「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」 https://tfm-plus.gsj.mobi/news/btmCTxPpMQ.html。今回の漢字は「慣れる」「慣らす」、「習慣」「慣例」の「慣」です。

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年2月9日(土)放送より)



「慣」という字は、りっしんべんに「貫」と書きます。

りっしんべんは「心」という字の形がもとになった部首で、おもに心の動き、感情や思考に関する漢字に使われます。

「貫」という字の上半分の「カン」と呼ばれる部分は、貝を綴りあわせて貫く様子。

下半分の「貝」は貝の形を描いた象形文字です。

古代中国において貝は財宝であり、貨幣としても使われていました。

そんな貝を貫いて綴じた様子を表すこの「貫」という字に、心情を意味するりっしんべんを添えた漢字が「慣」。

そこから「時間的につながる、続く状態」を示し、「積み重なった結果、よく慣れる」という意味をもつようになりました。

新たな目標を掲げ、初めてのことに挑もうとするあなた。

始まりは丁寧に、慎重に、そう思ってのぞむことでしょう。

最初の頃、凸凹した自分をあちこちにぶつけていても、経験を重ねるうちに、技術と余裕が身について、いつしかなじんでくるものです。

「慣れる」は平均化する、つまり「均す」ことと同じだといいます。

それは喜ばしい成長であると同時に、角がとれて均された自分に、ふと、寂しさを覚える瞬間です。

ではここで、もう一度「慣」という字を感じてみてください。

「慣れ」は人を鈍感にし、傲慢にすることもある。

初心を忘れてしまった自分に気づいたとき、読み返したくなる一篇の詩があります。

何ものにも倚りかからず、凛として生き続けた詩人・茨木のり子。

彼女の代表作のひとつが、「汲む -Y.Y に-」。

新しい季節の始まりに自戒をこめて、こんな一節をご紹介しましょう。

あらゆる仕事

すべてのいい仕事の核には

震える弱いアンテナが隠されている きっと……

彼女自身、慣れて均されるを常に自戒しえいた人。

生涯、その心には震える弱いアンテナが掲げられていました。

彼女のように初々しい心を持ち続け、アンテナの震えに敏感でいたいと切に、願うのです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『茨木のり子詩集』(「汲む」所収)(茨木のり子/著 思潮社 現代詩文庫)

『倚りかからず』(茨木のり子/著 ちくま文庫)

2月16日(土)の放送では「猫」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2019年2月17日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/