コスモエネルギーグループは環境保護に関するさまざまなプロジェクトを国内外でサポートしている。その取り組みを支える仕組みのひとつが「COSMOエコ基金」だ。なぜコスモは環境保護に取り組むのか。エコ基金の仕組みとは? コスモエネルギーホールディングス コーポレートコミュニケーション部 広報グループの山本美緒さんと山田佳菜子さんに詳しく話を聞いた。

環境保全に取り組む理由は? コスモに聞く(左が山本さん、右が山田さん)

気仙沼で「森」を育てる?

COSMOエコ基金で継続的に支援を行っているプロジェクトのひとつが、宮城県・気仙沼市での環境保全の取り組みだ。どんな取り組みなのか、まずは聞いてみた。

――気仙沼の「海を守るために木を植える」プロジェクトについて教えてください。

山本さん:特定非営利活動(NPO)法人の「森は海の恋人」をパートナーとして実施しているプロジェクトです。

2011年の東日本大震災では、プロジェクトを実施している宮城県気仙沼市の舞根地区も高波に襲われました。その際、海を含めた一帯の生態系がかなり荒れてしまいました。震災復興という観点から、環境をいかに取り戻していくかが課題になる中で、「森は海の恋人」の「森から川、川から海へとつながる流域全体でひとつの自然」と捉える考え方にコスモエネルギーグループも共感し、その活動を支援しています。

――「海を守るために木を植える」プロジェクトにおいて、コスモエネルギーグループはどんな活動を支援していますか?

山本さん:主な活動は3つで、1つ目は森作りです。プロジェクトを象徴するイベントとして毎年、植樹祭を実施していますが、その開催などを支援しています。

2つ目は舞根地区流域の保全活動です。具体的には杉林の間伐、ナラ枯れや松枯れなど、枯れてしまう樹木の保全を行うことで、針葉樹と落葉樹の混合林の育成を進めています。これは森作りの一環ですが、他にも河川環境を保全する取り組みなどと合わせて、流域全体の豊かな自然を次世代に継承する活動に取り組んでいます。

3つ目が啓発活動です。「森は海の恋人」ではホームページ、SNSでの発信を活発に行っていますが、彼らの思いや自然のつながりの大切さをたくさんの方に伝える情報発信活動も支援させていただいております。

森は海の恋人が活動をする宮城県気仙沼市舞根地区

――「海を守るために木を植える」プロジェクトでは今後、どのような支援をしていきたいですか?

山本さん:もともと、私たちから活動内容を細かく指定して支援するというスタイルは取っていませんが、活動内容をより知ってもらえる取り組みを活発化していきたいという話は進めています。例えば、【コスモの公式】アプリで行っている活動情報の発信もそのひとつですが、活動について知っていただく場をもっともっと作っていきたいと考えています。

「COSMOエコ基金」の仕組みは?

――こうしたプロジェクトを支える「COSMOエコ基金」は、どんな仕組みですか?

山田さん:「COSMOエコ基金」はコスモエネルギーグループが運営している任意団体です。ガソリンスタンドをご利用頂くお客様とコスモが一緒に環境問題に取り組むことをコンセプトとして、2002年にスタートしました。

仕組みとしては、エコ会員になっていただいたお客さまからの寄付とコスモエネルギーグループからの拠出金を使って、地球環境の保全や啓発などに取り組む国内外のプロジェクトを支援しています。

基本は1年が支援期間となりますが、プロジェクト選定時に3年間のプランを出していただいているので、1年目の目標達成が確認できた場合は継続支援が可能です。その後、再度応募していただくという形での継続支援も可能ですが、現在は3回のキャップを設けているので、原則として最長9年間の支援となります。

――エコ基金に寄付するには?

山田さん:方法は2つあります。ひとつは、私たちが発行しているクレジットカード「COSMOエコカード」に新規でご入会いただく方法です。もうひとつは、再生可能エネルギー由来のエコな電気を販売するプラン「コスモでんきグリーン」をご契約していただいても、エコ会員として寄付することができます。

――寄付金はどういう形で集めているんですか?

山田さん:「COSMOエコカード」にご入会・切り替えをしていただいた場合は、エコ会員の年会費という形で年間500円が自動的に寄付されます。一方、「コスモでんきグリーン」をご契約いただいた場合は、コスモ石油マーケティングが電力事業の売上の中から、ご契約者(エコ会員)1人あたり年間500円を寄付金として「COSMOエコ基金」に拠出します。

――会員の寄付とコスモエネルギーグループからの拠出金を合わせて、だいたいどれくらいの規模でしょうか?

山田さん:COSMOエコカードを選択してくださっているお客さまが全国で約6万人いらっしゃいますので、エコ会員さまからの寄付だけでおおよそ3,000万円になります。また、コスモエネルギーグループとしても、エコカードで給油や洗車をされた際の売上の0.1%やエコバッテリーの売上の一部などを通じて、全体の51%以上を負担しています。その他の寄付も合わせると、年間約6,500万円を「COSMOエコ基金」に拠出しています。

「COSMOエコ基金」の2024年度における収入合計

「COSMOエコ基金」の2024年度における支出合計

――「COSMOエコ基金」では国内外で複数のプロジェクトを支援しています。プロジェクトの選出方法と選定基準は?

山田さん:選出方法については年に1回公募を行っています。対象となるプロジェクトは「脱炭素志向の開かれた地域循環社会づくりに貢献する活動」「森林保全、生態系など自然環境保全活動や啓発活動」「再エネの普及啓発に資する活動」の3つになります。

中でも、特に重視するのが、次世代の人材育成に力を入れている団体の活動や、地域とのパートナーシップにつながる開かれた活動をしているプロジェクトです。コスモエネルギーグループは社会貢献活動方針の中に重点取り組み分野を定めています。

コスモエネルギーグループが社会貢献活動方針で掲げる重点取り組み分野

山田さん:選考基準も明確にしてあり、「実現可能性」「一貫性・妥当性」「共感性・社会性」「持続可能性・自立性」の4つで判断します。

「実現可能性」は現実的なプランを出しているか、「一貫性・妥当性」は、取り組みのゴールまでのアプローチに一貫性と妥当性があるかをチェックします。

「共感性・社会性」は、活動内容が地域社会を巻き込んでいて、見る人に「応援したい」という気持ちを起こさせるところがあるかがポイントです。「持続可能性・自立性」については、私たちが携わることができる年数は限られますが、その期間が終わったからといって活動自体も終わってしまうことは、私たちの望む姿ではありません。だからこそ、拠出金を活用してしっかりと土台を作って、その後も続けていける持続可能性のあるプロジェクトかどうかを重視します。

これらのビジョンに合致したプロジェクトであれば、活動場所は限定していません。そのため、現在も国内外16ものプロジェクトを支援しています。

コスモが環境に取り組む理由

――コスモエネルギーグループが「COSMOエコ基金」をはじめとする環境への取り組みに力を入れる理由は?

山本さん:私たちはエネルギー企業ということもあり、早くから環境問題を重視していました。また、社会的な流れとしても、1997年に京都議定書が採択されたことで、企業がしっかりとCO2対策や地球温暖化対策をしなければならない局面にありました。そうした中で、企業活動の中でCO2を排出している私たちは、社会的責任として環境問題に取り組む必要があると考えています。

山田さん:企業活動の中でやむを得ずCO2を出しているからこそ、森作りやCO2を吸収するような活動を支援させていただきたいと考えたことも、「COSMOエコ基金」をスタートさせた理由です。

先ほども申しましたが、拠出金をきっかけに、長くその活動に取り組んでいただきたいという思いでサポートしていますが、サステナビリティはコスモエネルギーグループの企業経営の中で重視しています。世の中は1年や2年ですごく動きますが、自然環境はもっと長いスパンで変わっていきます。だからこそ、グループ理念に基づいて、長くしっかりと取り組んでいくことが非常に重要だと捉えております。

――最後に「COSMOエコ基金」の今後について教えてください。

山本さん:コスモエネルギーグループには、先ほどお伝えしたグループ理念に加えて、未来を見据えた6つの価値観があります。その中にある「誠実」「共生」「安全」は、長く社内で大事にしてきた価値観であり、これを体現しているのがまさに「COSMOエコ基金」です。

一方で、これから重要になる価値観として「挑戦」「自発」「進化」も加えて、「COSMOエコ基金」も挑戦・進化していかなければいけないと思っています。やはり、世の中は変わっていくものです。継続も大事ですが、どうしても1社だけではできないところも出てきます。だからこそ仲間づくりが大切で、NPOや他社さま、そして、支援してくださる皆さまへと輪を広げていく活動に、これからはどんどん挑戦していきたいと考えています。

社内向けの冊子に掲載されている6つの価値観を説明する山本さん

山田さん:今の基金の仕組みでは、エコ会員になる方法が「COSMOエコカード」に入会するか「コスモでんきグリーン」を契約するかの2択となり、特に若い方はハードルが高いと感じられるかもしれません。それもあって、2025年6月からは「COSMOエコ基金」の公式LINEを始めています。現状、そこから寄付ができるわけではありませんが、友だちになってくれた方を私たちは「エコ会員」と呼ぶことに決めました。

また、公式LINEでは「COSMOエコ基金」に関する情報発信を積極的に行っていきます。寄付をする、ボランティアをするというアクションも重要ですが、情報にアクセスをする、活動を知るというアクションもとても大切だと考えております。これまでは、コスモエネルギーグループのホームページにわざわざ行って、事業報告書を見るなどが主に活動を知る方法でした。そうではなく、もっと気軽に知っていただくためのひとつの場として始めたのが公式LINEです。知っていただくためのアプローチをいかに増やしていけるかが、今後の私たちにとっての挑戦だと思っています。





安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら