父の資産は不動産が中心で、相続税が高額になりそうです。まだ元気なうちに、家族で準備しておいたほうがいいことはありますか?

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父の資産に自宅や土地、賃貸物件などの不動産が多い場合、相続について早めに考え始める方もいるでしょう。不動産は金額が大きくなりやすく、現金や預貯金とは異なる注意点もあります。   しかし、具体的に何から確認すればよいのか、家族でどこまで話し合うべきなのか迷うことも少なくありません。相続はまだ先のことだと思っていても、父が元気なうちだからこそ進めやすい準備もあります。   そこで本記事では、不動産中心の資産を相続する場合に、家族で準備しておきたいことについて解説します。

父の資産が不動産中心なら、まず財産の全体像を家族で確認する

最初に行いたいのは、父の財産を一覧にすることです。
自宅や土地、賃貸物件だけでなく、預貯金、有価証券、生命保険、借入金なども確認しましょう。相続税は財産全体をもとに計算するため、不動産だけを見ていても正確な判断はできません。
不動産については、所在地、名義、利用状況を整理します。自宅として使っているのか、賃貸中なのか、空き地なのかによって、評価額や相続後の扱いが変わるためです。
例えば、賃貸物件の場合は家賃収入がある一方、修繕費や管理の手間も発生します。誰が引き継ぐのかを考える際は、資産価値だけでなく、管理できるかどうかも大切です。
あわせて、父の希望も確認しておきましょう。「自宅は母に住み続けてほしい」「この土地は売らずに残したい」などの考えを家族で共有できていれば、相続後の話し合いは進めやすくなります。
一方で、口約束だけでは後から受け止め方の違いが出るかもしれません。父の意思を形に残しておくためにも、必要に応じて遺言書の作成も検討すると安心です。

相続税が高額になりそうな場合は、納税資金と分け方を先に考える

不動産中心の相続で注意したいのが、相続税をどう支払うかという点です。相続税は原則として現金で納めるため、財産の多くを不動産が占めていると、評価額が高いのに手元の資金が足りないという状況になりかねません。
その場合、相続人が自分の預貯金から納税資金を用意したり、不動産の売却を急いだりする必要が出てきます。こうした事態を避けるためにも、相続税がかかりそうな家庭では、早い段階で納税資金の準備について話し合っておくことが大切です。
具体的には、生命保険で現金を残す、不動産の一部を売却候補にする、賃貸収入を納税資金に充てられるよう整理する、といった方法が考えられます。ただし、どの方法が合うかは資産の内容や家族構成によって変わるため、早めに専門家へ相談しておくと判断しやすくなります。
また、不動産は分けにくい財産です。きょうだいで共有名義にすれば公平に見えますが、売却や建て替えの際に全員の同意が必要になり、将来のトラブルにつながることがあります。できれば、「誰がどの不動産を引き継ぐのか」「他の相続人には現金で調整できるのか」を、早い段階で話し合っておきましょう。

生前贈与や特例は、使う前にメリットと注意点を確認する

相続税対策として、生前贈与を考える人もいます。父が元気なうちに財産を子どもへ移せば、相続財産を減らせる可能性があるためです。
ただし、不動産の贈与には贈与税のほか、不動産取得税や登録免許税などがかかる場合があります。結果として、相続で引き継いだほうが負担を抑えられるケースもあるため、安易な名義変更は避けましょう。
確認しておきたい制度に、「小規模宅地等の特例」があります。これは、一定の条件を満たす土地について、相続税を計算する際の評価額を下げられる制度です。例えば、父の自宅の土地を配偶者や同居していた子どもが相続する場合などに使える可能性があります。
ただし、この特例には細かい要件があります。誰が相続するか、相続後も住み続けるかなどで、使えるかどうかが変わります。生前贈与をしたことで、相続時に使えたはずの特例が使えなくなる場合もあります。贈与や売却を進める前に、税理士などに試算してもらうと判断しやすくなります。

父が元気なうちに話し合い、相続の負担を減らそう

父の資産が不動産中心の場合、まずは財産の全体像を把握し、相続税の目安や納税資金を確認しておくことが大切です。あわせて、不動産を誰が引き継ぐのか、他の相続人とどう公平に分けるのかも話し合っておきましょう。
不動産は簡単に分けられず、相続後に家族の意見が分かれやすい財産です。父が元気なうちに本人の希望を聞き、遺言書や生命保険、小規模宅地等の特例の活用を検討しておけば、家族の不安や負担を減らしやすくなります。早めに準備しておくことで、納得できる相続につながるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー