【ジャケ買い日本酒】海辺に座ってちびちび飲みたい「京の春 特別純米無濾過生原酒 京の輝60 大漁旗ラベル」〜『伊藤家の晩酌』第二十四夜2本目〜

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弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十四夜は「ジャケ買い」がテーマ。2本目は、レトロなラベルが目を引く京都のお酒。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第二十四夜2本目は、後味に苦みの余韻が残る「京の春 特別純米無濾過生原酒 京の輝60 大漁旗ラベル」

京都府北部、日本海側に位置する与謝郡伊根町は“舟屋”と呼ばれる家屋が建ち並ぶ町並みが独特の風情。向井酒造は、“海に一番近い純米酒を醸す蔵”といわれ、「京の春」のほか、古代米を使ったピンク色のお酒「伊根満開」も人気。「京の春 特別純米無濾過生原酒 京の輝60 大漁旗ラベル」720ml 1760円(税込・ひいな購入時価格)/向井酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「実はね、ラベルについていろいろ語れるのは1本目の『KURAMOTO』だけで、ほかはただ単に好きで選んだだけなんだけど(笑)」父・徹也(以下、テツヤ)「いいじゃない。ラベルは手にとるきっかけのひとつなんだから」ひいな「そうなの」テツヤ「ひいなはさ、蔵のこと、銘柄のこと、いろいろ知ってるから、それを無しにして、純粋にラベルだけでいいと思ったっていうことだろ? それってすごいことなんじゃない?」ひいな「そうだね」テツヤ「ナチュールワインもクラフトビールも、ジャケで買ってもほぼ間違いないもんね。そこにつくり手の思いが込められてるもんだからさ。日本酒はまだ判断しづらい部分もあるけど。ひいながピンときたお酒っていうことだけで、おもしろいと思うよ」ひいな「今回は、こちらです! 『京の春』です!」テツヤ「出たー! ジャパン!! 魚が飛んでる!」ひいな「かわいいでしょ? ほら、お父さんが持つと漁師みたいにお似合い(笑)」テツヤ「俺の酒じゃい!」

ひいな「似合いすぎだね(笑)。『京の春』はその名の通り、京都のお酒なんだけど、伊根町っていうところのお酒なの」テツヤ「俺さ、伊根に2回くらい行っててさ。まさに、このイラストの通り、海に面してて、家の中に船が着くようになってて。本当にいいところなんだよね。ひいなにも行ってもらいたい」ひいな「連れてってくれるの?」テツヤ「妹のひびきが免許取ったんだから、2人で行ってくればいいよ。魚もうまいしさ」ひいな「いいね」テツヤ「ひいなはさ、なんでこのラベルがいいと思ったの? 理由聞きたい」ひいな「今のこの時代に、気取りすぎてないところ?」テツヤ「なるほど。ひいなにとって新鮮なんだな」ひいな「うん。このレトロさが、心に響いたというか」テツヤ「版画っぽさもいいよね。俗にいう日本酒のレトロとは違う感じでね。マットな紙の発色もすごくいいし。カメラマン目線でいうと、このブルーがね、絶妙なんだよね」ひいな「へぇ」テツヤ「いい色だなって」ひいな「棚にこのお酒があると、すごく目立つんだよね。落ち着いた色合いのラベルの中にこれがポツンとあると何これ?って目に入る」テツヤ「日本酒にはない配色だよね。何よりうまそう!」ひいな「でしょ? そう思って選んじゃった」テツヤ「伊根にはほかにもお酒あるの?」ひいな「『伊根満開』っていうお酒があって、それは古代米を使ってるからピンク色してて」テツヤ「ピンクの日本酒?」ひいな「同じ蔵なの。とりあえず、飲んでみようか」

ぐい呑にたっぷりと。さぁ、どうぞどうぞ。いただきます!

テツヤ「このお酒も、だいぶ色ついてるよね」ひいな「でしょ? この色と香りも味わってほしい。初めて匂いをかいだ時、チーズ系と合わせようかなと思ったんだよね」テツヤ&ひいな「いただきます!」テツヤ「わ、濃い!」ひいな「濃いでしょう?」テツヤ「濃いねぇ。でも味わい深くておいしい。冷酒でこんなに濃いんだから、常温とか燗にしたら……」ひいな「もっと分厚く感じると思う」テツヤ「これは何の米を使ってるんだろう?」ひいな「『京の輝』っていうのを使ってるらしいよ」テツヤ「後味がさ、すごい独特じゃない?」ひいな「うんうん」テツヤ「苦味じゃないんだけど。なんていうんだろう、ぬか?」ひいな「ぬかっぽさ、あるね。後味にひっかかる感じもあって」テツヤ「スーッと抜けていかない感じ。でも、これは意外と昼間からちびちび、だらだらやっていける感じがするぞ」ひいな「それは危険だね(笑)」テツヤ「いやぁ、好きな酒かも」ひいな「今までと違うタイプなんだけど、好きな味でしょ? それはうれしいな。今までは酸が立つのが好きだったのにね」

テツヤ「これはおもしろいバランスだね。甘みと苦み。でも、その苦みがいやじゃない苦みなんだよ。そしてこのぐい呑で飲むのがいいね」ひいな「そうなの。これはワイングラスじゃないなと思って」テツヤ「確かに」ひいな「このお酒に合わせるもの持ってくるね!」

「京の春 特別純米無濾過生原酒 京の輝60 大漁旗ラベル」に合わせるのは「緑の温サラダ」。

ひいな「緑の温サラダです!」テツヤ「へぇ。意外だったな。アスパラの匂いがする!」ひいな「このアスパラは北海道で買ってきてもらったやつで、すごく大きくて立派だった! 北海道のどこで買ってきてくれたんだっけ?」テツヤ「旭川に取材に行った時にね。ぎりぎりまで粘って、地元のスーパーで買い物してきました(笑)」ひいな「春菊とニラとアスパラっていうそれぞれのクセを合わせてみようと思って」テツヤ「酒もクセあるし。クセだらけだな」ひいな「このクセ、永遠にいけるアテだと思うよ」テツヤ「味付けは?」ひいな「簡単にみりんとしょうゆだけ。茹でる時に塩を多めにした。これ単品だと永遠には食べられないけど、お酒が入ることで永遠に食べられるから」テツヤ「いただきます!」

テツヤ「しゃきしゃきとした歯ごたえでいいね。茹で方、ちょうどいいよ」ひいな「食感もアクセントになるかなと思って」テツヤ「もうね、クセだらけだよ口の中! これ褒め言葉だからね(笑)」ひいな「これさ、無限ループじゃない?」テツヤ「なんかね、いい意味でのえぐみ、苦みだらけだよ、口の中が(笑)」ひいな「このお酒にね、ミモレット、カマンベールとかのチーズも合わせてみたんだけど、びっくりするほど合わなかったのね。でも、ニラのクセにはすごく相性がいいなと思って」テツヤ「勝負してる感じがあるな」ひいな「勝負してる?」テツヤ「それぞれがね、切磋琢磨してる感じがする。『俺も負けへんで!』って」ひいな「(笑)」テツヤ「個性のぶつかり合いが、いい方向に向いてる感じがするね」ひいな「なるほど。宝塚でたとえると星組だね」テツヤ「星組は愛ちゃんがいるところ?」ひいな「そう。愛月ひかるさんがいるところ。(ライター注:愛月ひかるさんは、ひいなちゃんの推し)」テツヤ「でも、よくこの組み合わせ思い浮かんだね」

ひいな「最初、ニラが合うなと思って。でも、ニラだけじゃなと思って、どうしようかと思って、食感を入れたいからアスパラを思いついて」テツヤ「それも意外な組みわせだけどね」ひいな「結局、緑でまとめたいなと思って。水菜を入れてもおもしろくないし、じゃ、春菊と合わせてみたら、正解だった」テツヤ「なるほど。緑だけっていうのもビジュアル的にインパクトあるし、すごいいいよ」ひいな「よかった!」

日本酒の賞味期限とは? 開けたあとの味の変化もお楽しみのひとつ。

ひいな「実はね、開けてから1週間経ったやつもあるんだけど、それも飲んでくれる?」テツヤ「いいね。この酒はさ、伊根の海が見えるところにポツンと座ってさ、しみじみ飲んでたいね」ひいな「それ似合いすぎる(笑)。哀愁漂う、後ろ姿が想像できちゃうもんね(笑)」テツヤ「だろ(笑)」ひいな「これがね、1週間前に開けたやつ。まろやかさが増してると思うよ」

テツヤ「いただきます。お? これは開けておいたやつのほうがうまくないか? これ別物だよ!」ひいな「開けておいたほう、おいしいよね」テツヤ「ぬか臭さが弱まるのかな。雑味が減ってるというか」ひいな「うん、味にまとまりが出てくる感じだよね」テツヤ「うんうん。確かに。おもしろい変化だね」ひいな「無濾過生原酒って1週間で飲み切るようにってよく言われるんだけど、こうやって飲んでみると、ぜんぜんおいしいと思うんだよね」テツヤ「うん、絶対こっちのほうがうまいよ」ひいな「賞味期限ってなんなんだろうってなるよね」テツヤ「変化が楽しめていいと思うけどな」ひいな「うん。もう少し置いてもいいと思うよ」テツヤ「熟成させてもうまそうじゃない?」ひいな「うん、絶対おいしいと思う」

ひいな「この蔵はね、杜氏が向井久仁子さんっていう女性の方で、弟さんが社長なんだって。“自分がこれだっていう酒を造り上げる”っていうコンセプトがあるそうなんだけど、すごく納得しない?」テツヤ「そうだね」ひいな「“杜氏が目指すのは、ほどよい苦みや酸味があり、料理とのペアリングの妙を楽しめる通好みの味”」テツヤ「まさにその通り! すばらしい」ひいな「日本で一番海から近い蔵っていわれてるんだって」テツヤ「あぁ、伊根に行きたいねぇ」ひいな「みんなで早く取材に行きたい!」

【ひいなのつぶやき】伊根町のイメージが湧く派手なラベル。味わいとラベルのインパクトがイコールな気がします!!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中