●子育てで意識していること「プラスなことをたくさん言葉に」

タレント・女優の乙葉が、アニメーション映画『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(公開中)でボス・ベイビー&ティムの母ジャニスの日本語吹き替えを前作に続き担当。前作から25年後の世界を描く本作で、おばあちゃんになっても陽気でパワフルなジャニスを演じた。2005年7月にお笑いタレントの藤井隆と結婚し、2007年10月に第1子となる長女を出産。2015年には理想の有名人夫婦に贈られる「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、世間から憧れられる結婚生活を送る乙葉にインタビューし、家族円満の秘訣や子育てで大切にしていること、また、仕事との向き合い方について話を聞いた。



――続編でのジャニスを演じた際に意識したことを教えてください。

今回ジャニスはおばあちゃんになり、年齢を重ねたということで、前回とはまた違った声色、年齢を重ねたときのジャニスらしさを意識しながら演じました。お母さんのときはもう少し若々しい感じでしたが、年齢を重ねた感じが少し出ればいいかなと思って工夫しました。

――苦労したことはありますか?

ジャニスは早口なところや突発的に言葉を発するところがあって、私は瞬発力がないので、そこは気をつけないと思って努力しました。

――乙葉さんはおっとりした話し方なので、スピード感が違いますよね。

そうなんです。私はゆっくりしゃべってしまうのですが、ジャニスの場合は思ったことをスバっと言うタイプなので、そこが難しかったです。

――ジャニスとのご自身の共通点は?

ジャニスは楽しいことが大好き。私も面白いことや楽しいことが大好きなので、そこが一緒だなと思います。

――今回、子育てに悩む親の視点も描かれていますが、乙葉さんが子育てにおいて大事にしていることを教えてください。

ずっと一貫して変わらないことは、自然に無理をせず、1つでも楽しいことを見つけられるような家庭づくりを意識しています。



――子供と向き合う際に意識していることは?

子育ての時間は長いようで短く、その貴重な時間で与えられた言葉は何歳になっても心に残っていくと思うので、言葉のかけ方や接し方はすごく大事にして過ごしています。

――意識的にどんな言葉をかけられているのでしょうか。

マイナスな言葉よりも、プラスなことをたくさん言葉にしています。楽しかったことやうれしかったこと、ほかのお友達の素敵なところとか、いい話をすると明るい気持ちになったり、前向きな気持ちになったりするので、家族みんなで心がけています。

――乙葉さんは結婚前から笑顔で明るい印象が強いですが、結婚されてからさらに明るくなられたのでしょうか。

今は逆にパワーをもらっているほうだと思っていて、明るい気持ちや前向きになる気持ちを家族にもらっているなと思います。

●夫・藤井隆の明るさに「前向きなパワーをもらっている」

――乙葉さんご自身が大切にしているモットーなどありましたら教えてください。

自然体で過ごすようにしています。無理せずに、というのもすごく大事なのかなと思います。

――仕事をしていく上でもそうですか?

自然体は意識していますが、自分が間違っていることは直していこうと思うし、柔軟に生きていきたいなと。人の意見も聞きながら、年を重ねるごとに変化していけたらと思います。

――柔軟性が必要だなと感じたきっかけがあったのでしょうか。

時代の流れが速すぎて(笑)。自分の若い頃とは機械とか情報とかいろいろ変化していて、変わっていくものを理解したり、勉強したり、自分が変化していかないといけないなと感じます。



――ちなみに子供時代はどんなお子さんでしたか?

人見知りがすごかったので、人としゃべるのが苦手で、特に大人の人としゃべるのが苦手でした。小さい頃は静かだったと思います。

――芸能界に入られてから変わりましたか?

変わったのか変わらないのか、自分ではよくわからないんですけど、中学時代のお友達に今年会ったときに「変わらないね」と言われたので、変わってないのかもしれません(笑)。たぶん、しゃべり方や雰囲気について変わってないと言ってくれたのかなと思います。

――先ほど子育てについて伺いましたが、家族円満の秘訣も教えてください。

子供が生まれたときから個人個人を尊重するということはすごく大事にしていて、それは家族全員にとって大切なことかなと思います。今も娘のやりたいことや意見をきちんと聞くようにしています。自分の人生だから自分の好きなことをやっていってほしいなと。それを応援したいです。

――ジャニスとテッド・シニア夫婦は、年を重ねても明るくて素敵だなと思いましたが、乙葉さんはどう感じましたか?

2人が子育てしているときから楽しんでいて、おじいちゃんおばあちゃんになっても自分たちの人生を楽しんで、その雰囲気がいいなと思いました。何歳になっても今を楽しむってすごく大事なことで、生き生きされているし、笑い合っているのが微笑ましく、そういう夫婦って素敵だなと思いました。



――乙葉さんにとって理想的な夫婦像でしょうか?

そうですね! 子育てを楽しみ、子供たちが大人になって第2の人生が始まったら自分たちの生活を楽しんでいる感じが生き生きと描かれていて、素敵だなと思いました。私自身も子育てを楽しんでいて、自分自身の楽しみがそこなんですけど、おばあちゃんになったら楽しみが孫になるなど、その時その時で楽しみを見つけて生き生きと生きていけたらと思います。

――乙葉さんの家庭は、理想的な夫婦という印象です。藤井さんと夫婦でよかったなと感じている瞬間をお聞かせください。

すごく明るくて、前向きなパワーをいつももらっています。家族から生きるエネルギーをいつももらっていて、すごく褒めてくれるし、自分にとってうれしい言葉を2人がかけてくれることが元気の秘訣というか、私の力になっています。

●仕事の喜びは“人との出会い”「長く続けているとまた会える」

――お仕事についても質問させてください。ドラマにも出演されたりしていますが、今回の声優のお仕事も含め、演技の面白さをどのように感じていますか?

自分とは違う人生を味わえるのはすごく勉強になるし、自分の糧になるなと感じています。いろんな人の考えを学ぶことができると、いろんな人と出会った時により思いやりを持てるような気がしていて、相手の立場や考えを慮れる人になれる一つのきっかけになると思うので、すごい素敵なお仕事だなと思います。



――情報番組やバラエティ番組にも出演されていますが、最近特にやりがいを感じているお仕事を教えてください。

デビュー当時は、たくさんの人に会えてもすぐさよならになるのが寂しくて、一期一会感が切なかったんです。せっかくお会いできても、次いつ会えるか確約がない職業なんだなと思っていましたが、長く続けているとまた会えるのだとわかってきました。10年くらい経ってからまた共演したり、スタッフさんと再会したり、人との出会いをうれしく感じています。

――どの仕事が特に楽しいということではなく、人との出会いが仕事の楽しさになっているんですね。

そうですね。人との出会いがうれしく、お仕事をしていて良かったなと感じるので、続けていったときにまたお会いできるかなという喜びや期待になっています。『ボス・ベイビー』も、前回みんなで「また会えますように」と話していたので、3年越しにまたお会いできてすごくうれしいです。

――今年40歳になられましたが、家庭と仕事とのバランスはどのように考えていますか?

年齢を重ねてきて、今は健康でいることが一番だなと感じています。健康でいるとすべてが明るく回るので。30代までは子供も小さくて生活のリズムが大変で、自分の健康は二の次になっていましたが、子供も成長してきたので、自分自身の体調も家族の体調も整えてゆったり進めていけたらいいなと考えています。

――少し余裕が出てきて、お仕事を増やしていこうといった変化はありますか?

お仕事もご縁だと思うので、その時に巡り会えたものを一生懸命やりたいなと。何かに比重を置くというより、与えられたことを精一杯できればいいなと思っています。



――今後挑戦していきたいことがありましたら教えてください。

書道を習いたいです。小学生の頃に書道を習っていて、その時間がすごく好きでした。1人で向き合う、静かで研ぎ澄まされた時間が私の中で貴重な時間になっていて、その時間があったから頑張れたというのがあったので、もう一度習い直したいなと。ジャニスのような年齢になったときに趣味があると楽しいと思うので、習い事を始めていきたいです。

――お仕事面で挑戦したいことはありますか?

これまでやりたいなと思ったことがやれてきていて、欲をかかずに生きていきたいと思っているので、これからも私に合っていると思って声をかけてくださったことを精一杯やっていきたいと思います。

――『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)の最終回に藤井さん演じる日野の妻役としてサプライズ出演された際は、すごく話題になりましたね。

以前舞台でご一緒した古田新太さんが声をかけてくださって、そのときもご縁だなと感じました。以前共演した方が声をかけてくださることで、またお会いできて、新しい作品に巡り会えたので、やはり人とのつながりって大事だなと思います。

――最後にこれから本作をご覧になるファンの方にメッセージをお願いします。

今回は、家族の大事さや絆をより感じられる作品になっています。ティムとボス・ベイビーが大人になって少し疎遠になってしまうのですが、皆さんの中にも、家族や親戚と疎遠になってしまっている方がいると思います。特に今のご時世なかなか集まることができなくなっていますが、この映画を見ると会いたくなると思います。仲のいいお友達や家族を思い出せるってすごく素敵だなと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです。

乙葉

1981年1月28日生まれ、長野県出身。1999年に雑誌デビューし、ドラマやバラエティ、CMなど幅広く活躍。現在は、『土曜はナニする!?』(関西テレビ)で準レギュラー、『梅沢富美男と東野幸治のまんぷくメシ!』(NHK)でナレーションを務めている。プライベートでは、2005年7月にお笑いタレントの藤井隆と結婚し、2007年10月に第1子となる長女を出産。2015年には「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。



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