病気を言い訳にしない!」。生まれながらに髪や肌が白いアルビノの双子として生まれたりり香さん。ポジティブな性格の明るい家族に育てられたおかげで、「精神的に鍛えられた」と話します。しかし、成長とともに自分が置かれている現状にだんだんと気づいていって。

【写真】透き通る肌に赤いリップが似合うアルビノのりり香さん(全11枚)

「NICUへ直行」驚きの中で始まった双子の人生

生まれながらに弱視で、年々に視力が低下していると語る

── りり香さんと妹さんは二卵性双生児とのことですが、2人が生まれたとき、肌と髪の白さを見て医師が驚いたそうですね。

りり香さん:「何事だ!」と驚き、2人ともNICUにすぐに連れて行かれたと聞いています。2001年生まれですが、当時はアルビノの情報がほとんどなかったようなんですね。

── ご家族の反応はいかがでしたか?

りり香さん:最初はよくわかっていなくて、アルビノと診断がついた後も体は元気そうに見えたので「白いのもかわいいじゃん」と言ったら、医師が「見た目だけじゃないんです。これから苦労することもたくさんあると思います」と言われたと聞いています。

── アルビノは紫外線から肌を守るメラニン色素が非常に少ない疾患で、肌や髪が白いうえ、光の影響を受けやすく、多くの場合は弱視などの視覚障害も伴うと聞いています。症状は個人差があるとか。

りり香さん:はい。私のように髪が真っ白の人もいれば、金髪に近い人もいます。私は色素が一番少ないタイプで、幼い頃から視力が低く、みんなが普通に走っている場所で、私だけ転んでしまうことがしょっちゅうありました。

── アルビノとして、自分が「他の子とは違う」と気づいたのはいつ頃でしたか。

りり香さん:私と妹の上にさらに3歳年上の姉がいますが、三姉妹のうち2人がアルビノだったので、「人と違う」といった自覚がないまま幼少期を過ごしました。

初めて意識したのは小学校に上がってから。自分の生い立ちを振り返る授業の課題があって、そのとき親から「あなたたちはアルビノだったから生まれてすぐにICUに入ったんだよ」と聞かされたのが最初でした。

日光に当たると皮膚が真っ赤に腫れ上がり、火傷のような状態になるので、友達と一緒に外遊びもできませんでした。みんなが庭のビニールプールで遊んでいるときも私と妹は室内で過ごしていました。

── 学校での様子はいかがでしたか?

りり香さん:外国籍の生徒が多い学校だったこともあるのか、学校内では見た目で何か言われたり、不憫な思いをすることはなかったですね。教科書は、視覚障害者用に作られた、文字が拡大しているものにしてもらったし、体育もできる限り参加しました。みんなに合わせたいという気持ちが強くて、筋トレやストレッチなど一人で行えるものはもちろん、球技やダンスなど、周りを目で見る動きが必要なものも一緒にやりました。

ただ、学校の外、たとえば校外学習などでほかの学校の生徒と居合わせるとなかなか…。子どもってストレートじゃないですか。私のことをコソコソ話されたり、同級生から「なんで白いの?気持ち悪い」と言われることはありました。その都度、姉や友達が「なんでそんなこと言われないといけないの!」と言い返してくれて。守ってくれる人が周りにいたおかげで、「人と違うことを気にしなくていいんだな」と心強かったです。

家では、何かうまくいかないことがあってアルビノのせいにすると、母から「病気だから、視力が悪いからとといって、あれができない。これができないと言い訳にしない!」とキッパリ言われました。そのおかげで結果的に鍛えられたというか、精神的に強くなれたような気がしています。家族はみんなポジティブな性格だし、明るい環境で育ててもらったのはすごくよかったです。

── 中学・高校は特別支援学校へ進まれたそうですが、入学して間もない頃は戸惑いもあったとか。

りり香さん:「普通の学校に通いたかった」という気持ちが強かったです。妹は同じクラスでしたが、私の学年は特に女子がほとんどいなくて、寂しさがありました。

でも、支援学校に通ったことで得られた経験もたくさんあります。それまでは教室の掲示板や遠くに置いてあるものなど、みんなが見えて、私だけ見えないことがよくあって、何の話をしているかわからないことがありました。そもそも生まれてから見える世界を体験したことがないので、見える世界がわからないんですけど。

支援学校では生まれつき全盲の子もいれば、別の病気で見えにくさを持っている子もいて、「私だけ見えない」ということがなかったし、いろいろな人がいることも知りました。 

たとえば、私は見えづらさがあるぶん、聴覚が人よりも鋭いのですが、全盲の子は私よりさらに耳がよくて、音から得る情報量がすごいんです。見えづらさにもいろいろあって、私のように視力が低い弱視とは別に、視界の真ん中だけが欠けて見えづらくなる病気の子がいることも初めて知りました。

アルビノなのにブスなんですね」

姉と二卵性双生児の妹と

── 現在はSNSで「アルビノあるある」「視覚障害についてのQ&A」などの情報を発信されています。

りり香さん:アルビノだからといって白いだけじゃないし、症状も人それぞれです。SNSを始めたのは、単純にそのことを知ってもらいたかったからです。20歳で結婚し、「家で何かできることはないか」とTikTokの投稿を始めました。

── 応援する声があるいっぽう、ネガティブな声もあるとか。

りり香さん:アルビノなのにブスなんですね」というコメントがときどき来ることでしょうか。最近は漫画やアニメの影響で、「アルビノは色白で美人」というイメージを持つ人がどうやら一定数いるようなんです。フィクションに登場するアルビノが、彫りが深い美形だったり儚げで可愛いキャラだったりするせいか、「アジア人の顔にアルビノは似合わない」と、よくわからない悪口も。

アルビノは短命なんでしょ?」と言われたこともあります。アルビノは紫外線に弱いといったリスクはありますが、平均寿命が短いわけでは決してないんですね。どこかで間違った噂が広まったままなのだと思いますが、そういう誤解は少しずつでも解いていきたい。

もちろん、私はアルビノの「代表」ではありませんし、正直、アルビノで良かったと思ったことはありません。また、同じ病気でも考え方や症状は人それぞれです。そのうえで、あくまで「私の場合は」という一例として伝えていけたらと思います。

取材・文:阿部花恵 写真:りり香