低賃金から脱却 AI・RPAは日本の生産性向上の救世主か?
人手不足は喫緊の課題だ。生産年齢人口は1990年代半ばを境に減り続け、足元ではピーク時から約1000万人減少した。先進国の中でも劣位にあり「国際競争力の低下も危惧される」(政府高官)。また生産性の低さも際立っている。日本の1人当たりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟国36カ国中21位で、製造業の労働生産性も15位に位置する。「ITやデータを使った効率化が遅れている」(銀行系エコノミスト)ことが主因とされる。
一方、国民の間にはITやロボットが人の職場を奪うと警戒する声も少なくない。そこで政府は就業機会や賃金の改善を図るにはスキルの向上が不可欠と訴え、創造性や企画力が必要な高スキル職など機械では代替できない仕事への転換を喚起する。その支援策の一つとして力を入れるのが、リカレント(学び直し)教育だ。社会人が大学院などで新たな知識を身に付けてもらうため、教育訓練給付制度の補助率拡大や人材投資を増やす企業への税制優遇などを推進している。
また政府は終身雇用制の弊害として、大企業の優れた人材が労働市場で流動せず、十分活用できていない点に着目。兼業・副業を行える機会を拡大し、大企業の人材がベンチャーで活躍したり、別の仕事で得た知見を本業で活用したりするモデルを創出する構えだ。政府は19年度の成長戦略に兼業・副業を推進する施策の方向性を示しており、安倍晋三首相は「人生100年時代を迎え、兼業を進めていきたい」と力を込める。
自動化が進展すれば、優れた企画やデザインを創出する仕事に対して高い価値が付与される。日本は少子高齢化という構造問題を逆手に取り、ITや機械と共存しつつ、高スキル人材を創出する社会を目指したい。
