Jonathan Jacob

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この記事は「最強ホットハッチ5台を徹底比較|フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI Mk1編」の続きです。

【画像】今なお笑ってしまうほど面白い走りが楽しめるプジョー205GTI(写真3点)

プジョー205GTI

1980年代半ばになると、さらに過激なホットハッチの新しい波が頂点を迎えていた。16バルブかターボかのいずれかを武器にしたそれらは、既存のライバルにも新規参入組にも再考を迫った。プジョーが205GTIを送り出したのは、そうした第一波と第二波の合間だった。

205が1983年2月に登場した時の反応は、今多くの人が思うほど熱狂的ではなかった。モロッコでの国際試乗会でジャーナリスト向けに用意された車両も満場一致の称賛を受けたわけではなかった。多くのジャーナリストはジェラール・ヴェンテールによる端正な外観、そしてポール・ブラックの手による開放的なキャビンを評価したが、1983年のカー・オブ・ザ・イヤーはフィアット・ウーノのものとなった。とはいえ、北アフリカの暑さの中で試乗したテストドライバーたちはこの車の速さのポテンシャルを見抜いており、それはもちろんプジョー自身も承知していた。12カ月後にはGTIがラインナップに加わった。

搭載されたのはプジョーの新しい1.6リッター4気筒で、6250rpmで105bhpを発揮する高回転寄りのエンジンだった。紙の上ではパワー不足に見えたとしても、パワーウェイトレシオはちょうど良いバランスに収まっていた。1985年にはさらに10bhpが加わったが、本命はその先にあった。1年後、130bhpの1.9リッターGTIが登場する。テレビCMを信じるなら、文字通り「舞い降りた」と言うべきかもしれない。

この205はより強力な1.9リッターモデルの一台だ。オリジナル志向の人は初期1.6リッターモデルを好み、絶対的な力強さでは1.9リッターモデルに軍配をあげるかもしれないが、ドライバーを巻き込む力という点では、どちらも同世代の多くの車を遥かに凌ぐ。205の真骨頂は、前部のマクファーソン・ストラット、後部のトーションバーとトレーリングアームというシャシー構成、そしてその軽さにある。車重はおよそ800kgしかなく、そのわずかな質量も低い位置にまとめられているため、方向転換はトンボのように鋭い。さらには、フィードバック豊かなステアリングまで備えているのだ。

ノース・ヨーク・ムーア(イングランド北部ヨークシャーの荒野地帯で、起伏に富んだワインディングロードで知られる国立公園)で205GTIを走らせる歓びには値段などつけようがない。あらゆる操作から立ち上る抑えがたい歓びは、そのような尺度では測れない。この車の本来の舞台では、今なお笑ってしまうほど面白い。注意していれば、強いブレーキング、コーナリング、そして加速で、荷重移動はしなやかさと予測しやすさを兼ね備えたシャシーを通じて明快に伝わってくる。とはいえ、コーナー途中で向きを変えたがる傾向−たいていは自信を失い、右足をふっと戻してしまった時に現れるのだが−も、現代のタイヤによってかなり抑え込まれている。

1.9リッターモデルは扱いやすい119lb ftのトルクを持ち、その80%が2200rpmから使える。だから、その楽しさを引き出すのにそれほど苦労はいらない。人によっては、それがむしろ物足りなさでもあるのだろう。欠点を挙げるとしても、内装のビビり音(この個体ではあまり目立たないが)や、上がるにつれて曖昧に目盛りのあたりをふらつくオレンジ色のスピードメーターくらいのものだが、それもすぐに個性に思えてくる。気付いたとしても、そのいかにも芝居がかった味わいに、思わず笑ってしまうだろう。

状態の良い205GTIの相場は、近頃ずいぶんと上昇している。マイアミブルーのような上物は、今や1万5000ポンドから2万5000ポンドほどの値がする。極めて良いものなら、3万ポンドを超え、2022年にアギュット(フランスのオークション会社)で6万9768ポンドという途方もない額で落札された例すらある。

プジョー205GTIのライバル車は?

フィアット・ティーポ2.0ie セディチバルボーレ



この16バルブ・ツインカムのティーポは、その出自や名が示すほど魅力的には見えないかもしれないが、その箱型の外見の裏には確かな実力が潜んでいる。ランチア・テーマ由来エンジンを搭載し、143bhpを発するこのユニットによって、0-60mph加速は8秒強を記録する。

ルノー・クリオ・ウィリアムズ



クリオ16Vの優れた素性をベースに、ルノースポールのノウハウを注ぎ込んだ限定タイアップモデルとして生まれたのがクリオ・ウィリアムズだ。F1との関係こそほとんどなかったが、ドライバーズカーとしての出来は見事だった。1993年当時、勢いを失いつつあったホットハッチ市場においてはとりわけ歓迎された存在だった。”ウィリー”は新型クリオの2.0リッターエンジンをグループNで認可するために開発され、148bhpの出力で0-60mphを7.6秒でこなした。

ランチア・デルタ HF インテグラーレ



ここでは自らのルールを破っていることは承知しているが、ランチアの系譜には触れざるを得ない。そもそも前輪駆動のデルタHFターボに端を発しており、それだけでも十分に候補となるからだ。その四輪駆動版であるデルタHFインテグラーレは、1987年から1992年にかけてグループAラリーを完全に支配し、WRCコンストラクターズタイトルを6年連続で獲得した。ロードカーとしても、決して悪くない出来である。

・・・ホンダ・シビック タイプR編に続く。

翻訳:オクタン日本版編集部 Translation: Octane Japan
Words: John-Joe Vollans Photography: Jonathan Jacob