「ひと月で100万稼ぐ」女性中国人留学生…新宿の「バイト現場」で何をやっていたのか
中国人留学生の前で授業
記者を長年やっていると、春夏秋冬朝昼晩、締め切りに追われ、何と季節感のない商売かと思う。
だが私は幸いにも、春爛漫のこの時節になると、「一年の始まり」を感じる。それは今時の言葉で言う「二刀流」生活を、20年近くも送っているからだ。
第一次安倍晋三政権下の'07年のこと。明治大学教授なる方が来臨されて、厳かに告げた。
「あなたが書いた本が面白かった。新設の学部の兼任講師を務めてほしい」
かくして国際日本学部の設立と同時に、週に一度夕刻に、「東アジア国際関係論」を講義することになった。今春も約400人の初々しい学生たちを前に授業が始まった。
受講生の中には毎年、数十人の中国人留学生がいる。彼らは個性の塊だ。
起業家やインフルエンサーの学生
ある年、日中ビジネスの最前線で活躍する広告会社社長をゲストに呼んだら、中国人留学生が目を爛々と輝かせて言った。
「今日、ボクの人生が決まりました」
彼はその会社に弟子入り志願し、後に自ら起業して大成功を収めた。
中国人観光客の「爆買い」が話題になった頃、高級ブランド服に身を包んで受講する女子留学生がいた。富裕層の令嬢かと思いきや、「自分でひと月100万円稼いでいます」。
彼女は私を「バイト現場」に案内してくれた。
放課後、新宿や渋谷などの繁華街を彷徨。中国人が興味を持ちそうな通りや看板を見つけては、自撮り映像の解説動画を作っていくのだ。路上で大声を出している中国人観光客に出くわすと、「迷惑行為!」と指さすポーズを作って笑う。彼女は売れっ子の「網紅」(インフルエンサー)だったのだ。
中国人留学生の減少は日本の損失
いまだから告白するが、ネタ元になってもらった留学生もいた。北朝鮮について講義した翌週、彼女がやって来て告げた。
「先週の授業について父に確認したら、1ヵ所事実誤認があるそうです」
何と彼女の父親は、中朝国境を管理する地方政府高官だったのだ。
最近は、中国人留学生にも新傾向が出てきた。たとえば「米国留学がかなわなかったから日本に来た」という若者だ。彼らは私の声を自動翻訳してくれる中国製スマホを机上に置いて受講。「日本語は世界で『地方言語』なのでマジメに学習したくない」と嘯く。
この10年ほどは、卒業後に帰国せず日本企業に就職することが当たり前になった。彼らから就職の相談を受けることもあるし、先日は日本人の彼女との恋愛相談にも乗った。
中国人留学生は、新世代の日中の架け橋だ。同時に、昨今の日中関係悪化に心痛める人たちでもある。
今年は、中国人留学生が減った。一般に留学生は生涯、かつて学んだ地を慕うことを思えば、日本の大きな損失である。
「週刊現代」2026年4月27日号より
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