脳会議(G7サミット)で、日本が主導して、国際的な規制の枠組み「広島AIプロセス」を提案した。日本政府は、世界中で「安心、安全で信頼できるAI」の普及を目指しており、今回の取り組みもその一環だ。